東川町 杉村太蔵とめぐる、人も企業も呼ぶ“魅力”

今週のテーマは、東川町。旭川市の隣に位置し、北海道初の地域ブランド米「東川米」を生んだ米どころだ。今、注目を集めているのが暮らし心地の良さ。自治体の満足度を数値化した民間企業のランキングで、2年連続全国一を獲得した。旭川出身のMC杉村太蔵さんとその魅力に迫る。

【移住者が多い…その理由は】

まず訪れたのは、移住を考えている人たち向けの、体験型住宅だ。家具や家電が備え付けられていて、気軽に移住生活を体験できる。最長で1年、滞在できるという。この4年間で138人が長期の移住体験をし、82人が定住を決めた。

この体験施設を活用して移住を決めた1人、西隈さんは「住民として暮らす経験をさせてもらえるのがありがたい」と話す。西隈さんはYouTubeなどで移住による生活の変化などを発信している。こうした“先輩移住者”の声が、次の移住者を呼び込む流れができつつある。

移住者が増えたことで、マチにも変化が。のどかな田園風景の中にたたずむ「ヨシノリコーヒー」。オーナの轡田(くつわだ)さんは、旭川から移住してきた。コーヒーを飲みながら見る、窓からの景色がこの店の一番の特徴だ。

轡田さんは、東川を選んだ理由に、水と立地を挙げる。「人通りの多い繫華街は考えていなかった。空港まで車で10分なので、東京に行くアクセスも良い」と話す。町からは起業に際して100万円の補助を受けた。このように、移住者がオープンした飲食店は、現在60店以上あるという。

【ヒトだけでなく、企業も移転!】

個人だけでなく、企業の移転も最近になり目立つようになってきた。その一つが、岐阜県から移転してきた三千櫻(みちざくら)酒造。

140年以上続く老舗で、土地と建物は町が所有し酒造りを企業が行う公設民営の酒蔵として知られている。山田社長は、「公設なので費用負担があまり大きくない。売り上げも約3倍に増えた」と話す。

今、さらに企業誘致を推進しようと設けたのが、サテライトオフィスだ。全4棟からなる木造の「KAGUの家」。設計したのは、世界的な建築家、隈研吾さんだ。

入居する旭川ケーブルテレビのオフィスを覗かせてもらった。北海道産のトドマツ、カラマツを使用していて、木のぬくもりが感じられる。中心に大きな吹き抜けがあり、天井が高く開放的なつくりだ。

【日本唯一の公立日本語学校】

東川町には、日本で唯一の公立の日本語学校がある。生徒の多くは、東アジアからの留学生だ。

背景にあったのは少子化だ。児童や生徒が減り続ける状況に危機感を覚えた町は、短期間やってくる留学生を定住させることができないかと考えた。今では留学生に対する手厚い奨学金も用意されている。

学生には町内で使えるポイントを毎月8000円分与え、町内の経済効果も狙う。

菊地町長は「極端に人口を増やしていくことを考えてはいない。規模に適している現状の8600人程度の人口を維持していく」と話す。

MCの杉村太蔵さんは「自ら考え、前向きに行動する東川町は、人口1万人前後の全国の町村の参考になるのではないか」と話した。全国・北海道で人口減少が続く中、魅力を高める東川町にこれからも注目していきたい。
(2023年8月26日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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