タイ、タクシン派が大連立政権 セター氏が新首相、親軍連携

22日、タイの首都バンコクで記者団に話すセター氏(AP=共同)

 【バンコク共同】タイ上下両院は22日、やり直し首相選を行い、タクシン元首相派「タイ貢献党」の元実業家セター・タビシン氏(61)を新首相に選出した。タクシン派は敵視していた親軍派2党との協力に転じ、計11党の大連立政権が発足する。5月の総選挙で選出された下院(定数500)と軍が任命した上院(同250)で、予想を大きく上回る計482議席を獲得した。

 首相在任中の汚職など3事件で実刑判決を受け2008年8月から国外逃亡中だったタクシン氏が、連立交渉を事実上取り仕切った。タクシン氏は投票直前の22日午前、約15年ぶりに帰国した。自派中心の新政権樹立を見越して帰国を決断したとみられ、内外で影響力を発揮しそうだ。

 新政権では日本など海外からの投資重視と協調外交路線は継続される。総選挙で大敗した親軍派との連立には「有権者への裏切り」との批判が強いが、国情の安定と経済再建の加速を求める声も強く、経済界などは大連立を支持している。

 セター氏は記者団に「国民の暮らしを改善するため最善を尽くす」と語った。

タイ上下両院での首相選を前に報道陣に囲まれ、笑顔を見せるタイ貢献党のセター氏=22日、バンコク(同党提供・共同)
バンコクのドンムアン空港に到着したタイのタクシン元首相(中央)=22日(共同)

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