日本製麻、突然の社長解職 宮森氏、わずか4カ月で

宮森社長が解職された日本製麻の北陸工場=砺波市

  ●会社側「意思決定に支障」宮森氏「事実無根」

  ●投資会社と主導権争いか

 東証スタンダード上場の日本製麻(神戸市、本店砺波市)は21日の取締役会で、宮森宏和代表取締役社長(49)=ゴーゴーカレーグループ会長=を解職し、代表権のない取締役とすることを決めた。日本製麻は「会社の意思決定に支障が出ていた」と理由を発表。宮森氏は「事実無根で到底納得できない」と反発した。一時は筆頭株主として当時の経営陣に退陣を求め、自ら経営トップに就いた宮森氏だが、わずか4カ月で新たな筆頭株主側により退陣に追い込まれた。

 会社側によると、取締役会には宮森氏と山村貴伸副社長の両代表取締役、監査等委員である取締役を含む全5人が出席した。宮森氏の退席後、残る4人で同氏の解職を諮り、賛成多数で決議した。後任の社長には山村氏を選んだ。

 取締役会後、同社は解職理由を「不合理な議事運営、経費申請時の諸問題により、山村副社長の業務執行に混乱をきたすなど、会社の意思決定に支障が出ていた」と発表。広報担当者によると、宮森氏は取締役会の議決に関する意識が薄く、支出に関して適切な手順を経なかったケースがあったという。

 日本製麻では、宮森氏が昨年春から株式を取得して一時的に筆頭株主となり、当時の経営陣に退陣を求めた経緯がある。宮森氏は今年4月の臨時株主総会と取締役会で自らが社長に就き、旧経営陣はほとんどが辞任した。

 一方、宮森氏と時期を同じくして、シンガポールの投資会社「ボンド・キャピタル・クリエーション」も日本製麻の株式取得を進め、ゴーゴーを抜いて筆頭株主となった。宮森氏によると、この投資会社とは6月の株主総会まで連携していたが、今夏になって亀裂が深まったという。

 宮森氏は投資会社との関係について「一部株主の持つ株を10億円で購入するように(投資会社側に)言われ、それを断ってから関係が悪化した」と説明。今後はこの会社との関係を絶つとし、「日本製麻の株式の買い増しなど対応を検討したい。正義は勝つと信じて臨みたい」と語った。

 新社長の山村氏は62歳。旧兵庫相互銀行出身で、6月に日本製麻に入社し、7月の取締役会で、代表取締役副社長に昇任していた。

 日本製麻株は21日の東京株式市場で前営業日比150円高い912円を付けて一時ストップ高となった。

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