2023夏ハートランド倉敷 ~ 倉敷美観地区の夏の夜を彩るあかり巡り

うだるような暑さが続く8月の倉敷。

ついつい外出がおっくうになりがちですが、家にいるのはもったいない。

倉敷美観地区では期間限定で夜のイベントを開催していますよ。

日中の暑さが和らぐ夕暮れ時から始まる「ハートランド倉敷」です。

昨年(2022年)よりパワーアップして開催されています。

さっそく初日に現地へ足を運びました。

ハートランド倉敷について

今年(2023年)で41回目を迎えるハートランド倉敷。

コロナ禍の影響で2020年と2021年は2年連続中止に追い込まれました。

中止前の例年は、倉敷美観地区一帯でゴールデンウィークの昼間に開催。

倉敷市の市の花である「藤」をテーマに、くらしき藤娘や瀬戸の花嫁の川舟流しが見どころでした。

くらしき藤娘(2018年撮影)

3年ぶりの開催となった2022年からは時期・開催時間・コンセプトががらりと変更に。

同じく観光シーズンの8月に時期が変わり、夜にあかりを鑑賞するイベントとなりました。

2023年の夏も引き続き8月の夜に開催。

新型コロナウイルス感染症が5類感染症になったのを受け、ワークショップなど各種イベントやエリアが増えました

それでは、イベントの一部を紹介しましょう。

2023年のようす

2022年からプログラムに大きな変化のあったハートランド倉敷。

2023年のイベント内容は、おもに3つにわけられます。

  • あかり(プロジェクションマッピングやライトアップ)
  • ハートランド倉敷 主催イベント
  • ハートランド倉敷 共催イベント

さらに細かくイベントが設定されているので、簡単に紹介しましょう。

あかりイベント

メインのあかりイベントは、以下のとおりです。

倉敷美観地区内の5か所で、あかりがあります。

まったく異なるタイプのライトアップを楽しめますよ。

プロジェクションマッピング

ハートランド倉敷の目玉のひとつ、プロジェクションマッピング。

5分間の映像を児島虎次郎記念館(旧中国銀行本町出張所)に投影します。

鑑賞する場合は、道の端にコーンで仕切られた場所から見ましょう。

映像は建物の外観に合わせて作られているので、リアルに感じられます。

倉敷市の市の鳥のカワセミ、倉敷市の花の藤など倉敷にゆかりのあるものが登場。

よく見ると見覚えのある絵画も…大原美術館が所蔵している作品です。

四季を感じられる映像には、蔦が建物に絡まったり、朝顔が元気よく咲いたり、睡蓮の池に雨が降ったり。

これらもすべて大原美術館や倉敷美観地区にゆかりがあります。

倉敷らしさが5分間の映像にぎゅっと詰め込まれていました。

提灯と希莉光あかりのやさしい和のあかり

幻想的なあかりに包まれた倉敷物語館。

和提灯は昨年より数が増えて460個に。

見上げる高さまできっちりと並んだ和提灯を背景に、写真を撮って楽しむひとであふれていました。

空を仰ぐあかりの向かいには、地面に置かれた希莉光あかりが幻想的な世界を作っています。

ひとつ一つ絵柄の異なる希莉光あかり。

大原美術館の丸窓や倉敷アイビースクエアの門など、倉敷の風景が描かれています。

地面に投影される影まで計算されて作られているので、じっくり時間をかけて鑑賞してみては。

大木と石畳のライトアップ

倉敷美観地区の風景をライトアップする演出も。

倉敷アイビースクエアでは石畳をライトアップしています。

2022年は青色一色でしたが、2023年は時間の経過とともに色が移り変わり、より幻想的に。

アイビー学館横にある巨大な大木、メタセコイアもライトアップ。

少し奥まった場所にあるため、気づかれないこともある木ですが、鮮やかな色に照らされて見どころのひとつとなっていました。

大木なので撮影は縦撮りが撮りやすいですよ

ハートランド倉敷 主催イベント

体験型のイベントが新たに登場しました。

思い出作りにぴったりですね。

「切子ちょうちん」ワークショップ

希莉光あかりの原点となった切子ちょうちんを作るワークショップです。

好きな柄を切り貼りして完成。

切子ちょうちんを片手に夜の倉敷美観地区を散策してもよさそう。

写真提供:倉敷光作所

観光川舟の藤装飾

倉敷の観光で人気な「くらしき川舟流し」の川舟が期間中、特別に藤の花で装飾されます。

風流な体験ができるだけでなく、歩くのとは異なった視点で町並みを眺められるのもポイントです。

船頭さんの豆知識を聞きながら水上をゆったりと進みます。

筆者が取材に訪れたハートランド倉敷の初日のオープニングでは、倉敷小町が川舟に乗って登場しました。

浴衣に藤の花がぴったりで、倉敷らしさも感じられる演出でした。

ハートランド倉敷 共催イベント

ハートランド倉敷の共催イベントも魅力がたっぷりです。

天領風船鯰

倉敷市立美術館のエントランスホールの頭上に展示されている天領風船鯰(なまず)。

イルミネーションをより楽しむなら、土日限定ですが夜がおすすめです。

目の覚めるような鮮やかな緑一色になったり、虹色のグラデーションになったりと次々と色が変わります。

ただ見るだけかと思いきや、巨大な天領風船鯰を動かせるようです。

鯰の下に置かれている「かなめ石」を介して、ひとの動きに反応する仕組みになっています。

かなめ石に向かって手を叩たり、動かしたりしましょう。

ひとの動きに合わせてヒレがパタパタ動いたり、目がきょろきょろしたりします。

かなめ石

さらにワークショップも開かれます。

ワークショップは終了しました。

注意点は以下です。

  • 申込不要・各日先着150人
  • 所要時間40分程度
  • 受付は終了時刻の30分前
あかりうお(写真提供:倉敷市観光課)
キャンドルなまず(写真提供:倉敷市観光課)

2022年より時期や時間帯を変え、夏の夜に開催となったハートランド倉敷。

担当の倉敷市観光課の安原訓子(やすはら のりこ)さんに話を聞きました。

暑さ和らぐ夏の夜を彩るハートランド倉敷のあかり。

2023年はさらにエリアが拡大し、ワークショップも開かれています。

イベント担当の倉敷市観光課の安原訓子(やすはら のりこ)さんにインタビューしました。

開催時期が変わったきっかけ

──以前はゴールデンウィークに日中での開催でしたが、なぜ2022年から8月の夜になったのでしょうか。

安原(敬称略)──

昨年(2022年)はコロナ禍で「密を避けて楽しんでいただけるイベントにしよう」と混み合うゴールデンウィークから時期をずらしたからです。

分散してご来場いただけるよう、開催期間を延ばし、観光客が少なくなる夜に設定しました。

2023年は、2022年の好評を受けさらに日数を増やし、17日間で開催します。

観光客や帰省するかた、みなさんに楽しんでいただくため、お盆を挟むよう前倒ししてスタートしました。

昼間の景色もすてきなので昼夜両方楽しんでいただきたいですね。

新たな取り組み

──新しい取り組みがありますか?

安原──

新たなエリアに倉敷SOLA(くらしきソラ)が加わりました。

中庭には巨大希莉光を飾り、会場をライトアップし、庇(ひさし)にあかりの装飾をしています。

巨大希莉光

プロジェクションマッピングは、5分ほどの映像でして、倉敷の四季と絵画の世界を旅するストーリーとなっています。

大原美術館さんと協力し、制作を進めました。

映像には、美術館が所蔵している絵画が登場しますよ。

投影場所は、2022年の倉敷館 観光案内所から児島虎次郎記念館(旧中国銀行本町出張所)へと変えました。

多くのかたがプロジェクションマッピングを撮影していました

また倉敷川の萩をライトアップが見えやすいように、イベント前に刈り取りもしました。

萩が刈り取られすっきりとしました

夜の倉敷美観地区を巡ってほしい

──どのようにハートランド倉敷を楽しんでいただきたいですか。

安原──

いろいろなあかりなどを巡っていただきたいですね。

今回は、地元の園児たちがデザインしたうちわを商店街に飾っています。

電車を利用するかたは駅から倉敷美観地区へ向かいながら、お車のかたは足を延ばして商店街を散策しながら鑑賞していただければうれしいです。

共催イベントのひとつに倉敷市立美術館で展示している「天領風船鯰」があります。

この鯰は2018年に岡山市の天神山文化プラザで展示される予定だったんですが、平成30年7月豪雨で一度水没してしまいました。

再制作を経て他の企画展で展示された鯰が、この度倉敷にもやってきました。

写真提供:倉敷市観光課

期間中は日中もずっと展示をしていますが、光る鯰を見られたければ夜の来館をおすすめします。

プロジェクションマッピングの放映はありませんが、写真や動画を撮りたいかたは平日だと混雑が少ないのでおすすめです。

期間が長めなので、土日も平日も何回も来てくださるとうれしいですね。

おわりに

夏の夜の倉敷美観地区を彩るハートランド倉敷。

筆者が訪れたイベント初日は大勢のひとびとでにぎわっていました。

町並みとあかりのコラボレーションを鑑賞したり、写真や動画を撮ったりと思い思いに楽しんでいるようでした。

あかりは各スポットで点在していますが、倉敷川を中心に鑑賞しながら次のポイントへと移動できます。

イベントは2023年8月27日まで。

暑さが和らぐ夜に倉敷美観地区へ出かけませんか。

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