「人工芝の捨てていた端材を再利用」サンダルにゴムチップに 富士市の施工業者の挑戦【SDGs】

天然芝よりも手入れが簡単と近年人気が高まっているのが人工芝です。ただ人工芝は施工の際に使えない部分が多く出てしまいます。この余り物を有効活用したいと、静岡県富士市の企業が挑戦しています。

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富士宮市の「やまざき動物病院」には、犬や猫が遊べる広場があります。動物たちがリラックスできるこのスペースに敷き詰められているのが人工芝です。

<やまざき動物病院 山崎稔先生>
「人工芝だと種類もいろいろあるので犬に優しくて。水はけも良くて雨上がりでもすぐ遊べる。人工芝だと手入れが楽というのはある」

天然芝に比べると設置費用が安く、手入れも簡単でコストが低い人工芝は、さまざまなスポーツ施設のほか学校のグラウンドなどでも使われています。しかし課題も抱えています。

<エムズ 村松直樹社長>
Q廃棄するものということだが、どのくらいの量出ていた?
「1カ月に2立米(立方m)コンテナで2回なんで、4立米なんで、かなりの数、新品を捨ててたって感じですね」

富士市にある人工芝を販売・施工する「エムズ」。コンテナの中には人工芝の端材が。人工芝は施工する場所の形や大きさに合わせて切るため、原料の約30%が端材に。2tトラックにして年間約60台分に及ぶ人工芝を捨てていました。

<エムズ 村松直樹社長>
Q施工で使い直すことはできないんですか?
「使いたいが人工芝の色味っていうのが、生産ロッドによって全く変わってきてしまうので廃棄するしかない」

人工芝は少しづつ色味が違います。つぎはぎだらけの人工芝は見た目が悪く、結局、端材の使い道はありませんでした。それでも、どこかに再利用の道はあるはず。「エムズ」が考え出したのが、サンダルへの活用でした。

<エムズ社員>
「全部型を取っても、1個1個手作りですね」

サンダルのインソールの部分に端材の人工芝を使用。このサンダルを履くと、足の裏に少しだけチクチクした感触が。しかし、「それが癖になる」という声もあるそうです。

インソールに使う人工芝の種類は、公園に生えているような長いものからゴルフ場の柔らかくて短いものまでさまざまな種類を楽しめるのも魅力で、すでに300足ほど売れているそうです。人工芝の廃棄を減らすために開発中の商品は、ほかにも。

<エムズ 村松直樹社長>
「この人工芝の充填(じゅうてん)材っていう粒があるんですけど、いま廃タイヤを使ったゴムチップを使っていますが、人工芝の端材で作れないかといろいろな企業と協力して作っています。それを完成させたいです」

充填剤とは、人工芝の間に入っているクッション性のあるゴムチップのこと。抗菌・殺菌作用があるといわれるお茶と人工芝を混ぜることで、環境だけでなく人や動物にも優しい充填剤を目指しています。

<エムズ 村松直樹社長>
「人工芝っていうとものすごいごみを出していた業種になるんですけど、少しでもごみを減らせる業種にできないかなというのが考えるようになったというか」

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