岐阜県下呂市で開かれたソフトボール大会。地域住民が参加したこの大会の試合時間はなんと24時間です。熱くて長~い一日を追いました。
120回分のスコアボード
小学生に、高齢者。老いも若きも参加した地域対抗のソフトボール大会。試合時間は、なんと24時間です。
人々はなぜここまでして戦うのか?丸1日をかけて決着をつける4年に一度の激闘に密着です。
岐阜県下呂市の上原区。人口およそ1000人、19日から20日にかけて行われた「第5回24時間ソフトボール大会」では地区の北側に位置する和川区と南側に位置する門和佐区の住民が対戦。
時間ごとに年代や性別で部門が分けられ、スコアボードにはなんと120イニング分書き込めます。地域住民の親睦を深める目的でこれまで4回、およそ4年に1度のペースで開催してきました。
午後2時。第1試合の大人の部からスタート!最初のバッターは門和佐区の今井みや子さん!御年92歳。
アウトにはなったものの、見事初球をバットに
当てました。
(今井みや子さん)
「良かった当たったで。練習の成果が出たな。これ(杖)を持って練習していた」
“24時間” 球審を担当する男性
この大会では幅広い世代の人に参加してもらうため、得点とは別に参加するだけで90代以上は5点、80代は3点、70代が2点、60代以下は1点が入るルールです。
そして今回、24時間、たった1人で球審を担当したのは細江健太郎さん45歳。細江さんが引き受けた背景には…
(細江健太郎さん)
「3回目の時にちょうど24時間ソフトボール大会と長渕剛のオールナイトライブが被ってしまった。ソフトボールをキャンセルした」
長渕剛さんのファン歴30年の細江さん。8年前の大会では運営スタッフの一員だったものの長渕さんのライブを優先してしまったことであまりの申し訳なさから、前回大会から球審を買って出ています。
(細江健太郎さん)
「やるなら今しかねえと自分に言い聞かせて頑張る」
そんなお父さんを気遣いながら楽しむ細江家の皆さん。長男・友朔(ゆうさく)君は小学生の部で妻の理紗(りさ)さんは女性の部で出場します。
Q子どもが打席に立つとき公平にジャッジできる?
(細江健太郎さん)
「たぶん甘めに判定します」
午後4時。試合開始から2時間。大人の部の後は小学生の部です。得点はここまで6対10で和川(わがわ)区がリード。
バッターボックスには球審・細江さんの長男・友朔君。
打ちました!鋭い当たりです。
走って走ってなんと、ランニングホームラン!!
(細江友朔君)
「皆が声かけあって協力して打って守って楽しかった」
一番の盛り上がり「女性の部」から「地獄の時間」に
午後8時過ぎ。「女性の部」になりました。
「絶対勝つぞ!」
すっかり暗くなりましたが、1プレーごとに歓声が上がり互いに意地と意地のぶつかり合いです。
「止めなさい! よけるな」
今回、一番の盛り上がりを見せた「女性の部」。バッターボックスには球審・細江さんの妻・理紗さんです。
見事にヒット!
さらに試合は進み11時間が経過し日付けもかわった午前1時過ぎ。
(参加者)
「地獄の時間です」「人によっては覚醒します」
さすがに選手たちもへとへとに…
深い眠りにつく選手もいる中で試合は続きます。
(細江健太郎さん)
「腰に違和感が出てきました」
最高齢の男性は夫婦で参加
そして…試合会場に到着したのは最高齢の選手。
(田口宏さん)
「満で95になるところや」
今月26日に95歳になる田口宏さんです。
89歳の妻・美江子さんも参加しました。
まず打席に向かったのは美江子さん。杖をバットに持ち替え、バッターボックスに立ちます。
バットにボールは当たりませんでしたが…美江子さんの代走が1塁へ。
そして、バッターボックスには夫の宏さんです。
見事にボールをとらえました。結果は、ピッチャーへの内野安打でした!
(田口宏さん)
「当たらんと思ったら当たったな。最高です」
その後も試合は続き…午後2時過ぎ。24時間の激闘がようやく終了しました。
では、「第5回24時間ソフトボール大会」。結果は!?
(細江健太郎さん)
「結果発表!門和佐387点、和川421点で和川チームの優勝です」
ことしは和川チームに軍配が上がりました。戦ったイニングは109回、通算では和川チームが3勝。門和佐チームが1勝。引き分けが1回となりました。
今回も24時間、一睡もせず球審をつとめあげた細江さんは…
(細江健太郎さん)
「ホッとしている。今は達成したばかりなのでゆっくり休みたい」
人口およそ1000人の小さな町・下呂市上原区。今回は小学生から高齢者まで総勢383人が参加。4年に1度のビッグ祭典、24時間ソフトボール大会。もともと酒の席の若者たちの軽いノリでスタートしましたが、いまや地域に根差した大事な宝物です。