【MLB】ヤンキース8連敗… 33年ぶり最下位の危機

写真:今季不調が続くヤンキースのロドン。不名誉な連敗を止められるか

ヤンキースの連敗が止まらない。

日本時間8月21日のレッドソックス戦、先発のクラーク・シュミットが好投を続けたがリリーフ陣が踏ん張りきれず、最後はクレイ・ホームズが勝ち越しを許して敗戦。連敗はついに8連敗に伸びた。

ニューヨークに本拠地を構え、常勝球団として知られるヤンキース。それだけにここまでの不振はチームの歴史上稀に見るものとなっている。米CBSニュースによればもしヤンキースが明日敗れ9連敗となると1982年以来の記録となる。それ以上となると、1912年に記録した11連敗、さらに1913年に記録した12連敗しか残っていない。100年以上にわたって更新されなかった不名誉な記録が近づいてきているのだ。

また、ヤンキースがこのまま最下位に沈めば1990年以来、33年ぶりの出来事となる。現状4位とは5.5ゲーム差があり、プレーオフ進出はおろか最下位脱出も極めて難しい。まさに今年のヤンキースは多くの不名誉な「歴史的記録」を更新するシーズンとなってしまっている。

ヤンキースがここまで成績を落とした要因の1つは主力の離脱・不調が相次いだことだ。野手で言えば昨オフ再契約を果たした主砲のアーロン・ジャッジは故障が相次ぎ、ここまでわずか70試合の出場。ジャンカルロ・スタントンやアンソニー・リゾ、ジョシュ・ドナルドソンといった高額年俸の選手は軒並みほとんど貢献を残せないままでいる。データサイト「Fangraphs」によれば今季のチーム打率は.230で30球団中29位。平均を100としたときの総合的な攻撃力を示すwRC+は94で、同21位だ。

さらに苦境に立たされているのが先発投手陣だ。今季のヤンキースはフランキー・モンタスが開幕前の時点で今季絶望となっていたほか、カルロス・ロドンやネスター・コルテスJr.も相次いで故障。ドミンゴ・ヘルマンはアルコール中毒の影響でシーズンを終了するなど期待された先発投手が次々と戦線を離れてしまった。

また、ローテーションに残るルイス・セベリーノも15試合で防御率7.98と惨憺たる成績であり、エースのゲリット・コールやシュミットに次ぐ先発はほぼ期待できない状態となっている。先発投手の防御率は4.81で30球団中25位、代替可能な選手を基準として総合的な貢献度をはかるWAR(Fangraphs算出)は4.7で30球団中24位と、目を覆うような成績が並ぶ。

このような状況を踏まえ、ヤンキースのフロントは若手の起用に切り替える方針を取り始めているようだ。MLB公式ニュースによれば、チームはMLB公式のプロスペクトランキングで3位の有望株であるエバーソン・ペレイラをMLBへ昇格させる。さらにチーム2位の有望株ジャッソン・ドミンゲスもAA級からAAA級へ昇格させるようだ。今季のトレード期限では売り手・買い手の明確な意思を見せなかったヤンキースだが、1ヶ月ほど遅れて再建の方向へ舵を切ったと言えるのかもしれない。

連敗阻止がかかる日本時間8月23日のナショナルズ戦、ヤンキースはロドンが先発予定だ。大型契約を結んだロドンだが、今季は相次ぐ離脱の影響もあってか6先発で1勝4敗、防御率は7.33。なかなか思うような投球が出来ないままでいる。不名誉な記録更新を阻止するためにも、本来の能力を取り戻すことができるだろうか。

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