夏の甲子園 茨城・土浦日大の健闘たたえる 市民ら「感動ありがとう」 最後まで懸命に応援

勝利を信じて声援を送り続けた土浦日大の生徒ら=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場

夏の甲子園で、茨城県勢として20年ぶりの決勝進出を狙った土浦日大は21日、準決勝で慶応(神奈川)に屈した。完封に抑えられ苦しい展開が続く中、三塁側アルプス席、同校と土浦市役所のパブリックビューイング(PV)では最後まで懸命のエール。惜しくも敗退したが、試合後は「感動をありがとう」「胸を張って帰ってきて」と健闘をたたえる声が上がった。

試合は序盤に先制を許し、逆転はならなかった。それでも、千人規模の応援団は、笑顔を崩さず選手を鼓舞。チアリーディング部長の覚張(がくばり)心晴さん(3年)は「選手たちを信じている」とまっすぐ語った。秋季関東大会の地区予選を22日に控え、硬式野球部の応援人員はおよそ半数に減った。同部の水飼大陸(りく)さん(3年)は「離れていても気持ちは一つ」と訴えた。

自校の記録を塗り替え続けた土浦日大。エースとして2017、18年の夏に甲子園の土を踏んだOBの富田卓さん(22)は「粘り強さが受け継がれている。『出るもの』だった甲子園が『勝つもの』に変わっている」と成長を喜んだ。

「一戦必勝」はここで止まったが、健闘への賛辞は尽きない。球場に駆け付けた安藤真理子市長は「市民の誇り」と手放しでたたえ、伊藤彩斗投手(3年)の父、久雄さん(52)は「最後まで諦めない姿勢を見せてくれた。胸を張って帰ってきて」とすがすがしい表情で話した。

同市小松ケ丘町の同校で開かれたPVには、生徒ら約260人が参加し、画面越しにエールを送った。

塚原歩生真(ふうま)主将(3年)や藤本士生投手(3年)らと同じクラスの久保雄大さんは「お疲れさまと伝えたい」と選手をたたえ、吉田梨奈教諭(35)は「感動をありがとう」と教え子の活躍に目を細めた。

PVは同市大和町の市役所でも開かれ、市民ら100人超が熱戦を見守った。

好機であと一本が出ない展開に、観客たちは祈るような表情。試合終了後には涙ぐむ人も見られた。

同市の田中里奈さん(32)は「土浦の名を全国にPRしてくれた」と感激した様子で話した。

土浦日大のプレーに拍手や声援を送る生徒たち=土浦市小松ケ丘町
土浦日大が好機を迎え、盛り上がるパブリックビューイングの観客たち=土浦市役所

© 株式会社茨城新聞社