【「仮面ライダーギーツ」SPインタビュー】「浮世英寿じゃない時でも、簡はヒーローでした」――ライバルとして高め合ってきた簡秀吉と杢代和人が作品を振り返る

テレビ朝日系で放送中の「仮面ライダーギーツ」。街の平和をかき乱す謎の存在・ジャマトと戦うリアリティーライダーショー「デザイアグランプリ」を舞台に、「黎明編」「邂逅編」「謀略編」「乖離編」「慟哭編」「慕情編」、そして「創世編」を経て、物語はいよいよ最終話を迎えます。

創世の力を手にした主人公・浮世英寿/仮面ライダーギーツ(簡秀吉)は、「誰もが幸せになれる世界」を作るため、デザイアグランプリ創設者・スエル(声・松岡禎丞)の仕掛ける「終幕のデザイアグランプリ」を止めるべく奮闘。桜井景和/仮面ライダータイクーン(佐藤瑠雅)、鞍馬祢音/仮面ライダーナーゴ(星乃夢奈)、吾妻道長/仮面ライダーバッファ(杢代和人)をはじめとし、英寿の思いに共鳴する仲間たちが各地でデザグラ運営に立ち向かいます。しかし、第48話の終盤では変身を強制解除させられた英寿に、ツムリ(青島心)がマグナムシューター40Xを向けるという予想外のラストで幕を閉じ、最終話を前にどんな結末を迎えるのか、期待が高まっています。

TVガイドwebでは、最終話を前に本日から3日間にわたってキャストのインタビューをお届けします。本日は、浮世英寿を演じる簡秀吉さん、吾妻道長を演じる杢代和人さんが登場。「仮面ライダーギーツ」を語る上では欠かせない2人の存在。長い撮影期間を振り返ってもらうと、最終オーディションでの出会い、そして撮影を通して生まれた“絆”が見えてきました。

――「仮面ライダーギーツ」もいよいよ最終話を迎えます。「創世編」を迎えてからは英寿も道長にもさまざまな展開が起こっていますが、脚本を最初に読まれた時はどんなことを感じましたか?

杢代 「もうクライマックスに差し掛かってきたんだなと思いました。『デザイアグランプリ』だったのが、主催側が変わって『ジャマトグランプリ』になって、その時はまだゲームをしていたじゃないですか。そこから『慕情編』を経て『創世編』という感じですよね。『ジャマトグランプリ』が終わった時に『あ、佳境だな』と率直に思いました。英寿本人にも変化があったけど、道長にも、景和にも、祢音にも変化とドラマがあったので、クライマックスに向かっていくとなって、より覚悟を持っていこうと思いました」

「僕は、第38話でずっと探し求めていたお母さんが消滅して、英寿が『誰もが幸せになる世界をかなえる』ことを決意した瞬間から『ああ、もう佳境に入ってきているな。クライマックスに入ってきているんだな』と感じました。英寿としては、誰もが幸せになる世界をかなえるためにどう行動したらいいのかを試行錯誤しながら、第45話でツムリの創世の力を受け継いで白英寿になって、そこから英寿本来の力を発揮していったので、『創世編』の英寿の行動や存在というのは大きかったと思います」

――作品全体を通して、英寿と道長は他の登場人物と比べて共演シーンも多かったのではないかと思うのですが、お互いの第一印象はどうでしたか?

杢代 「僕はオーディションの時に『あ、この人が主演だな。主演になる』と思いました。今でも覚えているのですが、道長を想定したライバルのような役の台本があって、他の役もあって、そして主演のような役があって。僕がライバル役をやって、(簡が)主演の役をやった時に、『たぶん今回の作品は、この方が主演を務めるんだろうな』と思ったのと同時に『だったら、僕も決まるかな』ということをなんとなく感じていたんです」

「僕は会う前から杢代くんのことを存じていたので『うわ、本物だ』と思いつつ、最終オーディションで一緒にお芝居をさせてもらって、相乗効果で僕の芝居を引き出してくれたというか」

杢代 「確かに相乗効果は分かるかも。最終オーディションはいい芝居ができたんです。僕もまだまだ演技経験が浅かったので、一つ一つのオーディションが必ず上出来とは言えない、不完全燃焼感があったけど、最終オーディションの時だけはやりきったというか。いいオーディションができたなと思えたんです。『これで落ちたら、仕方ないよな』と思えるようなオーディションでした」

――そこから約1年間共演されてきましたが、今だから思う、お互いの「ここがすごい」と思うポイントを教えてください。

杢代 「僕は、やっぱり“簡秀吉”という存在がいるからこそ周りが変わっていけるというか。今回は簡が座長だったけど、簡が座長というポジションではなくてもそれは変わらないものなのかなと思いました。簡は『引っ張っていくぞ!』という感じではなくて、どちらかというと客観的に見て場を盛り上げたり、1人でも気持ちが欠けていたらそこを修正する力を持っていたりするから、僕たちはそれに助けられたし、それが良さだと思います。『座長だから』とかではなく、単純に“カ”として素でやっていると思うから、今後、座長ではなかったとしてもその良さを発揮できると思うので。浮世英寿じゃない時でも、簡はヒーローでした」

「芝居に取り組む姿勢は見ていて学ぶことも多かったですし、みんなでいる時とか裏でわちゃわちゃしていたら、本当に的確なツッコミを入れてくれるんですけど、何より“杢代和人”という男がいるから場の雰囲気もすごく盛り上がるし、面白くなる。友達にも『なんとなくこいつ誘いたいな』って人がいるじゃないですか。当たり前かのようにその場にいるようなタイプというか、人に嫌われたことがない、本当にいいやつだなと、みんなでいる時に感じながら過ごしていました」

――ちなみに、もう撮影は終えられているとのことですが、プライベートで2人で遊びに行くなら行きたい場所というのはありますか?

簡・杢代 「2人ではないですね!」

「ないよな?」

杢代 「それはハードルが高いな〜」

「『ディズニー行きたい!』とか言っとく?(笑)」

杢代 「ないでしょ(笑)。長い時間一緒にいたからこそ、プライベートで新しい一面を知りたくなるみたいなことがないんです。僕は親友とは逆にあまり遊びに行かない、あまり連絡を取らないので、それと一緒で、現場で会うからその時に起きたことを楽しもうという感覚です。会わなくても分かるという感じです」

――お二人の共演シーンの中で、特に印象に残っているものはありますか?

「僕は…闘牛ゲームですね」

杢代 「僕も一緒かもしれない。闘技場までの通路のシーン?」

「そう! (第30話頃の時点で)英寿ってあまり怒らなくて、感情を表に出さなかったんですけど、ナーゴがベロバ(並木彩華)のせいでいろいろとさらされて初めて感情的になったところ」

杢代 「通路のところで(英寿が)助けに行こうとして、道長が『行くな、行っても意味ねえよ』って対峙(たいじ)するシーンね。僕もあそこだな」

「あとは、バラを持ってTシャツにサインしたところ(第10話)とかかな」

杢代 「なんで!?」

「あそこめっちゃ好きなんだよ。普段は絶対にそんなことはできないじゃないですか。すごくいいシーンだよ」

杢代 「闘牛ゲーム以外だと、僕はすき焼きのシーン(第36話)だな」

「あぁ、いいね!!」

杢代 「あそこも思い出です。あのシーン、撮影は真冬だったんですよ。凍えるくらい寒かったんですが、『え、撮影ですき焼きが食べれるの…!?』と思って。楽しかったなぁ、思い出深いです」

――すき焼きのシーンでふと思い出したのですが、道長がデザイアロワイヤルで残ったライダーをボードに絵で描かれるところもありましたよね。あのシーンは杢代さんが描かれたんですか?

杢代 「あれは僕じゃないです! 美術部さんが描いてくれました」

「あ、パンクジャックの絵は僕ですよ」

杢代 「そんなわけないだろ!(笑)」

――(笑)。第36話でアルキメデル(春海四方)を前に2人で共闘するシーンも、視聴者にとってはかなり予想外の展開だったかと思います。

「いやぁ、胸アツでしたね」

杢代 「とうとう来たなと。やっぱり、主人公とライバルが一緒に戦うって男の中で一番熱いシーンなので、いつか絶対に来てほしいと思っていたんです。『いつなのかな、いつなのかな』とソワソワしていたらあの瞬間に来たので『ついに来たか』と思いました」

「あそこの戦闘シーン好きなんだよね。『お前最強なんだろ?』って、中田裕士さんと縄田雄哉さんのアドリブもあって」

杢代 「アフレコでびっくりしちゃいましたよ(笑)。『あ、こんなことしてたんだ!』と」

――そんな“かりそめの共闘”を経て、第44話では景和とぶつかり合った道長が「俺はギーツを信じる」というセリフもありましたが、あのシーンは演じていて心にくるものもあったのではないでしょうか?

杢代 「ありましたね、それまでは一番言ってはいけないくらいのセリフだと思っていたので。それを言う心境の変化は、道長の中では計り知れないものだったんだろうなと思います。でも、いつ死んでもおかしくないという状況で、ダークサイドに行ってしまった人を止める言葉だったら一番響く言葉だよなとも思えたので、それをしっかり落とし込めて演じられた、いいシーンになったのではないかと思います」

――英寿も道長も序盤ではかなり謎めいたキャラクターでしたが、終盤に差し掛かった今、あらためてどんなキャラクターだったと感じますか?

「初めは本当に謎めいた男で、キャラクターの説明にもよく“謎多き男”と書いてあって。人とも深入りせず、あまり関わってこなかったんだろうなというところからスタートしたんです。だんだん物語が進んでいくうちに、こうやって道長と絡んだりして人間性も出てきて、最終盤では創世の力を手に入れてみんなを支える、誰もが幸せになる世界を作っていこうとしているというのは、本当に格好いい男だなと思いました。僕、プライベートでは朝倉未来さんが好きなんですよ」

杢代 「え、急にプライベートの話?」

「やっぱり男って感じがして格好いい! 『格好いい生き方をしよう』って簡秀吉も思うわけです!」

杢代 「いろいろな場面で戦ってきた男ってことね」

「そう! さっき話に出た闘技場前のシーンで言えば、仲間を傷つけようなら感情をあらわにする、そういう男になりたいなって。1年を通して役作りの仕方や、役に対する姿勢を学べることって本当にないので、それも勉強になりましたし、個人的にも格好いいなと思うことばかりでした」

杢代 「道長は…“子ども”ですね(笑)。僕が演じてきたものだから言わせていただくと、いい意味で子ども。小さい頃って、何かで負けても絶対的に自分の力を信じて、諦めずにもう1回戦いに挑んでいたと思うんです。大人になるにつれて負けた理由を考えて諦めたり、逆にいろいろとずるい手を使うことを考えたりすると思うのですが、道長は常に勝つことにこだわっていたし、負けても自分の願いを抱いて真っすぐ挑み続けてきた人だったんです。対人関係が上手ではないし、言葉遣いだってぶっきらぼうだけど、友達を思ったりする愛のあるシーンもたくさんあったので、後半になっていくにつれて“いい童心”を持っている人だなと思えました。親友の今井透を失っていろいろあっても、桜井沙羅(志田音々)を間違えて倒してしまっても、心は傷つきながら道長の軸は変わらない。自分ができることを一番自覚していた、とても格好いい男でした」

――では最後に、今後お二人が別の作品で再び共演をする時はどんな作品で共演をしたいか、教えてください。

杢代 「僕はついていきますよ、あなたがやりたい役についていきます」

「三角関係に陥りたい」

杢代 「何を言っているの? それ本気?」

「うん。2人でヒロインを狙いあってバチバチしたい」

杢代 「なるほど、恋模様を描きたいと」

「やりたいね!(笑)。もう1人女の子役がいて、『ストロボエッジ』みたいな感じの三角関係になって」

――ちなみに、最終的に報われるのは…。

「一応…僕なんですけど…」

杢代 「そうでしょうね! そりゃあ、あなたが考えた作品ですもんね」

「それでドヤ顔したいですね。『俺のもんだぞ!』って」

杢代 「すごい人だ…僕は次の作品でもライバルがいいですね。部活とか、スポーツの種類はなんでもいいんですけど、ライバルでいたい。今作は戦って殴り合いましたけど(笑)、そこから打って変わって青春もので共演したら、また違ったフレッシュさが出るのかなと思うので、やってみたいです」

「あ、あれもやってみたい。BL(ボーイズラブ)作品」

杢代 「何を言ってんのよ…」

「やろうよ、もっちゃん!」

杢代 「…簡とはライバルでいたいので!(笑)」

作中では時にぶつかり合い、時に共闘し、作品を盛り上げてきた英寿と道長。しかし、インタビューでは簡さんのコメントにすかさずツッコミを入れる杢代さんの姿は健在。写真撮影でも終始わちゃわちゃとしながら、和気あいあいとした雰囲気で進んでいきました。撮影のラストには「視聴者に伝えたいこと」をホワイトボードに書いてもらうと、簡さんからは「感謝」、杢代さんからは「ありがとう」という言葉が。メッセージを書いてもらっている時の2人の表情からも「仮面ライダーギーツ」の撮影を終えた達成感がどことなく感じられました。

【プロフィール】

簡秀吉(かん ひでよし)
2002年10月23日生まれ。京都府出身。19年、「今日、好きになりました。」(AbemaTV)に出演後、芸能界入り。その後、ドラマ「ナンバMG5」(フジテレビ系)、映画「HiGH & LOW THE WORST X」(22年)などに出演。


杢代和人(もくだい かずと)
2004年5月20日生まれ。東京都出身。ダンスボーカルユニット「原因は自分にある。」のメンバー。主な出演作にドラマ「あせとせっけん」(MBSほか)、「FAKE MOTION-たったひとつの願い-」「卒業式に神谷詩子がいない」(ともに日本テレビ)など。現在放送中のドラマ「最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜」(日本テレビ)に出演中。原因は自分にある。主演ドラマ「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call〜寝不足の原因は自分にある。〜」(テレビ東京)が8月30日より放送スタート。

【番組情報】

「仮面ライダーギーツ」
テレビ朝日系
日曜 午前9:00〜9:30
※放送終了後、TVer、ABEMAで見逃し配信中

映画「仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐」
公開中

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取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子

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