日本旅行中間決算、国内回復で55億円黒字 組織風土改革で不正再発防止へ

日本旅行は8月23日、2023年度中間連結決算(2023年1月1日~6月30日)を発表した。全国旅行支援等の再開や新型コロナウイルスが5類移行などの要因で、国内旅行が回復するとともに、入国水際対策の緩和などで、訪日旅行需要が回復し、売上高は前年同期比52.5%増の1059億6500万円、純利益は約倍増となる同91.6%増の55億800万円となり増収増益となった。愛知県で発生した全国旅行支援受託業務における不正請求への対応として、今後は組織風土改革などの再発防止策の徹底に取り組んでいく方針を示す。

営業利益は同141.6%増の77億9200万円、経常利益は同123.4%像の80億9300万円だった。

日本旅行個別決算は、売上高は同52.8%増の966億5200万円、営業利益は65億7100万円(前年同期から34億2千万円増)、経常利益は67億7900万円(同35億9500万円増)だった。特別損益は1億7千万円、法人税等控除後の当期純利益は46億4200万円(同21億8400万円増)。

同社は、「中期経営計画2022~2025」に基づき、ビジネスモデルの変革や組織改正等を契機とした構造改革を継続的に展開している。

ソリューション事業では、事業ポートフォリオ経営への転換に向けた地域と本社における運営体制の変更を実施。国や自治体が抱える課題の把握や情報収集を推進し、JR西日本グループやアライアンスパートナーとの連携を含め、各地域の誘客事業や経済対策事業など各種事業の受託拡大に取り組んでいる。

ツーリズム事業では、西日本エリアをはじめとしたJRセットプランを中心にウェブ販売の強化に取り組むと共に、店頭販売では来店の事前予約化等によるサービスレベルの向上を推進した。

国内旅行の売上総利益は54%増に

国内旅行部門は、赤い風船ではJR各社との連携のもと、JRセットプランを中心にウエブ専用商品を強化。自治体による需要喚起策「全国旅行支援」と連動した商品展開に加え、SDGsの取り組みの一環としてカーボンオフセットをJRセットプランに組み込んだ「 Carbon-Zero(カーボン-ゼロ)」商品の取扱拡大など、社会的需要に対応した商品の拡充に取り組んだ。赤い風船の売上高は前年同期比94.7%増の391億2千万円となった。

団体旅行では、パートナー企業との連携深度化による企業向けソリューション営業の強化を図るとともに、教育事業においては、お客様のニーズに応じた旅行の企画、催行に努めるとともに、ICT教育やSTEM教育など教育分野におけるソリューション事業の拡大を推進した。国内団体の売上高は同23.3%増の240億8千万円だった。

国内の単品商品の売上高は、企業の出張需要の回復などで、同72.1%増の24億2800万円。

国内旅行売上高同59.9%増の656億5300万円、売上総利益は同53.8%増の123億4700万円だった。

海外旅行は業務渡航が増加

海外旅行部門は、渡航制限の段階的な解除を踏まえ、企業における業務渡航の増加に加え、団体旅行の取り扱いや個人パッケージ商品の販売を再開した。海外旅行売上高は44億3200百万円、売上総利益は同370.2%増の9億300万円となった。

インバウンドの売上高は93億円に

国際旅行部門(インバウンド)は、国際旅行では、回復するマーケット状況を踏まえ、個人・団体ともに最大限の受注拡大に向けた取り組みを強化した。国際旅行売上高は92億5千万円、売上総利益は24億8千万円だった。

受託事業はやや減少し、173億円に

受託事業は、コロナ感染症が5類移行ととなる中、期間延長となったワクチン接種や感染症対策事業の着実な運営に加え、JR西日本グループやアライアンスパートナーとの連携により、ワクチン関連事業以外の受託拡大に取り組んだ。売上高は前年同期比20.1%減の173億1600万円、売上総利益は同1.1%増の83億1千万円となった。

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