スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.46 中山雄一さん(2回目)

 ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はTGR TEAM SARDの関口雄飛選手から、チームメイトの中山雄一選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークがこの企画です。これまでの連載は、まとめページを作りましたのでぜひご参照ください。

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 前回は関口選手オススメのラーメン屋さんについてアツい情報をうかがえましたが、チームメイトならではの質問を中山選手に投げかけてくれました。たしかに中山選手は“好漢”そのもの……というの認識が筆者もあったので、本人がどう答えてくれるのかはかなり気になってました。ではいってみましょう!

* * * * *

──そんなこんなでよろしくお願いします。今回は2回目の登場ということで、よろしくお願いします。
中山雄一さん(以下中山さん):なんと2回目ですか。あれ? このコーナー、GTドライバーみんなに回ったんですか?

──いや、さすがに回ってない。
中山さん:回ってないのに2回目が来たんですね。

──今回チームメイトの関口雄飛さんからの質問……というか、お悩みが来ましたので、まずはそれにお答えいただければ。
中山さん:けっこうえげつない質問が来るんじゃないかと思ってるんですが(笑)。

──ん〜。割と(笑)。ではそのまま読みます。え〜と。『昨年から一緒に組んでますが、それまで実はあまり喋ったことなかったんですよ。組んでからはもちろん喋ることも増えますし、一緒にゴハンを食べに行ったりしますよね。で、彼はすごくおっとりしている感じがあるんですよね。それに、ほとんど怒っているところを見たことがないんです。昨年一度、無線で声を荒げているときがあったんですが、下りてからも普通で。イラッとすることでもそうでもないように見えるんです。自分だったらイラッとして口に出てしまいそうな時でも、受け流すというか。それは意識してやっているのか、はたまた生まれもったDNAによるものなのか、それとも育った環境なのか……!? というのを自己分析してみてほしいです。それと、もし意識的に平和的に物事を解決しようとしているのであれば、どういう試みをしているのか、コツを教えて欲しいです』……だそうです。
中山さん:あ〜なるほど。

──たしかにそういうところはある気がしてますが、どうなんでしょ?
中山さん:たしかに昨年、声を荒げたことはありました。J SPORTSさんの『Team Radioプラス』の放送をご覧になった方は分かると思うんですけど、そういうシーンがあったんです。そのシーンについては今も納得いってない思いもあります。その旨は(脇阪)寿一さんにも服部(尚貴)さんにも話して一度決着がついたんですけどね。

──ほう。そんなことがあったのか。怒るのは年イチくらいですかねぇ。
中山さん:どうだろう。でも例えば、関口選手と一緒に食事に行ったりしますよね。で、いろんなシチュエーションがあるわけじゃないですか。そうすると、僕がイラっとする数秒前に関口選手が先にイラッとしてるんです(笑)。これで同調するとえらいことになるぞ……と思って、ちょっと我に返るというか、反対側に位置しておかないと空気感のバランスがとれないというか……(笑)。そういう風に考えがちなところはあります。自分の感情も出るんですが、同時に俯瞰して自分がどっちに行くべきなのか考えるクセはあります。

──それは意識してやってるのかしら。
中山さん:たぶん両親の教えが大きいんだと思います。子どもの頃はかんしゃくを起こすことはもちろん多いと思うんですが、僕の両親はけっこう理詰めで説明してくるんです。その時は『何言ってるか分からない』と思うんですが、物の道理から教えられて、これについては怒っても良いけど、これは言っちゃダメだよ……みたいな、物事の組み立て方は教えられてきました。

──ほうほう。
中山さん:あとは、寿一さんがそういう考え方をもっていますし、僕が怒っていることを寿一さんに伝えれば、あとは処理してくれますし。そういう安心感はあります。

──でも、雄一くんといえばパドックで歩いていても、いつもにこやかで爽やかな印象はたしかにあるのですよ。そこは生まれつきなもの?
中山さん:いや、そんなこともないですよ。僕はだいたい後半スティントを担当することが多いのですが、ゴールして、ピットに戻ってくるまでの間の顔はほぼしかめ面ですね(苦笑)。そこでいろいろ発散して、寿一さんなり他のスタッフが緩衝材になってくれるので、その後はにこやかになれます。

──切替上手なのかな?
中山さん:どうですかねぇ? その自覚はないです。意外とその後のクルマの中で悶々としはじめることはありますよ(笑)。自分ひとりで考え出すとモヤモヤしちゃいます。まわりに誰かいるとちょっと落ち着く感じはあるかもしれません。

──あと、関口さんからの『もし意識的に平和的に物事を解決しようとしているのであれば、どういう試みをしているのかコツを教えて欲しい』をお答えいただければ。
中山さん:コツですか(笑)。そうですねぇ。いま、その時点で属している組織がどこに向かっているのか、その中で僕が怒った方が有益なのか、静かにしているのが有益なのか、そういう見方はしたいと思っていますね。

──なるほど。これを読んで解決に至るのかは良く分かりませんが。
中山さん:そういう性格なんですかね。まあ僕も頭にくることはありますし、割と温和、落ち着いているイメージの人は多いと思うんですが、コース上ではそうではない僕に遭遇する人はたぶんいると思うんですよ。全員が全員に優しいわけじゃないですし、争っている時に割と僕の“ブラックな部分”が見えるときがあると思うんですよ。

──ほ〜なるほど。ではこれでお悩み解決としておきたいと思います。

2023スーパーGT第3戦鈴鹿 関口雄飛/中山雄一(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)

■レーシングドライバーは今後どう対応すべき?

──そんなこんなで、最近お悩みありますか?
中山さん:これが難しいんですよね〜。前回は中古車の話ですよね。

──A70スープラが欲しいけどいつ買うべきかということを谷口さんに聞いたという話ね。で、スープラは買ったの?
中山さん:これが買ってないです(笑)。結局渋っていたら、コロナ禍の終わりかけが見えてきて、『あれ? これは価格がどっちに振れるか分からないぞ?』と思って、待っている状況です。意外と価格も下がるんじゃないか……? とも思って。でもそれにしても、それなりの金額がかかるじゃないですか。渋っちゃいますね。

──ではそれ以外にお悩みをぜひ。
中山さん:う〜ん。いま脳が活性化してます(笑)。なんだろう。もっと前から考えておけば良かった。ちなみにヒラノさんの悩みはなんですか?

──逆に聞きますか(笑)。来年あたりクルマを買い換えようと思っているんだけど、どのクルマにしようか迷ってるところ。B〜CセグメントくらいのSUVで、3車種くらいには絞ってるんだけど。あと、最近は物価高で出張経費がかかりすぎて、金が貯まらないところ(フリーランスなもので、宿泊費と燃料費がけっこう切実です)。
中山さん:あ〜なるほど。いいな〜パッと話せる悩みがあって(笑)。

(その後も5分くらいワタクシのクルマの悩みを話してました)

──これ、完全にこちらのお悩み相談じゃないか(笑)。
中山さん:そうですね(笑)。う〜ん、では、今後モータースポーツ界の動力は何に変わっていくのか……という質問はどうですか? 気になるところで。

──……ほほう。まあ、個人的にはハイブリッドのレーシングカーとかもそろそろもっと増えてきて欲しい気もしてる。
中山さん:そうですよね。ハイブリッドもそうですし、水素なども出てきていますが、まだ切り替わるまでにはかなり時間はかかりますよね。

──それこそスーパーGTで使っているカーボンニュートラルフューエルという選択肢もあるわけで。
中山さん:そうですね。やっていかないと分からないこともありますし。……というか、こんなマジメな話でいいんですか?

──たまには良いんじゃないかしら。
中山さん:そういうところに詳しいドライバーさんいないですかね。

──では、スーパー耐久で液体水素を使うGRカローラに乗られている石浦宏明さんにご登場願いましょうか。
中山さん:そうですね。マジメな線で、今後レーシングカーはどういう動力になると思いますか? そのために心がけていることはなんですか? と聞いてみたいです。あと、石浦先輩と同じ年齢になったときに、何をしたらいいですか? と聞いてみたいです。

──あれ。雄一くんって何歳になりました?
中山さん:もう32歳になりました。まだ先は長いと思うんですが、“こうなると良いな”というビジョンがある人はいっぱいいる中でもキャラも含めて、石浦さんがどういったことを考えて生きていらっしゃるのか気になります。小学校をまわって水素エンジンのことや、カーボンニュートラルについて説明することをやられてきてますが、僕も今年からそれに参加させていただいているなかで、そういうことも気になりはじめているので。

──なるほど。ではその壮大なテーマをぶつけてみましょう。
中山さん:そうですね。今後、CO2を出さず、環境破壊をしない方向に世の中が向かっているなかで、その中でレーシングドライバーはどう順応すべきなのかの意見をお願いしたいです(笑)。面白くないですかね〜。

──いえいえ。石浦さんがあの立場で、どういう返答をしてくれるのか楽しみで仕方ないです。ありがとうございました!

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 そんなこんなで、次回はこのコーナーの第1回に登場したTGR TEAM ZENT CERUMOの石浦宏明さんの登場です。実は今回の掲載段階でまだ取材はしておりません。どんなお話が聞けるのか乞うご期待!

2023スーパーGT第3戦鈴鹿 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)

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