鳴き声から読み取る馬の気持ち

乗馬を初めて馬と過ごす時間が増えると、色々な鳴き声を聞く機会が出てきますよね。今回の記事では、そんな馬の感情表現や鳴き声の種類について紹介します。馬が今どんな気持ちか知りたい!という方は必見ですよ。

馬の表現もさまざま

人間と馬は言葉で話すことはできません。しかし、馬の様子を観察していると「あ、今はこんな気持ちかな」と分かってくることがあります。馬の感情を知るには、どこに着目すればよいのでしょうか?

馬の耳は非常によく動きます。さまざまな感情も耳に表れるのでよく見てみましょう。例えば、緊張している馬は耳をピンと立てていろいろな方向に向けます。また、怒っているときや怯えているときは耳を後ろに伏せていることが多いです。

馬の唇は、食べ物を選り分けたりモゾモゾと人の服をつまむなどとても器用。そんな唇や口の動きを見ることでも、馬の緊張度などを推測することができます。たとえばリラックスしているとき、馬の口は緩んで半開きになることも。逆に、気が張っているときは口を固く閉じていることが多いです。

首の角度

基本的に馬は緊張感が高まっているときほど首をまっすぐ立てているようです。逆に、リラックスしているときは地面と並行になるくらいまで首を下げています。緊張といっても悪いことばかりでなく、騎乗中に首を上げているのは人の指示にシッカリ注意を向けている証拠と考えて良いでしょう。

鳴き声

今回のテーマである「鳴き声」。これも、馬の感情を理解する上で大切な手掛かりです。ところで、みなさんは馬の鳴き声といえばどのようなものをイメージするでしょうか?一般的には「ヒヒーン!」といういななきのイメージが強いかもしれませんね。

ですが、乗馬を始めてみると「意外と馬ってヒヒーン!って鳴くことは少ないな…」と感じる人も多いはず。実は、馬には数種類の鳴き声があります。中には珍しい鳴き声もあるので、ここからは「ヒヒーン」も含めた鳴き声の種類や意味について詳しく見ていきましょう。

鳴き声で感情を理解する

馬と過ごしていると「馬って意外といろいろな声で鳴くんだ!」と気付くと思います。どんなときにどのように鳴くのか知ることで、今よりもっと馬の気持ちが分かりやすくなりますよ。

さまざまな種類の鳴き声

最もメジャーな「ヒヒーン!」という鳴き声は、遠くにいる仲間に対して呼びかけていると言われています。寂しくて他の馬がいる場所へ行きたいときや「ここからは見えないけど、誰かいる?」と確認したいときの鳴き声ともいえるかもしれません。

そして、放牧中は「ヒヒーン」のほかに、高く短く「ヒン!」と鳴く声も頻繁に聞くことができます。これは、接近してきた相手に「近づかないで!」と警告する声

また、気持ちよく走っているときやエサの時間に聞くことができる「ブルル」「ブル、ブル」という鼻を鳴らすような音は、テンションが上がっているときの鳴き声です。

少し珍しいものとしては、低くつぶやくような「ググググ…」という静かな鳴き声があります。こちらは、子馬がいる時期しか聞くことができないレアな鳴き声。お母さんが子供をあやすような、子馬に安心感を与えるための鳴き声といわれています。

鳴き声の長さ・高さ

馬の鳴き声の長さや声の高さには、ある程度決まった傾向があります。まず鳴き声の長さですが、同じ種類の鳴き声であっても呼びかける相手が遠いほど鳴き声が長いようです。隣にいる人には「おい」、遠くにいる人に「おーい」と呼びかけるようなものかもしれません。

また、相手を威嚇する「ヒン!」という鳴き声と子馬に向けた「ググググ…」という鳴き声を比べても分かるように、緊迫度の高いときほど鳴き声は高くなります。逆に、穏やかな気持ちのときは鳴き声は低めですね。

信頼関係を深める

馬の鳴き声についていくつか紹介してきましたが、鳴き声の意味を知ることは馬と信頼関係を深めるためにも重要です。

鳴き声と感情を結びつける

鳴き声には、警告や呼びかけなど色々な意味があります。その意味を知れば、馬が今どんなことを考えているのか推測しやすくなります。

ただし、鳴き声の種類を覚えるのは最初の一歩。耳や身体の動き・周りの状況・その馬の性格などの情報も踏まえて、実際の鳴き声と馬の気持ちを紐づけていく作業を繰り返してみましょう。

これによって、馬の気持ちを推測できる精度が少しずつ上がっていくはずです。馬の考えていることが細かくわかればわかるほど「こうして欲しいのかな」「これはやめておこう」といった関わり方の判断もしやすいですよね。

理解と同時に信頼も深まる

みなさんも、自分のことをよく見て気付いてくれる人には好感が持てるのではないでしょうか?逆に、伝えてもうまく伝わらないと苛立ってしまうこともあるかもしれません。

馬も同じで「自分のことを分かってくれているな」と感じれば、その人への信頼は深まります。つまり、馬の気持ちをしっかり憶測できるようになれば、馬からも信頼されやすくなるということですね。

加えて、馬を理解することが信頼の形成だけでなく事故防止に役立ちます。例えば、馬は驚いたり警戒が高まったりした状態では大きな動き・急な行動をとりがちです。しかし、行動を起こす前に気付くことができれば危険な場面を避けることができるかもしれません。

そのためには、鳴き声や様子から「馬が何かに対して怖がっている・怒っている」と気付いたら、早期に対象を取り除いたり軽減することに努めましょう。馬に安心してもらうことは、人や馬の安全を守ることにもつながります。

まとめ

馬とかかわり始めたばかりの頃は「何を考えているか全くわからない…」と戸惑うこともあると思います。そんなときは、鳴き声を一つの手がかりとして馬の気持ちを推測してみましょう。馬の考えが分かるようになるにつれて、馬との信頼関係も強くなっていくはずですよ。

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