教職員らAED研修 190校 学校での突然死防止へ 茨城

教職員向けの研修会で講師を務めたNPO法人「いばらき救命教育・AEDプロジェクト」立川法正理事長(右)と胸骨圧迫の実演をしたスタッフ=ひたちなか市津田

学校での心停止による突然死を防ごうと、救命救急の普及に取り組むNPO法人「いばらき救命教育・AEDプロジェクト」は21日、教職員向けの心肺蘇生・AED(自動体外式除細動器)の研修会を開催した。茨城大教育学部付属特別支援学校(茨城県ひたちなか市津田)を拠点に、同県内小・中・高・特別支援の190校をオンラインでつなぎ、約5千人が心停止の仕組みやAEDの使用法を学んだ。

講師は同NPO理事長で医師の立川法正さんが務めた。心停止は心臓が完全に止まる場合と、けいれんして血液を押し出せない場合の2種類があり、人が突然倒れた時はほぼ後者だという。AEDの使用はそのけいれんを止める効果があり、電気ショックが必要と判断した場合のみ作動させる。立川さんは「迷ったらAED」と強調した。

救命には心停止から5分以内に電気ショックを行うのが望ましく、「一番大事なのは最初の5分」と繰り返し主張。「心停止の場合、保健室に連れて行こうとするのは絶対にやめて」と注意を喚起した。また、AEDには小児と成人でモードを切り替える機器もあり、「小学生からは成人。小1で体が小さい、などと考えないで」と伝えた。

研修会では胸骨圧迫の実技も示され、参加者は押し込む位置や姿勢、ペースを確かめた。

学校での突然死は2011年、さいたま市で、当時小学6年生だった桐田明日香さんが駅伝の練習中に倒れ、AEDが使われずに亡くなった事例がある。研修会には桐田さんの母親、寿子さんも参加し、「明日香の例は特殊ではない。AEDは飾る物ではなく使う物だ」と訴えた。

茨城大教育学部付属特別支援学校の山本美波子教諭(39)は「明日香さんのVTRは何度見ても心を打たれる。救命への意識を強く持った」と話した。

© 株式会社茨城新聞社