大切にしたい青春の声!KATSUMI「危険な女神」はカメリアダイヤモンドCMソング  覚えていますか? 1990年、カメリアダイヤモンドのCMで流れた「危険な女神」

1990年、カメリアダイヤモンドのCMで流れた「危険な女神」

「ずっと推している」というのとはまた別で、大切にしたい青春の声がある。どれだけ年をとっても、聴けばすぐ自意識過剰だった20代前半に戻してくれる、照れくさくもスペシャルな声。私の場合、それがKATSUMI!

1990年、カメリアダイヤモンドのCMで流れた彼の「危険な女神」は衝撃的だった。ガックンガックン低音と高音を行き来する忙しいメロディ。それを躊躇なく歌いこなす艶やかなボーカル。

なんと甘く躍動的なのだろう…! すっかり夢中になった私は、それからシングルが出ては聴き、アルバムを追った。93年にリリースされたシングル「笑顔がいいね」、アルバム『FORCE』あたりまで、約3年のガチ恋状態。声を聴くだけで胸がときめいた。3枚目のシングル「YES,抱きしめて / With Me」の王道アイドル感はもちろん、そして、「君が出会えたこの場所」の新たな冒険が始まるような疾走感、まるで交響曲のようなアルバム『ROSE IS A ROSE』の表題曲「Rose is a Rose」――。どれも美しい布が風にはためき、揺れるかのような聴き心地。毎回違った感動があった。すごいなぁ!

当時のエピソードもユーモラス、JALのCM曲だった「It’s my JAL」

ただ、時が過ぎ、そんな思い出もすっかり記憶の奥に眠っていた。再び目を覚ましたきっかけは、コロナ禍の自粛生活である。音楽に救いを求め、ウツウツと検索に検索を重ねていたところ、偶然、JALのCM曲だった「It’s my JAL」が検索結果一覧に顔を出したのである!

再生ボタンを押したとたん、宝箱の蓋が空いたようにガーッと様々な思いが蘇ってくるから音楽ってすごい。彼の公式チャンネルに飛び、大好きだった歌を聴いた。MVの説明欄に書かれた、ご本人による当時のエピソードもユーモラス。これも心に火をつけた。

ライブに行ってみたい、という思いが募る。すると神様が「よっしゃOK!」と答えてくれたかのように、7月29日に大阪で開催されるライブ情報が流れてきたのだ。運命……!

会場が一体化!「FAVORITES/water.」ライブの興奮

ライブのタイトルは『FAVORITES/water.』。

「FAVORITES」は90年代からの定番曲。それに加え、「water.」という新しくリリースするアルバムの新曲、という構成である。

ライブ会場は大阪梅田にあるSoap opera classics-Umeda-。今回はメモなど取らず、とにかく再会に浸ろうと思って臨んだ。彼の音楽に触れていない30年のブランクが、どう出るのか。もしかしたら全然ピンと来ないかもしれない。そうならライブレポートは書かないでおこう――。そんな気持ちだったのだ。

結果から言えば、私は涙目で両腕を高々と上げ、むちゃくちゃ拍手をしていた。

―― やだもう青春! お帰り青春!

前半は繊細な “静” のイメージ。ゆったりと「あぁ、これが今のKATSUMIさんのスタイルなのだな」と思いながら聴いていた。やさしいピアノに、とてもソフトでまろやかな声が乗る。90年代、彼の特徴だった高音域の伸びは裏声に変わっていたけれど、花を思わせる甘い声は同じ。MCはとても軽やかで、MVの説明欄にあったユーモアセンスがお喋りでも発揮されていた。

「落ち着いていて、ステキだな」と思っているうちに休憩に入った。私はビールを買い、のんびり構えていた。

観客全員が立ち上がり、飛び跳ねる! KATSUMIは、やっぱり王子様!

後半に入ると一気に “動” の趣になり仰天。アップテンポな曲が続き、観客全員が立ち上がり、飛び跳ねる! 会場を見渡すと意外なほど男性が多く、コール&レスポンスは、まさに色とりどりならぬ「声とりどり」だ。「かっこいー!」という女性の黄色い声と、男性ファンの野太いコールがいいタイミングで織り交ざる!「Just time girl」のサビの「ジャストタイムガール!」の部分なんて、一緒に歌い、タオルを回す人続出。もう大盛り上がりである!

「IT’s My JAL」では前の席から紙飛行機が回ってきて歌唱中に飛ばす。そんなテンションMAXの客席に乱入し、イキイキとファンを煽るKATSUMIは、やっぱり王子様であった。

出にくい高音の部分も、挑発的で品のある笑顔を見せ、妖艶に歌いきる。今の彼の持つパワーをじゅうぶんに感じた。それを丸ごと楽しむファンとの一体化が、なんとも楽しい!

気がつけば私も飛び跳ねていた。目頭まで熱くなってきて、潤む目を押さえる。畳み掛けるようにアンコールで「危険な女神」のイントロが鳴るもんだから、もう金切声まで上げてしまった。振り付けをエッチラオッチラ真似し「Lover‘s Keep on Lovin’!」の部分を歌ったのは言うまでもない。

MCで「どんな形でも、必ず1か月に1曲新曲を作る」と語っていたKATSUMI。

今年33周年を迎えた青春の人は、まさにサラサラと流れる水の如く努力を続け、ナチュラルにやさしく音楽とファンに向き合っていた。

行って良かった。今度は私もライブ前にタオルを購入せねば。いっしょに回したい!

カタリベ: 田中稲

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