今夏の記録的な猛暑で、青森県産農作物への影響が懸念されている。津軽地方ではリンゴの日焼けが見られ、果物や野菜の生育不良などの被害も全県で出始めている。水稲は稲刈りの適期が平年より10日ほど早まる見通しで、刈り遅れた場合の品質低下が不安視されている。
22日昼過ぎ、藤崎町のふじ原木公園。日当たりのいい場所にある「ふじ」や「紅はつみ」でリンゴ2~3個の日焼けが見られた。日焼けした果実は価格の安い加工用となるため、公園を管理する農家の相坂清志さんは「なるべく生食用で出荷できるよう、水やりをして園地の温度を下げる対策を取る」と話した。
弘前市の「ファームなる実」でも「つがる」数個に日焼けが見られた。通常なら今後、着色を促す葉取り作業を行うが、葉を取れば日焼けの恐れも高まる。鳴海純代表は「今年は葉取らずリンゴが増えるだろう」。
むつ市大畑町で夏秋イチゴを生産する「あべファーム」では実焼けによる変色や割れなどのため、収穫量が昨年の2割程度に落ち込んでいる。阿部伸義代表(44)は「下北はイチゴ栽培に適した(寒冷な)環境だが、今年は仕方ないと思うしかない」とため息交じりに話した。
メロン産地のつがる市。ごしょつがる農協によると、主力品種「タカミ」は表面が黄色くなり、収穫後長持ちしない過熟傾向となった。成長が速いため、収穫を例年より1週間ほど前倒した農家も多いという。
弘前市の弘果弘前中央青果そ菜(野菜)部の担当者は、大玉のトマトの入荷が例年より4割ほど少ないと説明。暑さ続きで実が大きくなる前に成熟しているためという。
県や市場関係者によると、多くの作物は現時点で出荷量や品質に目立った影響はないというが、県りんご果樹課の担当者は「ここ数年で猛暑が一気に進み、技術的な対策が追いついていない」と危機感を示した。
水稲の生育も大幅に早いペースで進んでいる。県は17日時点で、刈り取り適期始めが9月6~9日ごろと、平年より10日ほど早まると予測。刈り遅れると胴割れなどの品質低下につながるため、県農産園芸課は「農家への情報提供をより密にしていく」とした。