ふさわしい「次の総裁」でトップの石破氏 岸田首相と会食で飛ぶ憶測

石破茂氏

 「待てば海路の日和あり」ということわざは、いら立たず待っていれば幸運が到来するという意味。107年ぶりに夏の甲子園を制した慶応高校(神奈川)の関係者は、さぞや待ちくたびれたことか。もっとも前回の舞台は甲子園ではなかったし、当時を知る人もいないだろう。

 この人も機が熟すのをじっと待っているのだろうか。慶応高OBで自民党の石破茂元幹事長(衆院鳥取1区)である。共同通信社の世論調査で、来年9月に予定される党総裁選で次の総裁に誰がふさわしいか聞いたところ、18.5%でトップに立ち、有権者からの人気の高さを改めて裏付けた。

 とはいえ、党内基盤の弱さは相変わらず。過去4回挑んだ総裁選は全敗で、出馬を見送った2年前の総裁選後、自らの派閥を解消。掛け持ち可能なグループに衣替えしたが、顔を出すのは10人程度にとどまり、5度目の挑戦への道筋を描けないでいる。

 そんな石破氏と岸田文雄首相が今月4日、会食した。石破氏は「いろいろ話をした」とだけ記者団に語ったというが、マイナンバー問題や処理水の海洋放出などで内閣支持率が低迷する岸田氏が、人気の高い石破氏を閣内に取り込むのでは、と臆測が飛び交う。

 ちなみに冒頭のことわざの海路は「甘露」が転じたとされる。甘露は中国の伝説で、よい政治の前触れとして天が降らせる甘い露を指す。誰が総裁であれ待ち遠しいのは甘露である。

© 山陰中央新報社