真夏は◯◯が最強ポイント! エサと流れがキーワード!

暑い、アツい、クソ暑い!!! うだるような熱波にやられて思考回路がシャットダウンしがちなこの季節。いったん頭をクールダウンして、3つのキーワードをもとに整理整頓。今回のテーマは「流れ」サマーパターンの攻略法を教わろう。

●文:ルアマガプラス編集部

― Profile

伊藤 巧(いとう・たくみ)
1986年千葉県出身。陸王2連覇・艇王2連覇など国内で数々の実績を残して2019年より米国バスマスターに参戦。初年度でエリートシリーズに昇格し、2021年にセントローレンスリバーで初優勝を果たす。バスマスタークラシックにも通算3回出場するなど、名実ともにトッププロの仲間入りを果たしている。

「流れ」そのものではなく、「流れに集まるエサ」に注目!

― 『流れ』の攻略キーワード

①食物連鎖②ドリフト③ブルーギルパターン

― 流れの向こう側にあるものが大事!

「夏は流れ」。ある程度の経験値があるバスアングラーなら誰でもこのセオリーを知っていると思います。その根本的な理由はなんだと思いますか?

水温が低かったり、溶存酸素量が多いなどいろんな要素があるんですけど、僕が考えるに最大の理由は「ベイト」、すなわちエサの存在です。エサが「流れ」に引っ張られるからこそ、バスも「流れ」を志向する。

逆にいえば、そこにエサが絡んでいないかぎり「流れ」があっても意味がない、というケースも出てくるわけです。

僕の家の近所に小さな川があって、そこにはバスも含めていろんな魚が住んでいます。今年の6月、一時帰国してから毎日のように川の流れを観察していて、面白い発見がありました。

すでに気温が30℃に迫る日もあるし、夏っぽい上流のエリアに集結しているのかと思ったら、意外にそうでもない。オイカワやハスは上流で見かけるんですけど、バスが入ってきていない。そこで思い当たったのは「スジエビ」のことです。

スジエビは産卵期になると水がジャバジャバ跳ね飛んでいるような上流域や小さなインレットに集結するんですけど、近所の川では、まだ上流にエビが入ってきていなかった。だからバスもいなかったんだと思います。オイカワやハスは、この場所では主要なエサになっていないんでしょうね。

もうひとつおもしろい例が「ブルーギルスポーン」のパターンです。日本では「ギルネストパターン」と呼んだりもしますね。

ブルーギルはバスの産卵よりも少し遅れてスポーニングを行なうんですが、それを捕食するためにでかバスが集まってくる。ハメるのが難しいのですが、うまくいけば破壊的なウエイトが出る魅力的な釣りです。

このパターンが成立するのは5〜6月から、フィールドによっては7月後半までダラダラ続くことも。完全に夏っぽい釣りのひとつですが、舞台になるのは「流れ」とは無縁なスポットなんですよ。

流れがダイレクトには当たらないインサイド側のエリアで、シェルベッドみたいにボトムが硬くて、周囲にグラス(ウイード)があれば最高。バスが産んだあとのネストを利用することもあります。

「夏は流れ」のセオリーとは真逆のシチュエーションなのにバスが引き寄せられるのは、やっぱりそこに「エサ」がいるから、と考えるしかないですよね。

― 「流れ」の魅力

厳密にいえば「流れに集まるエサ」が魅力的だからこそ、バスがそこに集まってくる。霞ヶ浦や北浦水系で夏にインレットが最強なのも、酸素やフレッシュな水だけでなく、スジエビなどの「エサ」が獲れる場所だから。

流れが出たタイミングで急にバスの反応がよくなったり、逆に止まってしまって食い渋ることは夏にかぎらずよくある話。その理由のひとつはやはり「エサ」だろう。流れが効いているほうが小魚などのエサのポジションが制限され、食いやすくなるからだと考えられる。

― こんなときどーする?

Q.「夏の河川では どういう“流れ”を探す?」A.「エリアごとの 水の質を見分けよう」
常に流れの存在するリバーフィールドでは、どこもかしこも「流れ」があってエリアを絞りづらい。「強い流れ」がよければ上流に突っ込めばいいけれど、そんなに単純な話ではないとTAKUは言う。

伊藤「魚って、基本的に“水につく”生き物だと考えたほうがいいです。似たような流れであっても、そのときどきで“好きな水・嫌いな水”があるんですよ。なので、エリアごとに“どういう水”があるのかを考えるのが大事。『異なる水が混じり合うところがいいんだな』とか『真夏だけど本流は嫌がってるんだな』みたいなことを意識してください」

Q.「反転流がいいってよく言うけど?」A.「それもエサが要因」
障害物や地形に当たった流れが、その裏側で巻いていることがある。いわゆる「反転流」だが、そこが好スポットになるのは「エサが集結しやすいから」。流れが強くなればなるほど、カレントがブチ当たるところにいられなくなった小魚や水中の生き物が反転流に引き寄せられ、格好のフィーディング場所になるからだ。

― 『流れ』の攻略キーワード①

「“流れのなかを泳ぐエビ”」

エスケープチビツイン(ノリーズ)
流れのなかで使用するルアーは多岐に渡るので、ここでは「流れを利用する釣り」をいくつか紹介してもらった。

止めておくだけでワームが水を受けて泳いでくれるのがヘビーダウンショットリグ。利根川など、関東のフィールドではエビをイメージしてエスケープチビツインを使うことが多い。

伊藤「たとえば流れの効くアウトサイドにあるブッシュやオダを撃って、スタックしたらそこでトントン、シェイクで誘ってやる。引っ掛かっていたシンカーが外れたら、そのままスーッと流れに乗せて、また何かに絡んだらそこで同じことを繰り返します」

シンカーウエイトは5gを中心に、流れが速くてコロコロ移動しすぎるようであれば7gに上げたり、反対にゆるいところでは3.5gに落としたりと微調整する。

カバーまわりに限らず、リップラップや消波ブロックなどいろんな場所で使えるアプローチだ。

― 『流れ』の攻略キーワード②

「ボリュームのあるネコリグのドリフト」

6.5in・シュリルピン(ノリーズ)
伊藤「もうひとつは6.5inシュリルピンのネコリグです。あえてシルエットが大きめのワームを使うことで、水の抵抗をうまく利用しやすくなります。いわゆるドリフト系ですね」

モノに引っ掛ける「点」の釣りがメインのヘビダンに対して、こちらはボトムの変化にコンタクトさせながら「コロッ、コロッ」と流れに乗せていくイメージ。ネイルシンカーは1.3、1.8、2.3gあたりを使い分けている。

チビツインが小型のスジエビ系だとすれば、こちらはボリュームのあるテナガエビ的なシルエットでアピールすることができる。

伊藤「アメリカのバスはあまりエビを食っていなくてチビツインの出番は少ないんですけど、シュリルピンはよく使います。ベイトフィッシュに見えてるんじゃないかな?」

― 『流れ』の攻略キーワード③

「流れ」を制する裏パターン

3.6in・フリップコギル(ノリーズ)
房総半島のリザーバーなどでは初夏に爆発的な釣果が出ることがある「ブルーギルスポーン」のパターン。よく晴れて風もないピーカンのタイミングに、産卵行動をとるためインサイドのシャローにブルーギルが差してくる。「流れ」とは対極的な場所がビッグフィッシュエリアになる好例だ。

伊藤「アメリカだったら高比重系ノーシンカーワッキーやポッパーが定番。日本でやるならフリップコギルのネコリグが好きですね」

今年5月の千葉県三島湖で、田辺哲男さんがフリップコギルで釣りあげた57cm。同一スポットでほかに55・49・40cmを連発、ネストを作る直前のブルーギルをねらってでかバスのスクールが入ってきたという。詳しくはBASSFLIX『ウソだろ!? BASSFLIXのレコードフィッシュ登場!!』で。

「ブルーギルスポーン」のタイミングには、あまり流れの効かないエリアが激アツになる。「夏=流れ=アウトサイドやバックウォーター」と短絡的に考えてしまうと、せっかくのチャンスを見逃すことも。

TACKLE【ヘビダン用】
●ロッド:ロードランナー・ストラクチャーNXS STN650M
●リール:アルデバランBFSXGレフト
●ライン:シーガー R18 フロロリミテッドハードBASS10lb
●フック:ダブルエッジ#1/0
●シンカー:TGデルタ3.5〜7g

【ネコリグ用】
●ロッド:ロードランナー・ストラクチャーNXS STN650M
●リール:アルデバランBFSXGレフト
●ライン:シーガー R18 フロロリミテッドハードBASS10lb
●フック:ヘビーガードタリズマン#1/0
●ネイルシンカー:1.3〜2.3g

【フリップコギル用】
●ロッド:ロードランナー・ストラクチャーNXS STN720MH
●リール:メタニウムXGレフト
●ライン:シーガー R18 フロロリミテッド16lb
●フック:ヘビーガードタリズマン#3/0
●ネイルシンカー:1.3g
※ロッドはすべてノリーズ、リールはシマノ、ラインはシーガー、フックとシンカーはリューギ


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