「タルト」はどっち?「タルト」の概念が違う地域が…

さて、質問です。「タルトはどっち?」
多くの人が左側の洋菓子「タルト(ケーキ)」を選ぶのではないでしょうか。

「小さい時からこっちのイメージが強い」
「生まれた時から」
「愛媛と言えばこのタルト」
「愛媛県以外の人がケーキの方をタルトというのを最近知った」
という答えが、続出。

そう、愛媛県民がこよなく愛す「タルト」は、こし餡をスポンジ生地で巻いたロールケーキ状の菓子のこと。洋菓子の方は、あくまでもタルトケーキなんです。

「タルト」を一口食べると、ふんわりやわらかいスポンジの食感と、爽やかな柚子の香り、優しい甘さの餡が口いっぱいに広がります。老若男女に愛される伝統菓子です。

タルトのルーツについて、明治16年創業の老舗菓子店・一六本舗で尋ねてみました。

さかのぼること江戸時代、1647年に松山藩主・松平定行が長崎でポルトガル菓子に出合い、松山に持ち帰ったのが起源と言われています。もとの南蛮菓子「タルト」は、スポンジにジャムを巻いたものでしたが、定行公が自分好みにこし餡を巻き、柑橘系のジャムを模して四国特産の柚子風味を加えた菓子にアレンジしたといいいます。

贈答用からちょっとした手土産、家庭用のおやつとして幅広く愛される「タルト」は、一六本舗の工場で1日に3000~1万本製造されています。

餡作り、スポンジ焼きなど、ほとんどの工程が機械化される中、最後の『巻き』は、いまだに職人の手巻きにこだわります。

1本当たり2~3秒のハイスピードで巻きつつ、断面がきれいな【の】の字になることが重要。ワン・ツー・スリー、ワン・ツー・スリーと、まるでワルツのステップのようにくるくると優雅にタルトを巻いていく職人技は圧巻です。

300年以上愛されている愛媛の「タルト」。店頭には、定番の柚子風味のこし餡に加えて「栗」「抹茶」「塩レモン」「チョコレート」の他、季節限定ものも並びます。

愛媛県人がお土産として差し出す「タルト」が、あなたの知るタルトと違っていても『まずは一口、食べとーみ。美味しいけん』

「えーっ、これがタルト?」

夏休み明けには各所で、お土産を巡って楽しい会話が繰り広げられいてるかもしれません。

…あなたの地元には、どんなものがありますか?

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