世界最長の捕虫袋はギネス記録に 加西の「聖地」に君臨、「神」と呼ばれる栽培家が愛した植物

ギネス記録に認定された世界最長のウツボカズラ捕虫袋の剥製を持つ土居寛文さん=県立フラワーセンター(撮影・敏蔭潤子)

 甘い蜜で獲物を誘い、葉の先に付いた袋の中へつるりと落とすウツボカズラ。葉や茎を覆う毛の先端からねばねばの液を出し虫をからめ捕るモウセンゴケ…。さまざまな手段で虫を捕らえ、養分を吸収する食虫植物は、栄養の貧しい土地で生き残るため、さまざまな形態に進化してきた。

 兵庫県立フラワーセンター(加西市)では、そんなユニークな植物を約600種、1万株栽培している。全国屈指の規模で、愛好家からは「聖地」と呼ばれるほどだ。

 その中心にいるのが、これまた愛好家から「神」と崇拝される土居寛文さん(61)。担当になってからおよそ35年、試行錯誤を重ねて、日本での栽培方法を編み出してきた。

 昨年、ウツボカズラの捕虫袋が世界最長とギネス記録に認定された。世界レベルに磨き上げられた栽培のノウハウ。土居さんはそれを惜しまず公開し、愛する植物たちの普及に尽くす。食虫植物のカリスマが、歩んできた道のりをたどる。(敏蔭潤子)

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