全国高校野球 裏方に徹した2選手 茨城・土浦日大 チームの快進撃支える

ボールボーイを務めた土浦日大の黒須醍茅選手、飯塚蒼文選手(左から)=甲子園球場

第105回全国高校野球選手権大会で4強入りを果たした土浦日大(茨城)の快進撃を支えたのは、20人の登録選手枠から漏れながらもサポートメンバーとして活路を見いだした3年生の存在だった。

同校では県大会までに選手として区切りを付け、裏方への転身を決断する3年生が全体の8割に上る。その中で、最後まで「背番号奪取」に汗を流してきたのが、飯塚蒼文(あもん)選手(3年)と黒須醍茅(だいち)選手(同)の2人だった。

ベンチ入りメンバーまであと一歩だった。悔し涙を流したが、「将来絶対に生きるから」という柴一太朗部長の言葉で、2人はサポートメンバーとして再出発を決めた。

裏方に徹した2人にとって、部員たちが試合で活躍する姿が何よりの喜び。練習では打撃ゲージなどの設置作業に進んで取り組んだ。試合前日には道具の手入れや確認を欠かさず、最善の準備で主力陣を送り出してきた。

迎えた夢の甲子園。2人は球場のボールボーイとして試合に臨んだ。飯塚選手は「自分たちの行動で試合が円滑に進む」とやりがいを語る。

ボールボーイは「応援禁止」が規則で定められており、自陣ベンチ横で試合を見つめてきた黒須選手は、これまでの快進撃に「自分たちもハイタッチしたい気分だった」と語り、何度か喜びたい気持ちを抑えたという。

2人は同校の歴史を変えた4勝を最も近い場所で見つめた。「悔いはない。選手たちからは諦めず頑張り抜く姿勢を学んだ」と黒須選手。プレーこそかなわなかったが、「甲子園に連れてきてくれた選手たちを支えられた。野球をやり遂げた気持ち」。飯塚選手はそう語り、日焼けした顔に白い歯をのぞかせた。

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