アイルランドを代表する亡き女性歌手、最後の曲はスコットランド民謡だった 昨年は17歳息子に悲劇

アイルランドを代表する歌手だった故シネイド・オコナーさん(享年56)の最後のレコーディングは、ドラマ『アウトランダー』挿入歌のスコットランド民謡『ザ・スカイ・ボート・ソング』のカバーだったことが分かった。シネイドさんは7月26日にロンドンで死去。このドラマの主役で、20世紀から18世紀のスコットランドにタイムスリップし、生活の変化に適応しようと奮闘するクレア・ビーチャム・ランダルに生前、強く共感していたという。

ドラマのシーズン毎にアップデートされてきた同曲には、ラヤ・ヤーブローのボーカルが使われてきたものの、エクゼクティブ・プロデューサーのマリル・デイヴィスは最新バージョンでシネイドさんを起用しようと連絡を取ったことをメトロ紙に明かしている。

「シネイドがクレアの物語にとても共感していることは聞いていました。もちろん彼女が自身の息子の死と闘っていて、表に出てプレスに晒される段階ではないことを私たちは知っていました。しかし、私たちは舞い上がり、やることに決めたのです」

昨年は病院で監視下にあった17歳の息子シェーンさんが逃げ出し、死去する悲劇に見舞われていた偉大な歌手。同曲のレコーディングはアイルランドのスタジオ、グラウス・ロッジで2日間に渡り行われたそうで、マリルはこう続ける。「シネイドの物語はクレアと非常に似通っていると私は思います。両者とも、何かの最前線にいて、自分たちの行動全てが常に受け入られてはいない、人々に押しのけられ、自分の考えがクレイジーと見なされ、多くの反発を受けるという」

葬儀は、故郷アイルランドのウィックロー県ブレイで行われ、数千人が葬列を見届けた。シネイドさんを運ぶ霊柩車が参列者からの花で満たされる中、その前を走るフォルクスワーゲンのキャンピングカーからはヒット曲や本人が崇拝していたボブ・マーリーの曲が流れていた。

一方、多宗派的なものになったとされるプライベートの葬儀にはシネイドさんの友人だったボブ・ゲルドフやU2のボノやジ・エッジらが出席。お墓の周りは参列者らの花で満たされ、木の台座の真ちゅうのプレートには「シネイド・オコナー 1966年12月8日誕生 2023年7月26日死去」と記されている。

1865年に開設されたダブリン近郊にある墓地の入り口近くの「ザ・ガーデン」というエリアの壁沿い、カトリックの墓に囲まれる場所にシネイドさんは眠っている。

(BANG Media International/よろず~ニュース)

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