万成石の魅力発信へ 岡山で石彫展 全国の彫刻家「50の表現」

万成石を使った多彩な石彫が並ぶ会場

 墓石、建材需要の落ち込みで存続の危機に直面する岡山市特産の花崗岩(かこうがん)・万成石の魅力発信を目指し全国の彫刻家が集った石彫展「万成石50の表現」が22日、同市北区天神町の県天神山文化プラザで始まった。淡いピンクを帯びた肌合いから石彫の素材としても愛される万成石の多彩な作品が、訪れた人々を魅了している。27日まで。

 若手からベテランまでの約50人が、25センチ角程度の石材で作った彫刻を1点ずつ出品。大間光記さん(岡山県矢掛町)は、モコモコの凹凸で万成石の柔らかな表情を印象づけた。原仲裕三さん(広島市)の作品は、原爆の「黒い雨」がテーマ。黒い塗料を垂らした石材に陶の折り鶴を乗せ、平和への祈りをうたう。愛らしい狛犬(こまいぬ)、丸みを帯びた花器も入場者の関心を集めていた。

 万成石の産地、岡山市北区万成地区では、戦後の最盛期に9社に上った採石業者が今春、1社にまで減少。厳しい状況に長年、万成石を使った抽象彫刻を手がける小林照尚さん(64)=同市=らが企画した。

 小林さんは「展示を通して万成石の良さと可能性を見直してもらいたい」と話している。

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