北朝鮮、予告していたロケット打ち上げを実施も失敗と発表 10月に再び打ち上げか

北朝鮮の国家宇宙開発局は8月24日、国営の朝鮮中央通信を通じて、軍事偵察衛星「マンリギョン(万里鏡)1号」を搭載した「チョンリマ(千里馬)1型」ロケットの打ち上げに失敗したことを明らかにしました。【2023年8月24日11時】

【▲ 参考画像:朝鮮中央通信が2023年6月1日付で掲載した画像。2023年5月31日に北朝鮮が打ち上げた「チョンリマ1型」ロケットとみられる(Credit: 朝鮮中央通信)】

発表によると、チョンリマ1型ロケットは日本時間2023年8月24日未明に北朝鮮の西海(ソヘ)衛星発射場から発射されました。1段目と2段目は正常に飛行したものの、3段目の飛行中に発生した非常爆発システムの誤作動により失敗したとされています。

チョンリマ1型ロケットの打ち上げは今回が2回目です。2023年5月31日に実施された初飛行は2段目エンジンの始動時に異常が発生し、黄海に墜落したとされていました。なお、同ロケットの一部とみられる残骸は韓国軍によって回収されています。

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国家宇宙開発局は今回の打ち上げ失敗について、原因は各段のエンジンの信頼性やシステム上の大きな問題ではなかったとしており、原因を究明した上で2023年10月にも3回目の打ち上げを実施すると述べています。

今回の打ち上げに先立ち、北朝鮮は日本時間2023年8月24日0時~8月31日0時の間に人工衛星の打ち上げを行うと海上保安庁に対して通報しており、黄海・東シナ海・太平洋のルソン島(フィリピン)東方に予告落下区域が設定されていました。

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防衛省によると、北朝鮮の東倉里(トンチャンリ)地区で“弾道ミサイル技術を使用した発射”が実施された時刻は日本時間2023年8月24日3時51分頃です。物体は3つに分かれ、3時58分頃、3時59分頃、4時5分頃に相次いで海上に落下しました。推定落下位置はいずれも予告落下区域の外で、国家宇宙開発局が正常に飛行したとする1段目と2段目も事前に通報された海域の外に落下したとみられます。また、防衛省も地球周回軌道への衛星投入は確認されていないとしています。

【▲ 2023年8月24日未明に発射されたチョンリマ1型ロケットとみられる物体の落下位置を示したイメージ図。防衛省「北朝鮮のミサイル等関連情報(続報)」から引用(Credit: 防衛省)】

今回の打ち上げを受けて日本国内では8月24日3時54分頃にJアラート(全国瞬時警報システム)で「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます」として情報が配信され、沖縄県を対象に建物内や地下への避難が一時呼びかけられましたが、沖縄本島~宮古島間の上空を通過したとみられる同日4時を過ぎてから間もなく解除されました。

松野内閣官房長官は同日付で官房長官声明を発表し、その中で「北朝鮮が再び国連安保理決議違反である発射、それも日本列島の上空を通過するものを強行したことは極めて遺憾であり、我が国として断じて容認できない」と述べています。地下核実験やミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮に対して、国連安全保障理事会は弾道ミサイル技術を使用した発射をはじめ、弾道ミサイルおよび核関連活動の停止・計画の放棄を安保理決議で義務付けています。

Source

  • Image Credit: 朝鮮中央通信, 防衛省
  • 朝鮮中央通信 \- 第2次軍事偵察衛星打ち上げの際、事故発生 朝鮮中央通信社報道
  • 防衛省 \- 北朝鮮のミサイル等関連情報(続報)
  • 首相官邸 \- 内閣官房長官声明

文/sorae編集部

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