家計簿が習慣化しなかった原因は「手間」と「選択ミス」、続けるコツは?

家計管理のために家計簿をつけた方がいいのはわかっているけど、「大変そうで手が出せない」「やってみたけど続かなかった」という方も多いのではないでしょうか。その原因として、作業する手間と、生活スタイルに合った方法を選択していないことが考えられます。

家計簿は日々の生活のお金の動きの記録であり、作業量が少なくないからこそ、家計簿をつける動作や仕組みが生活の中に無理なく組み込めていないと継続が難しいのです。

家計簿をつける方法として、ノートや手帳などの紙媒体に記録する、パソコンでエクセルなどの表計算ソフトに記録する、家計簿アプリを使うなどがあります。自身のライフスタイルに合うのはどんな方法か、考えていきましょう。


手軽に使えるツールの選択で負担軽減

ノートや手帳、パソコンなどを使って家計簿をつける派の人の場合、時間を作って自分の家計管理と向き合うというメリットがあります。支出1つ1つとしっかり向き合うことが出来て、無駄が見つかりやすくなるでしょう。その反面、そのツールが手元にある時しか作業できなくなるため、家計簿の付け忘れや、溜まったレシートの山を見てモチベーションが下がることも考えられますね。

では家計簿アプリ派の場合はどうでしょうか? アプリはスマートフォンがあればいつでも使うことができます。思い立った時、隙間時間にも利用することができますし、自宅に限らずどこにいても利用が可能です。やろうと思った時にすぐできる手軽さがメリットです。

一方、入力の手間が省けるというイメージのあるアプリですが、キャッシュレス決済の中でもQRコード決済については、連携未対応の決済サービスもあるため、手入力が必要な場合があります。また家計簿アプリによっては有料プランでないと利用できない機能もあり、求める機能の幅によっては費用がかかり続けてしまう場合もあります。最初にしっかり確認しましょう。

金融機関やクレジットカードなどの利用情報をインターネット上で使用することに不安を感じる方は、家計簿アプリに情報を入れることに対して抵抗を感じるかもしれません。いつも持ち歩くスマートフォンを紛失した際の、情報漏洩リスクも考えられます。

習慣的に記録と管理をするためには紙媒体、パソコン、アプリのどれが自分に合っているかという視点で選択することをおすすめします。

利用頻度が高い決済方法との相性は?

ここ最近は、現金よりもキャッシュレスでの支払いが増えましたね。経済産業省が公表しているデータによると、2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%となっています。ポイントが貯まるメリットなどもあるため、現金よりもキャッシュレス決済による支払い割合が高い方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

家計簿アプリは、キャッシュレス決済との相性がいいんです。その理由として、銀行口座、クレジットカード、電子マネーなどの金融サービスや、ショッピングサイトなどと連携させることができ、連携したサービスの入出金情報や決済情報が、自動で反映される機能が備わっているからです。

初めに連携をさせるための設定が必要となりますが、設定をすれば自動で情報が入ってくるため、自分で入力をする手間を大幅に減らすことができます。キャッシュレス決済の利用割合が高い人ほど、“家計簿をつける負担”の軽減効果が大きくなりそうですね。

複数のキャッシュレス決済を利用している場合、それぞれの利用明細を家計簿アプリで一元管理できる、というメリットもあります。利用明細を個々のサイトなどで見る必要がなく、家計簿アプリ上でまとめて確認できることで、支出の把握がしやすくなるでしょう。

また、万が一不正使用された場合、クレジットカードや他の決済方法の明細は、見ても月一程度という方が多いのに対して、頻繁に確認する家計簿アプリであれば、不正利用に早めに気がつくことができるでしょう。

このような理由から、キャッシュレス決済による支払い割合が高い方は、家計簿アプリを検討してみてはいかがでしょうか。

家計の改善効果に繋がる家計簿

家計簿をつけるからには、その効果を感じられることも大切なポイントですよね。家計簿はつけること自体が目的ではなく、振り返って家計の改善に活かしていくことが本来の目的だからです。振り返る際に見る集計記録についても、その負担感や見やすさが、家計簿によって異なります。

手書きの家計簿の場合、日々の記録に加えて集計作業を別途行う必要があるため、リアルタイムでの把握はしづらいという側面があります。

ただしノートや手帳などの紙媒体、エクセルで家計簿をつけていく場合、レシートなどを確認しながら記録をしていくため、購入内容を振り返る機会にもなり、ムダな支出に気がつきやすいというメリットがあります。支出の中身をここの商品まで細かく見直していきたい方は、自分で記録をしていく紙媒体やエクセルの家計簿が効果的でしょう。

家計簿アプリの場合、自動集計機能があるため、自身で集計作業をする必要はなく、画面を切り替えるだけで、いつでも集計を確認することができます。手入力、自動反映と同時に集計にも反映されるため、チェックしたいタイミングで経過を見ていくことができます。経過に応じて支出のペースや内容を意識することで、臨機応変な対応も取りやすくなり、使い過ぎを防ぐなど、家計の改善効果が期待できます。

家計簿アプリの種類と利用形態にもよりますが、月単位、年単位の比較もアプリ上で簡単に行うことができます。検証のしやすさが改善点の発見に繋がり、具体的に何をどう変えようという未来の行動にも変化が出てきますね。

家計簿アプリの自動連携や自動集計機能の手軽さ、支出の全体像を把握しやすいことはメリットでもありますが、自動で明細が入ってくることでレシートごとの購入内容をチェックする機会が減ることから、買い物ごとの支出のムダの気づきや実感は得にくいかもしれません。

選ぶツールによって一長一短ありますが、「予算を立て、実際に支出したものを集計し、振り返る」という3ステップの作業がしやすいことが選ぶポイントです。


家計簿を続けていくためには、家計簿をつける手間を減らし、ライフスタイルに合ったツールを選ぶことが大切なのは前述した通りです。

家計簿が習慣化されることで、自分の家計がどのくらいのサイズなのかが分かり、予算と振り返りをすることで改善点が見えてきます。「支出を減らしたい」「貯蓄を増やしたい」など、その目的にもよりますが、家計簿をつけることで家計の改善効果につながることは間違いありません。

家計簿のつけ方や自分に合ったツールがよく分からないという方は、ファイナンシャルプランナーなど、専門家に相談するのもいいでしょう。家計管理は一生つづくものですので、手間なく継続していける方法を考えましょう。

© 株式会社マネーフォワード