「日本で一番初めに赤ちゃんプランを始めた宿」

Facebookでは当館をこのように紹介しています。しかし、実は日本初かどうか分かりません。というのも、当時検索などして確認していないので、確証がないのです。その代わり、今現在のメイン商品である「ゆりかご」という宿泊プランは、赤ちゃんの「旅行デビュー」のための専用プランで、日本で初めて発売しました。ですから、「日本で一番初めに赤ちゃんの旅行デビュープランを始めた宿」というのが正解なのです。

(紋屋の赤ちゃんプランは、こちらです)

(なお余談ながら「日本初」ということでは、日本で初めて旅館の女将として配信されたメルマガは、1999年10月からの家内による「新米女将のひとり言」でした。)

世の中は、「デビュー」流行りだった!

「旅行デビュー」という言葉も当時は一般的に使われておらず、実は私が作りました。当時「公園デビュー」という言葉を目にした時、なんだろうと思ったものです。「公園デビュー」があるなら「旅行デビュー」があっても良いはずだ。そのための専用プランを作ろうと思い至ったのです。

「旅行デビュープラン・ゆりかご」からは、他の赤ちゃんプランの離乳食もセットメニューにしました。添い寝から大人と同じ寝具をご用意。ご家族の記念写真には女将の直筆の言葉を添えてパウチしてプレゼント。紙おむつ用の専用のごみ箱やお尻ふき、授乳枕や調乳ポットも置きました。お食事はお部屋出し、もしくは個室食事処を確約。ロングセラーの「すやすや」より接遇内容を厚くしました。

接遇内容が厚いプランがなぜ売れる?

新生児用の「ゆりかご」プランより3歳未満を対象とした赤ちゃんプラン「すやすや」の方が需要が多いのではと思いました。しかし、結果は圧倒的に「ゆりかご」でした。新生児であろうがなかろうが、接遇内容の厚い高単価プランが人気だったのです。

一番最初の赤ちゃんプランのパイロット版では、お若い赤ちゃん連れのお客様は予算も限られるだろうからと、かなり廉価版のプランにしました。ところがよく考えてみると、赤ちゃんは世帯収入に関係なくどの層にも生まれる訳で、予算のある方もない方もいらっしゃいます。

いやむしろ、子供が生まれる前は高級旅館に泊まっていた方が、いざ子供が生まれて泊まりに行こうとしたら、高級旅館は赤ちゃんNGだったというお話も伺いました。

私どもは高級旅館ではありません。しかし、平日お一人3万円を超す「露天風呂付き離れ」泊の赤ちゃんグルメプランも売れています。まさしく、予算のある方も限られる方も、赤ちゃん連れのお客様にはいらっしゃったのです。

(これまでの寄稿は、こちらから)

寄稿者 高尾憲資(たかお・けんすけ) 季粋の宿 紋屋 代表取締役社長

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