再エネと自然共生へ 青森県が9月に方策公表

 宮下宗一郎知事は23日、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーと自然環境の共生を図る県の方策を9月中に公表する意向を明らかにした。方策には、陸上風力発電の推進区域や禁止区域などを定めるゾーニング条例の制定に向けた考え方も盛り込む方針。八甲田周辺で計画されている「(仮称)みちのく風力発電事業」について、白紙撤回への協力を求める関係6市町からの要望の場で説明した。

 同事業を巡っては、実施区域内に水源かん養保安林などの水源地が含まれるほか、八甲田の自然環境への影響が懸念されることから、地元住民らから水質や景観の悪化を不安視する声が上がっている。宮下知事は「(同事業に限らず)事業者が自然環境を破壊しうるような問題は今後尽きないと思う」とし、方策の必要性を述べた。

 宮下知事は「再エネの推進を図る必要はあるが、自然環境や歴史的に大切にしてきた景観、信仰が毀損(きそん)される開発があってはならない」と強調し、ゾーニング条例の制定を目指す考えを示した。洋上風力についても、推進する場所などについて県として統一した考えを提示する方針。

 再エネなどの開発は現在、環境影響評価(アセスメント)の手続きに沿い、周辺環境などへの影響を調査、評価している。宮下知事は「環境アセスは事業を進めるための手法で、ゾーニング条例は、事業を実施するかしないかの入り口の段階。ゾーニングに加えて、市町村の意見が反映されるような仕組みも検討したい」と述べた。

 再エネの推進と規制に関する動きは、他県でも相次いでいる。岩手県は、環境アセス第1段階に当たる配慮書作成時の事業者向け指針を策定。宮城県は、森林地帯を開発する事業者から税を徴収する条例をまとめた。

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