維新・馬場代表の「福祉法人乗っ取り疑惑」報道に「法的手段とる」と息巻いた維新幹部が弱腰に!「政治と金」報道にもゴマカシ反論

大きな反響を呼んだ日本維新の会・馬場伸幸代表をめぐる「社会福祉法人の乗っ取り」疑惑。馬場代表は今年6月に「ドレミ福祉会」の理事長に就任しているのだが、馬場氏が同法人の設立者である高齢女性の認知機能の低下を把握しながら成年後見制度を利用することもなく、自筆証書遺言を書かせたり任意の財産管理契約をさせていたと「週刊文春」(文藝春秋)が報道。しかも、馬場氏本人がその事実を認めている音声データまで入手し報じたのだ。

しかし、「週刊文春」による報道が出たあとも、馬場代表は疑惑の説明をおこなうことなくスルー。本サイトでも報じたように、維新の藤田文武幹事長は会見で「名誉毀損に当たるところは法的措置をとる」「人権侵害に近い」などと宣言し、訴訟をちらつかせて報道を封じようとする強気な姿勢を見せたのだ。

ところが、ここにきて維新の姿勢は明らかにトーンダウン。というのも、馬場代表は16日に放送された『リベラルタイム』(BS11)に出演したのだが、司会の渡辺美喜男氏から「こないだも『週刊文春』でパワハラか、セクハラか、両方(報道が)ありましたね(笑)」と振られると、こう答えたのだ。

「こういう(支持率上昇の)状況になるとメディアからの注目も増えますから、メディア側を恨むんではなしに、自分の兜の緒を締めるということが必要だと思いますねえ〜」

疑惑についての説明を一切しないという態度は相変わらずだが、「法的措置をとる」「人権侵害に近い」と息巻いていた藤田幹事長とは対照的に、馬場氏当人から、法的手段に訴えるといった強気発言はまったくなかった。「メディアを恨むんでなしに」などという言葉は、「事を荒らげたくない」と考えているようにしか聞こえなかった。

しかも、強気な態度だった藤田幹事長の態度も、あきらかに後退。馬場代表の「自分の兜の緒を締める」発言を受けて、朝日新聞の記者から「法的措置はもうとらないということか」と17日の記者会見で問われると、藤田幹事長はこう述べたのだ。

「本件についてはもう数年前から弁護士さんに入っていただいて適法にやり取りをしてきたというのが、それ以上でも以下でもない事実。その事実にたがう、または誹謗中傷、プライバシーの侵害にあたるものについては、それはやっぱり認められることじゃないというふうに思うので、それはやり方は考えるということであります」
「法的措置まで行くかどうかは今後検討する」

●馬場代表の「乗っ取り疑惑」報道に一転弱腰な一方、「政治と金」報道をデマと徹底攻撃

「法的措置をとる。当たり前ですけど」とまで口にしていたのに、「やり方は考える」「今後検討する」と発言を後退させた藤田幹事長。「適法にやり取りしてきた」という自信があるのであれば、乗っ取り疑惑について個別具体的に反論できるはずなのに、この弱腰は、何かやましい事実があるとしか思えない。

だが、問題はこのあと。乗っ取り疑惑については、あからさまに弱腰な姿勢に一転させた藤田幹事長だが、今度は「週刊文春」が報じた馬場代表の「政治とカネ」問題を「デマ」だと断言し、徹底糾弾をはじめたのだ。

「週刊文春」は馬場代表の乗っ取り疑惑を報じた前週も、「《徹底取材》維新を暴く!“改革政党”のウソと暗部」と題した大特集を掲載。そのなかで〈馬場氏は税金が原資の政治資金を自身に還流させ、かつその使途がブラックボックス化している〉と指摘していた。

そのひとつが、維新が鬼の首をとったように騒ぎ立ててきた「文書通信交通滞在費」(現・調査研究広報滞在費)の問題だ。

維新は国会議員に毎月100万円が支給されている文通費について「国会の非常識」などと大キャンペーンを展開。しかし、キャンペーンの先頭に立っていた吉村洋文・大阪府知事自身が衆院議員を辞職した際、在職期間たった1日で満額100万円を受け取っていた事実が発覚。さらに、維新がHPで公開していた文通費の使途報告書を見ると、議員が自分が代表を務める政党支部や資金管理団体に寄付するという「セルフ領収書」が平然と横行していたことが判明。もちろん、金には色がついていないため、政党支部や資金管理団体に流れた文通費が何に使われたのかを確認することはできない。

無論、それは馬場氏も同じだ。「週刊文春」は、馬場氏が2016年から2021年の6年間、〈文通費の支出総額7200万円のうち約74%にあたる約5318万円を自らが代表を務める政党支部「衆議院大阪府第17選挙区支部」に寄付〉していたと指摘。これはすべて公開情報に基づいた事実だ。

ところが、この報道に対し、藤田幹事長は「使い古されたネタを悪意を持って書かれている」などと攻撃。「この機会やから、ちょっと言うておきますけど」「馬場代表は結構、訴訟もやって実際、勝訴してることもある」などと恫喝めいた前置きをした上で、猛然と反論をはじめたのだ。

●馬場代表の文通費横流し問題めぐる維新・藤田幹事長の反論がひどい! “セルフ領収書”の正当化まで

しかし、馬場代表の文通費横流し問題に対する藤田幹事長の反論は、まったく反論になっていないシロモノだった。

「『文通費を公開しましょう』って言って、僕ら公開してます。(中略)以前は使ったものを領収書公開すると。これ、他党やってませんから。全部公開して、何に使ってるかがわかると。で、残金があった場合は政党支部、自分が代表の政党支部に繰り入れさせてもらうと。そうすると、政党支部に入るということは全部、収支報告で公開されますから。だから全部公開されると。これを何かロンダリングしてるとか、自分たちのために使ってるとかっていうのは、もうなんか、ようするに、まったく理解の浅い勉強不足の人が言ってるだけで」

「馬場代表は勝訴したこともある」とまで言うのでどんな反論をするのかと思いきや、さんざん批判されてきた「セルフ領収書」を正当化しただけ。しかも「政党支部に入るということは全部、収支報告で公開されますから」などと藤田幹事長は胸を張ったが、前述したように政治団体に流された文通費の具体的な使い道はわからない。しかも、維新議員の2020年分の政治資金収支報告書を見ると、文通費を横流しした先の政治団体では新興宗教団体への講習会費や飲み食い代、維新の地方支部・議員への会費・寄付に流れていたのである。これを「ロンダリング」と言わず何と言うのか。

その上、この維新による文通費の使い方が批判されていた2021年11月、『報道1930』(BS-TBS)に出演した馬場氏は、司会の松原耕二キャスターから「領収書を公開すればいいのか」と問われた際、「文通費の使途は決まってない」「個人の良心に任せる。飲み食いに使っても構わない」などと開き直っていたのだ。藤田幹事長は維新の文通費問題に対する批判を「理解の浅い勉強不足の人が言っているだけ」などと述べたが、国民の税金からなる文通費を“第2の財布”扱いしてきたくせに、まったくよく言ったものだ。

しかも、維新は文通費のロンダリングが批判されたことを受け、昨年から自身の政治団体への寄付を禁じ専用口座で管理することとしたのだが、藤田幹事長はその内規の変更を持ち出し、馬場氏の文通費ロンダリング批判について、こう述べたのである。

「そういう意味で、マネーロンダリングしてるとか自分のために使ってるとか、使途不明やとか、そういうようなことは完全なデマなんで。それについては報道のあり方としてどうなのかなと。報道なのか、もはやわからないですけど」

繰り返すが、馬場氏が2016年から2021年の6年間、文通費の約74%にあたる約5318万円を政治団体に横流しするという行為をおこなっていたのは、公開情報に基づいた歴然たる事実だ。それを「完全にデマなんで」と反論するとは、それこそデマではないか。

●馬場代表の2億4300万円使途不明問題でも、藤田幹事長は文春に逆ギレ反論したが…

さらに、藤田幹事長による「週刊文春」批判は止まらない。

「週刊文春」は文通費問題と合わせて、馬場氏の「政策活動費」の問題に言及。2016年から2021年のあいだに、「日本維新の会本部」は馬場氏が代表を務める政治団体「日本維新の会国会議員団」に約9億6400万円を支出しており、さらにそこから「政策活動費」名目で「馬場伸幸」個人に約2億4300万円を支出していると指摘したのだ。

たしかに、政治資金規正法では政党から政治家への寄付が例外的に認められており、維新以外の政党でも幹部に対し、使途の報告義務がない「政策活動費」や「組織活動費」といった名目で支出をおこなっている党はある。だが、維新は「『身を切る改革』と徹底した透明化」を掲げる政党であり、代表の“政治資金の私物化”疑惑は捨て置けない問題だ。しかも、その使途不明金は約2億4300万円という巨額にのぼるものなのである。

しかし、この当たり前の報道に対し、藤田幹事長は信じられないような反論を繰り出したのだ。

「(政策活動費について)もう、すべて領収書があって、何に使ったかというのはわかるように党内のガバナンスとしてなってますから。だからこれを馬場代表、または党のガバナンスのあり方が杜撰で無茶苦茶であるかのごとく誤った認識のもとで書くということについては、これ、報道のあり方としては僕は明確に間違ってると思うので、そういうものについては抗議していく」
「そういう間違った情報を国民のみなさんも知ることになり、誤解になって正しい判断ができなくなる」

巨額の政治資金が馬場氏個人に寄付され、使途不明金となっている問題について、藤田幹事長は、なんと「何に使ったかは党内でわかるようになっている」と言い出したのである。党内で把握したところで、それが何に使われたのか国民に公開されないのであれば、それは「使途不明金」にほかならないではないか。何が「間違った情報」だ。

このように、馬場代表の「乗っ取り疑惑」について具体的に説明・反論しない代わりに、馬場代表の「政治とカネ」報道に対して、いちゃもんとしか言いようがない滅茶苦茶な反論をがなり立てた藤田幹事長。だが、この反論によって、維新がいかに身を切らず、身内に甘い政党であるのかがはっきりしたとも言えるだろう。

ちなみに、「週刊文春」はその後も継続して取材をつづけており、本日公開の「週刊文春電子版」では「乗っ取り疑惑」の続報を掲載しているという。馬場代表の逃げ切りを許さないためにも、大手メディアもダンマリをつづけるのではなく徹底追及してほしい。
(編集部)

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