JR南武線高架化案 「開かずの踏切」解消なるか

立川市と国立市の住民を悩ませる「開かずの踏切」の解消に向けた動きです。最大で1時間あたり約40分、遮断機が閉まっている踏切があるJR南武線の一部を東京都とJRなどが高架化する案が明らかになりました。

その案が「開かずの踏切」を含めた現在19カ所の踏切が設置されている立川駅から谷保駅までの3.7キロを高架化するというものです。この高架化の案が混雑の解消につながるのでしょうか?地元住民が注目しています。

西国立駅と矢川駅との間にある「青柳踏切」。地元では「開かずの踏切」として知られています。この日も猛暑の中、多くの通行人が踏み切りの前で待たされていました。

実際にどれだけの時間、通ることができないのか?平日午前7時からの1時間、計ってみると、踏切が閉まっていたのは合わせて39分もの間でした。1時間のうち3分の2ほどが遮断されていることになります。この「開かずの踏み切り」に対して、近くに住む人に話を聞くと…

(近くに住む人):「電車が結構頻繁に来るので、空いたと思ったらすぐ。またふさがっちゃうから」「仕事があるときは、混んでるというか開かなかったりするので、ちょっと困るなってときはある」「電車が3本4本通るでしょ、そのときは来なくなっちゃう」

また近くの駅前にある踏切でも、ラッシュ時間には車が長い列を作り、混雑が起きていました。こうした長年にわたる混雑に対し、東京都とJRなどが解消にむけた「第一歩」を示しました。今月開かれた地域住民向けの説明会で発表されたのがJR南武線の一部を高架化する案です。

(東京都新良課長):「青柳踏切については、遮断時間が一時間あたり40分以上、開かずの踏み切りというものになる。こういった踏切が、地域を分断したり自動車や歩行者の通行を妨げたり、踏切事故の危険性を有している」

東京都やJR東日本などが示した素案では、立川駅から谷保駅までの3.7キロを高架化することで、この間の合わせて19カ所の踏切をなくすという内容となっています。これにより、踏切事故や交通渋滞の解消になると東京都は説明しています。

また、高架化する案の事業費は約960億円で、地下化する案と比べると事業費の半分ほどの金額に収まるということです。この高架化の素案は今後、東京都の都市計画や環境評価などの審議を踏まえ、検討をしていく方針です。

ここからは取材した多摩ニュースセンターの白井記者とお伝えします。

Q:事業の規模や課題などはどうなってるんでしょうか?

A:今回の計画にかかる事業費は約960億円を見込んでいます。東京都は地下化と比べて半分ほどの予算で収まることをメリットとしてあげていて、東京都とJR・沿線の2市、それと国の補助によって、まかなう予定です。沿線の国立市は、駅前のにぎわいの創出や地域の防災力を高める効果を期待しています。

Q:地元からはどんな声があがっていましたか?

A:「開かずの踏み切り」が解消されることには賛成の声も多かったのですが説明会で住民からは「騒音を考えると、地下化の方がよいのでは?」「工事でどれだけいままでの道が使えなくなるのか?」「住民が納得できるよう安全に進めてほしい」などの声があがっていました。

事業にかかる期間だけでも13年ほどかかる計画ですが、まだ素案の段階なので今後は都市計画と環境評価などの手続きを経て、具体的な計画に進みます。東京都には多くの住民の納得と丁寧な説明の上で、この事業を進めてほしいです。

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