産卵31回、過去2番目の少なさ 全国有数のウミガメ産卵地、和歌山・みなべ千里の浜

砂浜に上陸し産卵するアカウミガメ。今季も産卵回数は低調だった(和歌山県みなべ町山内で)

 和歌山県みなべ町山内の千里の浜でウミガメの保護調査をしている「NPO日本ウミガメ協議会」(大阪府枚方市)と町教育委員会は、今季のアカウミガメの産卵状況をまとめた。19日未明までの産卵回数は31回で、調査が始まった1981年度以降、2021年度と並び過去2番目に少なかった。

 千里の浜は全国有数のアカウミガメの産卵地。協議会によると今季の産卵は、例年より3週間以上遅い6月13日に初めて確認できた。ピークとなる6月下旬にある程度は見られたが、7月に入ってから確認できない日が続き、シーズンを通して低調だった。

 月別には6月が14回、7月が12回、8月が5回。保護調査をする人らは「今季はピークがないままに終わった」と表情を曇らせていた。

 協議会は、上陸したウミガメに標識を付けて観察している。ウミガメは1シーズンに1~4回産卵するとされており、今季に千里の浜で産卵したウミガメの数は15匹だった。回数が同じだった21年度の13匹よりも多かった。

 産卵を年度別にみると、1990年代初めに350回近くあったが、その後に減少傾向となり、98年度に29回まで落ち込んだ。小さな増減を繰り返し、2012、13年度にはいずれも300回近くまで回復したが、翌年から減少傾向となっている。ここ5年間では、19年度は47回、20年度は63回、21年度は31回、22年度は49回。

 協議会の事務局長、松宮賢佑さん(37)は「今季、ウミガメの産卵は全国的にも少ない。年度別に千里の浜も増減を繰り返しており、今は少ない状況。過去の傾向をみると2030年ごろには多くなるとみられるので、それに期待したい」と話している。

千里の浜でのアカウミガメの産卵回数

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