“バルトの貴婦人”という異名を持つ「ラトビア」ってどんな国?

バルト海沿岸にあるバルト3国の中央に位置するラトビアは、国土の大部分が標高300m以下の平坦な氷河性の低地です。また、ヨーロッパの中で最後にキリスト教に改宗した地域のうちのひとつでもあります。今回は、「バルトの貴婦人」との異名を持つラトビアにフォーカス。基本情報をはじめ、観光スポット、世界遺産、人気のスポーツなどをご紹介。ラトビアについて知れば知るほど、訪れてみたくなりますよ。

ラトビアの基本情報

正式名称「ラトビア共和国」は、ヨーロッパ北東部、バルト海に臨む独立国です。1940年ソビエト連邦に加盟しましたが、1991年ソビエト連邦の解体に伴い独立しました。面積は6.5万平方キロメートルで、日本のおよそ6分の1の大きさです。

気候は海洋性から大陸性への遷移地帯で、平均気温は1月−7~−2℃、7月16~18℃と比較的温和。年降水量は700~800mmです。

人口は189万人(2021年)と、どちらかといえば小さな国になり、ラトビア人が半数以上を占めますが、ロシア人やベラルーシ人、ウクライナ人、ポーランド人も暮らしています。公用語はラトビア語で、宗教はプロテスタント(ルター派)、カトリック、ロシア正教です。

ラトビアの国旗のチョコレート色は「民族の独立のために流された血」を、白は「栄誉と信頼」を表しています。13世紀のドイツ騎士と戦ったラトビア軍の指揮官の血染めの包帯に由来するといわれています。

国名の由来は、国民の大多数を占めるラトビア人の名に基づきます。その意味は、古ノルマン語のレット「砂地」に由来するという説も。

ラトビアに行くには?

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日本からラトビアへは直行便が就航していません。行き帰り最低1カ所で乗り換える必要があります。日本から首都リガへ行く場合、イギリスのロンドンやトルコのイスタンブール、フィンランドのヘルシンキなどで乗り継ぎが可能です。

ラトビアに入国するためには、ビザの取得は不要です。2023年8月現在、パスポート残存有効期限は、入国時に6カ月以上、未使用査証欄1ページ以上が必要になります。

なお、ラトビアはシェンゲン協定に加盟しています。シェンゲン協定域内でビザを必要としない短期滞在は「180日の期間内で最大90日間を超えない」範囲との規定が適用されていますので、ヨーロッパのシェンゲン協定加盟国を長く旅行する場合は、注意しましょう。

ラトビアの最新の渡航情報について詳しくは下記をご覧ください。

在ラトビア日本国大使館

海外安全ホームページ

中世の姿を残す建造物も、ロマンチックな雰囲気が漂う「ツェースィス」

ヴィゼメ地方の中心に位置する「ツェースィス」は、ラトビアで最も美しい街のひとつです。中世の城跡や公園はツェースィスのシンボル的な存在で、街全体がロマンチックな雰囲気に包まれています。

さらに、ツェースィス旧市街の石畳の道のほか、赤いタイル屋根の建物、中庭は中世の姿を今に伝えます。

一番の見どころ、「ツェースィス城」は何度も建て替え増築され、16世紀初頭に現在の形に。予約をするとさまざまな歴史ツアーを楽しめて、中世の食事やバルト地域で古い歴史を持つ醸造所の地ビールも堪能できますよ。

ラトビアで最も古い地方の博物館「ツェースィス歴史芸術博物館」も要チェックです。設立以来、同博物館はコレクションの充実に注力してきました。

加えて、「聖ヨハネ教会」は城の近くにある、13世紀終わりに建てられたヴィゼメで最も大きな教会です。教会内には、リヴォニア騎士団の指導者たちの墓があります。教会のオルガンの音が旧市街に響くのもステキです。

リガからツェースィスへは、ラトビア国鉄またはバスで約2時間で行けますが、リガからの日帰りツアーもあります。

ツェースィス

リガ国際空港からわずか15km! 沿岸リゾート「ユールマラ」

ラトビアの中でも特に人気の沿岸リゾート地「ユールマラ」は、リガ国際空港からわずか15kmしか離れていません。首都リガからも25kmの場所にありアクセス抜群。青い海と白いロングビーチ、温暖な気候のリゾート地で、古い木造建築や治癒力のある泥などが有名です。

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ユールマラでは1年を通して、アートエキシビションや、国内外の芸術家によるコンサートといったイベントを開催。これなら退屈することなく、過ごせそうですね。

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「ユールマラ市博物館」には、著名な芸術家の作品のほか、リゾートでのライフスタイルを伝える多くの資料が展示されています。古いポストカードやラトビア最大の水着コレクションを収蔵しているのも特徴的。カフェやスーベニア・ショップも併設されています。

キェメリ国立公園

また、「グレート・キェメリ・ヘルストレイル」は「キェメリ国立公園」の中で最も人気なアクティビティです。広大な湿原帯の上には木道コースがあり、ここで生きる動植物について書かれた看板を見ながら歩いて、キェメリの自然について詳しく学べますよ。

ユールマラ

「バルト海の真珠」と称されるほど美しい「リガ歴史地区」

ハンザ同盟の主要な中心地として、13世紀~15世紀の中欧・東欧貿易で繁栄したリガは、バルト三国最大の都市です。同時代の町並みが残る旧市街は、ダウガヴァ川東岸に広がり、その美しさは「バルト海の真珠」と称されています。そのため、1997年には「リガ歴史地区」として世界文化遺産に登録されました。

リガ大聖堂

1211年の創建の「リガ大聖堂」や、ドイツ商人の集まりに使われた「ブラックヘッドハウス」、「リガ中央市場」など見どころ盛りだくさんです。

少し足を延ばして、19世紀末~20世紀初頭に開花した芸術運動の遺産「ユーゲントシュティールの建築群」を見に行くのもおすすめ。300を超えるラトビア独自のアールヌーヴォー建築の優美さに驚かされますよ。

リガ

10カ国にまたがる珍しい世界遺産「シュトルーヴェの測地弧」

ウクライナの観測地点

「シュトルーヴェの測地弧」とは、ノルウェーのハンメルフェスト岬から黒海まで10カ国を貫く、2,820㎞以上にわたる三角測量地点の連なりのこと。1816~1855年、天文学者シュトルーヴェは、この調査によって、史上初めて長距離にわたって1経線を正確に測量しました。

エストニアの観測地点

この測量は、地球の正確な形状と大きさの証明に大きく貢献。地球科学と地形図作成の発展の重要な一歩になり、2005年に世界文化遺産に登録されました。当時設置された265カ所の測量点のうち、34カ所が選定されています。

シュトルーヴェの測地弧

ラトビアで人気のスポーツは?

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ラトビアで人気のスポーツは、アイスホッケーとバスケットボールです。2023年2月、最新FIBAランキングでは29位ですが、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」に初出場することに!

2023年8月25日(金)~9月10日(日)に行われる「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」では、「ラトビア×レバノン」8月25日(金)、「ラトビア×フランス」8月27日(日)の試合が予定されています。ぜひチェックしてみてくださいね。

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