レッドブルF1代表、チームを離れたリカルドに“悪い癖”がついていたと明かす「ブレーキング技術が劇的に変わった」

 レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、ダニエル・リカルドがチームを離れていた間に身につけてしまったいくつかの“悪い癖”を、レッドブルのエンジニアたちが元に戻さなければならなかったと明かした。

 リカルドは2018年シーズンの終わりにレッドブルを離れてルノーに移籍し、2シーズンを過ごして2021年にはマクラーレンに移籍した。だがリカルドのマクラーレン時代は複雑なもので、彼はチームのマシンデザインやハンドリング特性に完全に適応することができなかった。2021年にイタリアGPでマクラーレンに目覚ましい勝利をもたらしたものの、年下で経験の浅いチームメイトのランド・ノリスに後れを取ることが多かった。

 結局チームとリカルドは、高額報酬を伴う契約を1年早く終わらせることを選んだ。リカルドはその後、2023年にリザーブドライバーとしてレッドブルと契約を結び、シミュレーターと開発業務を任された。しかしリカルドがチームのシミュレーターで初めて走行した時、彼はレッドブルがかつて知っていたドライバーではなくなっていることがすぐに明らかになった。

「彼は多くの悪い癖をつけてしまったと思う」とホーナーが説明したと『Speedcafe』が報じた。

「彼の以前のエンジニアリングチームの何人かがそうした癖を取り除かなければならなかった。そしてあっという間に、彼はシミュレーター上では我々が期待していたのと同等の、慣れ親しんでいた状態に戻った」

「その後、我々は現実の世界で検証することを望んでいたが、タイヤテストがその機会になった」

ピレリF1タイヤテスト(シルバーストン) ダニエル・リカルド(レッドブル)

 実際、リカルドがレッドブルの無敵のRB19を走行させたシルバーストンでのピレリタイヤテストは、チームが抱いていたかもしれない懸念を和らげ、彼がハンガリーGPからアルファタウリとともにコースに復帰する道を開いた。

「難しいマシンをドライブすると、最大限の力を引き出すのに妥協が必要になることがあるのが問題だと思う」とホーナーはリカルドの“悪い癖”について詳しく説明した。

「つまり彼のブレーキング技術全体が、我々が慣れ親しんでいたものから劇的に変化していたということだ。彼はマシンの弱点に絆創膏を貼ってドライブしていたようなものだ。その癖をやめると、あらゆることがいっそう自然になり始めた」

 リカルドは7カ月間の大半でレースに出ていなかったにもかかわらず、復帰時の体力は1年前よりも向上していた。

「彼は非常によい状態だ。常に自分の体のケアをしている。それどころか、復帰した時は3カ月の間何も食べていないかのように見えた。でも彼は調子がいい」

「体力的にきついコースであるシルバーストンで、彼は100周以上を順調に走行したと思う。そしてカレンダーのなかでも過酷なコースのひとつであるハンガリーで復帰し、ミディアムタイヤで見せたスティントは非常に印象的だった」

2023年F1第12戦ハンガリーGP ダニエル・リカルド(アルファタウリ)

© 株式会社三栄