よゐこ有野、株式投資でのNG行動に驚き「仕方ないことじゃないの?」

お笑い芸人・よゐこの有野晋哉さんが、毎月さまざまな専門家をゲストに迎えて、お金の知識を身に付けていく「お金の知りたいを解決!お金の学園〜学級委員・よゐこ有野晋哉〜」。2023年8月は個人投資家でCFPの藤川里絵先生に、株式投資について伺いました。

今回は、「株式投資の始め方」について。最初にやらなければいけないこと、何かわかりますか?


有野晋哉(以下、有野):あぢぃ〜、今日も暑いなぁ。外に出るのが嫌になるし、クーラー効いた部屋にこもってると、ゲームが捗るわ〜。株で稼げるようになったら、一切外に出んと1日ゲーム三昧になりたいなぁ(笑)

藤川里絵(以下、藤川):有野さん、何をお一人で笑ってらっしゃるんですか?

有野:あ、先生! ちょうどいいところに。株で稼げるようになったら、「こんなあっつい夏でも家から出ずに、ゲームばっかりしてられるなぁ」なんて考えてたら、思わずにやけてしましました。

藤川:皮算用ですねぇ(笑) でも、投資の目的があるのは、モチベーションにもなりますし、いいことですよ。

有野:やった、いつも通りゲームの話しただけなのに褒められた(笑) それにしても、この夏はさすがに暑すぎますよね。

藤川:本当ですね。これだけ暑さが続くと、私も日課のランニングをさぼってしまいそうです……ただ、この暑さも株式投資では、儲けのタネになるかもしれませんよ。

有野:え、この暑さがお金儲けに? どういうことですか?

藤川:今回の授業では、株式投資の始め方や、儲けのタネの探し方のお話をしたいと思います。

まずは投資スタンスを決めること

藤川:有野さんは、NISA(少額投資非課税制度)をやってらっしゃるんですよね? 証券会社で申し込まれたんですか?

有野:いえ、銀行ですね。10何個のコースから選ぶやつにしました。

藤川:なるほど、つみたてNISAですかね。では、個別銘柄への投資を始める場合は、まず証券会社に口座を開くところから始めないといけませんね。

有野:証券会社って、駅前の家賃高そうなとこに店舗を構えてる、儲けてまっせ感ぷんぷんのイメージで、そこに入店するってちょっとハードル高いんですよね。

藤川:なんとなく、そういうイメージありますよね(笑) ただ、初めて株式投資をする場合は、手数料や商品数、取引ツールの使い勝手など総合的に考えると、インターネットでの取引が充実している証券会社、いわゆる「ネット証券」がベターかもしれません。SBI証券や楽天証券などがそうです。ネットで口座開設の手続きをして、あとは作った口座にお金を入金すれば、ひとまず準備OKです!

有野:ネットね。口座を作ってお金を入れたら、「デイトレコース」みたいな投資のコースもできるんですか? 前回の授業で知って、ちょっとデイトレに興味でてきました(笑)

藤川:もちろん、デイトレだってできますよ! ただ、つみたてNISAで選んだときのように、「〇〇コース」があるわけではないので、自分で「どの」銘柄を、「いつ」買うかを決めて、自分で注文しないといけません。

有野:えぇ~っ、全部自分で決めなあかんの!? それは不安ですね……先生が決めてくれないんですか?

藤川:自分の好きな銘柄を、好きなタイミングで売り買いできるし、それに対して誰かにとやかく言われることもありません、それが「株式投資」なんです。株式投資にはさまざまなスタンスがある、と前回お話ししましたよね? デイトレ、スウィング、中期投資、長期投資のどれかを選ぶのも、全部自分です。銘柄を買う前に、自分がどの投資スタンスにするのか、決めておく必要があります。

有野:そうかぁ、でもデイトレをやろうとして買っても、株価が下がったら売るに売れなくなって、「よし、中長期に切り替えよう」ってなってしまいそうです。

藤川:少しくらい株価が下がっても「また上がるかも」と思って持ち続けていたら、さらに株価が下がって売るに売れなくなり、そのままズルズルと「含み損」が拡大する、というのは “株式投資あるある”です。売るに売れなくなって買った銘柄を持ち続けることを「塩漬け」と呼びますが、株式投資ではやってはいけないことの1つなんです。

有野:ビットコインが流行った頃によく聞いた「塩漬け」。今もみんなやってますよ。だって、売ったら損失が確定してまうし、邪魔になるもんでもないし、持ち続けたらそのうち株価が戻るかもしれへんわけやから、「塩漬け」も仕方ないことじゃないですか?

藤川:「株価が戻るかも」って、結局は自分の願望じゃないですか。塩漬けの状態だと、その銘柄に投資している資金はずっと寝かせっぱなしなわけですし、資金効率的にすごくもったいない。それなら、買った値段より5%とか10%下がった時点でスパッと損切りをして、次の株価が上がりそうな銘柄を探して買う方がよっぽどいいんです。

有野:なるほど、「損するのは嫌やなぁ」って、ダラダラ持ち続けるのは悪手なんや。損した分を、すぐに別で稼ぐ方が経験にもなっていいのか。ゲームでも、敵を全滅させるアイテム見つけたら、「1番効果的な所で使おう」って思って進むより、バンバン使って、次のアイテム拾いに行く方がいろんなアイテムを知れるし経験になる、みたいな事か。「ミスったら待たずに次!」の精神ね。あ、これ恋愛でも言えるな。フラれたら次!

藤川:長期目的で買った場合は、ある程度の株価下落も想定しておくべきです。しかし、デイトレとかスウィング目的で買ったのに、株価が少し下がったからといってダラダラと持ち続けるような、「スタンスをゴチャまぜにする」のは止めたほうがいいですね。自分勝手な都合や考えでスタンスをコロコロ変えてしまうと、失敗する可能性が高いでしょう。

「トライ&エラー」を繰り返して勝ち方を見つける

有野:じゃあ、「デイトレでやる」って決めたら、デイトレだけをしたほうがいいってことですか?

藤川:「この銘柄はデイトレ」「この銘柄は中期投資」と、スタンスをトレードによって使い分けるのは全然アリです。ただ、「この銘柄はデイトレでやろう」と決めて買ったのなら、その日のうちに売るようにすべきですね。

有野:前回習った、寝てる間に「リーマン・ショック」起きたらどうすんの、ってやつですね。よし、まずはモニターたくさん買うとこから始めてみよか? あ、その前にドバイに引っ越さな! でも、そんなにモニターをたくさん並べても、何を映したらいいんですかね?

藤川:知識も経験もゼロの状態から、いきなりデイトレは厳しいかも。

有野:ですよねぇ(笑)

藤川:有野さんは、「さまざまなブームとかヒット商品に触れることが多い」という強みをお持ちなので、それを活かして中期投資から始めるのがよさそうな気がします。が、何事も経験ということもありますから、少額でデイトレをしてみるのもいいかもしれません。銘柄にもよりますが、最低単位の100株なら、失敗しても数千円程度の損で済むはずです。

有野:数千円なら、ゲームソフト一本分か。でも、やっぱり損はしたくないなぁ(笑)

藤川:私の経験上、投資スタンスや売買のやり方などを自分でしっかり決めている人のほうが、投資の成績はいいですね。少し上手く行かなかったからと、コロコロとスタンスを変えるようでは、なかなか自分に合ったスタンス、投資手法を見つけることは難しいと思います。

有野:株は「ミスったら待たずに次!」やけど、スタンスは変えるな、か。難しいなー。変えるのがよくないなら、自分に合ってないやり方を続けることになるかもしれませんよね?

藤川:その可能性はありますね。とりあえず、瞬間的な判断力が必要なデイトレではなく、ある程度、時間に余裕を持って銘柄を探すことができる「中期投資」あたりから初めてみるのがいいでしょう。これは株式投資についてだけのことではありませんが、大事なのは「トライ&エラー」。

有野:ゲームでもよく使う言葉です。昔のゲームはやられたらスタート地点まで戻されるから1機をすごく大事にしてたけど、今のゲームはオートセーブ機能があって、やられても戻し作業がないから、若い人はバンバンやられて、何度もトライするんですよね。エラーを恐れて進めないより、何度でもトライするのが大事、って事ですかね。でも、失敗は怖いなぁ。

藤川:失敗してしまった場合、「なんで失敗したのか」を考え、次は同じ失敗をしないようにすることが大切なんです。もちろん、失敗ばかりだと嫌になっちゃいますので、買った銘柄の株価が上がったら、数千円でもいいので、利益を確定する「利食い売り」をしてみるといいかもしれません。

有野:失敗してへこんでいる暇はない、ってことか。ゲームでも、戻し作業が怖くてエラーしたくない世代なんですよね。だから、ボス戦とかで「こういうやり方で負けたから、次は違う方法でやってみよう」ってなります。でも1番の理想は安全地帯を探してそこからの攻撃です(笑) そのためのトライ&エラーは苦じゃない。

藤川:トライ&エラーを繰り返していくことで、次第に「勝てるやり方」がぼんやりと見えてきます。それを繰り返して、勝てる確率が高いやり方を見つけるんです。それさえ見つけることができれば、投資家として一人前。もう勝ったも同然です。

有野:勝てる確率が高いやり方か、例えば「夏だったらアイスが売れるから、アイスを売ってるとこ買えば勝てる」とか、そういうことですか?

藤川:夏ならアイスやビール、エアコンなど、冬なら暖房機器やウィンタースポーツ関連の銘柄が実際に買われたりします。季節性が絡む銘柄を「シーズンストック」と呼び、猛暑や厳冬など、通常より暑さ寒さの度合いが激しいと、シーズンストックの注目度が増して、株価が上がることはよくあります。

有野:暑ければ暑いほどアイスが売れるからか。よっしゃ、もう勝ち方見つけた!

藤川:もっとも、「暑ければアイスが売れる」のは、誰もが知っていること。株式投資は、まだ他の投資家が知らないうちに、先行して買うことができれば大きな利益が期待できますが、大半の投資家が知っている情報だけでは、そこまで大きく勝つのは難しいんです。

有野:なーんだ、勇み足だったかぁ〜。

「流行」には投資のヒントが眠っている!

藤川:でも、そこからもう一歩踏み込んで、コンビニやスーパーで発売した直後に「このアイスは大ヒットしそう」と目を付けて、そのアイスを作っている会社の株を買ってみるのは全然アリですよ。

有野:じゃあ、かき氷の氷を削る機械はどうですか? 他の機械よりフワッフワの氷が削れるやつなら、めっちゃ売れるやろうし。

藤川:いい視点だと思います。問題は、その手の機械メーカーが上場しているかどうかですが……。調べてみたところ、ホシザキという厨房機器メーカーが、全自動製氷機やアイススライサーを手掛けていますね。実際にホシザキの株価の動きを見てみると、夏にかけて上がっていますね。

有野:おぉ~、もしかして銘柄探しのセンスあるかも?

藤川:ただし、いまから猛暑を材料に買うのはちょっと遅いかも。「猛暑になってかき氷機が売れそう」ということを、他の投資家が気付く前、遅くても春先くらいには買っておきたいところです。

有野:ほんまや。株価めっちゃ上がってるやん。くっそ~、遅かったか(笑) 今年は凍らせて使うネッククーラーも流行ったけど、もう遅いか。

藤川:でも、目の付け所はまさにそういう感じですよ。ちなみに、この「かき氷機」のヒットを狙うとすると、冷夏になってしまった時は失敗する可能性が高そうです。

有野:そうか、確かに寒かったら売れへんもんなぁ。気候にも詳しくないとあかんわけや、流行りも見つつ、ちゃんと流行るかの暑さも見つつ、ライバルは居ないかも見つつ、多角的に見て買うのか。う〜ん、難しいですね。

藤川:何年か前、タピオカが流行ったじゃないですか? それで、タピオカを販売している「業務スーパー」の運営会社の株がめちゃくちゃ上がったんですよ。もちろん、流行し始めた時に買っていれば、資金が何倍にもなったんですけど、流行っている途中で買っても2倍くらいにはなっていました。タピオカブームが去って株価は下がりましたが、儲けのヒント、チャンスはそこかしこに眠っているんですよ。

有野:じゃあ、朝の情報番組を見まくる、ってのもアリですね。

藤川:それは本当にそう! 流行は本当に投資のチャンスになります。販売会社、チェーン店、素材を手掛けている会社など、いろいろな視点で見て、その流行で稼ぎそうな銘柄を探す。これが、株式投資の醍醐味の1つなんです。

有野:そうなんですか。でも、街を歩いてる時に、これよく見るから流行ってるのか、どこの会社だ? これを卸してるのはどこ? 他によく似たものはないか? って、株のことばっかり考えるのは疲れそうやなぁ。

藤川:初めのうちはそうかもしれません。でも、それを続けているうちに習慣化するので、そこまで疲れることはないと思いますよ。大切なのは、「流行やヒット商品で株価が上がるかもしれない」という視点を持つこと。その視点がない人とある人では、世の中の見える景色が全然違うんです。

有野:そうか~。その知識は欲しいなー。調べてたらその知識が貯まって、あ、何年か前に同じようなの流行ったよね、って物知りにも見られる! でも、今まで生きてきて、そういう物事の見方なんて考えもしませんでした。

藤川:ほかにも、業績や株価のデータなどの「数字」から銘柄を絞り込んだり、株価のチャートの形によって買う銘柄を決めたりするなど、銘柄の選び方はたくさんあります。ただ身の回りの情報から買う銘柄のヒントを探すやり方が、これから株を始める人にとっては、一番手掛けやすいと思います。

有野:確かに、いきなり勉強しなきゃいけないことがいっぱいだと、始める前に挫折しそうです。

藤川:それに、ヒントを見つけた時は、「もしかしたら、この情報で株価が上がるかも」などと考えて、ワクワクするんです。大事なお金に関わることとはいえ、楽しみながらじゃないとずっとは続けられませんからね。

有野:じゃあ、先生がニヤニヤしてる時は、そういう儲け話が思いついた時ってことか。街中でニヤけてる先生を見かけたら、今度から声をかけるようにするんで、何を思いついたか教えてくださいよ。

藤川:実際にヒントを見つけた時は、本当にニヤニヤしているかもしれませんね(笑) 有野さんも、思わずニヤけてしまうような、いい投資のヒントが見つかるといいですね!

有野:ヒントを見つけるために、まず一番身近なゲームをいっぱいやることにします(笑) 先生、ありがとうございました!

9月からは、税理士の小島孝子( @tkojimataxoffic )先生をお迎えし、「インボイス制度」について学んでいきます。次回は9月5日配信予定。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

藤川里絵
2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。負けない投資がモットー。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を、日本中の(とくに数字オンチの)人に広めるため、講演活動、パーソナルトレーニング、オンラインサロンと多岐に活動中。おもな著者に『月収15万円からの株入門 数字音痴のわたしが5年で資産を10倍にした方法』(扶桑社)、『株は5勝7敗で十分儲かる!』(ビジネス社)、『株の達人が教える世界一楽しい会社四季報の読み方』(SBクリエイティブ)

ライター:新井奈央

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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