トヨタのミドルサイズSUVである新型RAV4は、2019年に登場しました。基本的なメカニズムやプラットフォームはトヨタ 新型ハリアーと共通です。新型ハリアーは前輪駆動をベースにしたシティ派ですが、新型RAV4は悪路向けのSUVの性格を持っています。今回はそんな新型RAV4のボディサイズや燃費、価格、おすすめグレードなどをカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが解説します。
新型RAV4のおすすめポイント
・4WDは前輪駆動がベースだが、独自の機能で悪路の走破力を高めた
・フロントマスクも野性的なデザインでカッコ良く仕上げられている
・後席や荷室が広くファミリーカーとしても使いやすい
新型RAV4のレビュー・評価
総合評価 4.0 ★★★★☆
5段階採点の解説
外観
新型RAV4はフロントマスクに悪路向けのSUVに似た迫力を感じます。
ボディサイドも直線基調で、同じトヨタのシティ派SUVである新型ハリアーや新型ヤリスクロスとは雰囲気が異なります。
内装
新型RAV4のインパネは水平基調のデザインです。メーターの視認性が優れ、エアコンのスイッチなども使いやすく、実用的に造り込まれています。
走行性能
新型RAV4の直列4気筒2Lエンジンは、高速道路での追い越しの加速時や登坂時などで物足りなさは感じますが、出力も穏やかなので扱いやすいです。
ハンドリングは良く、思ったように曲がってくれるので、舗装路もスポーティに走れます。
運転のしやすさ
新型RAV4の全幅は1800mmを上まわりますが、運転席からは前方がよく見えて、ボディの先端や車幅も分かりやすいです。小回りの利きはグレードによって異なります。
乗り心地
新型RAV4の乗り心地は少し硬めですが、段差を乗り越えた際に乗員に伝わる衝撃が小さくなるように、サスペンションによって抑えられています。
価格の割安度
新型RAV4の価格は293万8000円からと、安い部類ではありません。しかし、悪路の走破力を高めるダイナミックトルクベクタリングAWDなどが備わり高性能でありながら、新型ハリアーと比べると求めやすい設定とされています。
総合評価の解説
新型RAV4はミドルサイズのSUVで車内も広いです。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半になります。荷室長にも余裕があり、ファミリーでも使いやすいです。
その一方で新型RAV4の外観は鋭角的に仕上げられ、野性味と存在感が強いです。
また、新型RAV4のボディはワイドで、アドベンチャーグレードの最小回転半径は5.7mなので、小回り性能はあまり良くありません。
ほかの車種とは異なる悪路向けSUVのような独特の個性を感じます。
新型RAV4の2Lノーマルエンジンは、動力性能がいま一歩ですが、アドベンチャーグレードにはダイナミックトルクベクタリングAWDが装着されました。
それにより、カーブを曲がる時、外側に位置する後輪の駆動力配分を積極的に増やして、車両の進行方向を内側へ向けやすいです。悪路と舗装路の両方で、旋回軌跡の拡大が抑えられています。
SUVの実用性や悪路走破力と、舗装路における楽しい運転感覚を両立させました。
良かった点
・外観は遠方から見てもRAV4と分かるほどに個性的
・舗装路から悪路まで、SUVとしては良く曲がって運転が楽しい
・独自の装備を採用しながら、ミドルクラスSUVの中では求めやすい価格設定
気になった点
・ボディがワイドで小回りの利きはいま一歩。後方視界も良くない
・車両重量が1600kgを上まわり、2Lのノーマルエンジンではパワー不足
・街中を時速40km以下で走ると乗り心地が硬めに感じる
新型RAV4の基本スペック・価格表
新型RAV4のプロフィール
トヨタ 新型RAV4は、全長を4600mm(アドベンチャーグレードは4610mm)に設定された人気の高いSUVです。
基本的なメカニズムやプラットフォームは新型ハリアーと共通で、前輪駆動をベースにしたシティ派ですが、新型RAV4は悪路向けのSUVに似た性格と言えます。
新型RAV4は最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)195〜200mmを確保したことで、悪路のデコボコを乗り越えやすいです。
後席の頭上や足元にも十分な空間があり、4名で乗車しても長距離を快適に移動できます。
新型RAV4のボディサイズ
新型RAV4の燃費
新型RAV4のWLTCモード燃費は、人気の高いアドベンチャーグレードの場合、2Lのノーマルエンジンが15.2km/Lでハイブリッドは20.3km/Lです。
Z PHV 電費
新型RAV4の発売日と納期の目安
新型RAV4の売れ行きは、新型ハリアーほど多くありませんが、日本車の中堅水準です。売れ筋の価格帯が350〜450万円に達する車種としては良好です。今後も現在の人気が継続されるでしょう。
納期と今後のモデルチェンジ予想
新型RAV4が日本で発売されたのは2019年なので、2024年の終盤から2025年にフルモデルチェンジを受ける可能性が高いです。前輪駆動ベースの4WDを主力にしながら、ノーマルエンジンの動力性能を向上させ、安全装備も進化させるでしょう。
新型RAV4のリセールバリュー
リセールバリューの5段階採点:4点
新型RAV4はいま人気が高い野性的な雰囲気のSUVなので、中古車市場でもリセールバリューは比較的高いです。
発売から4年が経過しましたが、売却額に不満を感じることはないでしょう。
新型RAV4のおすすめグレード
おすすめグレード:おすすめグレード:2.0Lガソリン アドベンチャー(368万4000円/4WD)
新型RAV4の推奨グレードは、2.0Lエンジンを搭載するアドベンチャーです。動力性能は大人しいですが、後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させる機能により、SUVカテゴリーのなかでは良く曲がります。
クルマ好きのユーザーは、動力性能よりも曲がりやすさを重視する傾向があるため、2.0Lガソリンのアドベンチャーもそこに合わせてセッティングされています。
最低地上高は200mmを確保したことで、悪路のデコボコも乗り越えやすく、フロントマスクも専用フロントグリルやフロントスキッドプレート、ボディのリフトアップ感を強める専用フロントバンパーなどが採用され、野性味を強められています。
新型RAV4のライバル比較
共通のプラットフォームを持つ新型ハリアーと新型RAV4ですが、ハリアーの内装のほうが高級感があります。
また、4WDが必要ないというユーザーにとっては、新型RAV4は大半のグレードが4WDを搭載しており、SUVというカテゴリーの性質上、2WDは選びにくいでしょう。
新型ハリアーに比べて新型RAV4のほうが、運転して楽しいセッティングとなっており、クルマ好きのユーザーに適しています。機能や装備の割に価格が抑えられていることも特徴です。
マツダ 新型CX-5もライバル車に相当します。車内の広さなどの実用性は同程度ですが、新型CX-5は実用回転域の駆動力を高めたクリーンディーゼルターボが用意されています。
新型CX-5は舗装路指向が強く、新型RAV4は悪路指向といえます。両車とも運転感覚が楽しく、なおかつ個性的なので、乗り比べて判断すると良いでしょう。
新型RAV4のカラーバリエーション
新型RAV4を販売店で試乗するときのポイント
新型RAV4の全長は新型ハリアーやトヨタ 新型ランドクルーザーなどに比べて小さく、運転時に注意するほどの大きさではありませんが、ボディは他のSUVと比べてもワイドです。狭い裏道を走ったり縦列駐車を行って運転がしにくくないか試しましょう。
乗り心地も少し硬く、街中を時速40km以下で走った時に確認しておくと良いです。2Lエンジンを試乗する場合は、登り坂に差し掛かった時に、パワー不足を感じないかチェックしてみましょう。
新型RAV4のメリットとされる後席や荷室の広さも見ておくと安心です。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:島村 栄二/堤 晋一/MOTA編集部】