オカムラ食品工業(青森市)、9月27日東証上場へ

東証に株式上場することが明らかになったオカムラ食品工業の本社=青森市八重田1丁目

 水産物の加工、販売、サーモン養殖を手がける青森市のオカムラ食品工業(岡村恒一代表取締役社長兼CEO)が24日、東京証券取引所スタンダード市場に株式を新規上場する承認を受けた。上場予定は9月27日。県内ではプロクレアホールディングス(HD、青森市)がプライム市場、東北化学薬品(弘前市)とサンデー(八戸市)がスタンダード市場に上場している。県内の上場企業は4社となる。金融を除く新規上場は2007年のユニバース(八戸市、11年にアークスとの経営統合により上場廃止)以来、約16年ぶり。

 岡村社長は東奥日報の取材に、上場の目的として直接金融による資金調達、知名度や人材確保力の向上を挙げ「水産業を成長産業にすることに寄与したい。青森は水産県。身を引き締めて事業にまい進し、夢ある産業にしていきたい」と話した。

 オカムラ食品工業グループは、サーモン養殖、国内加工、海外加工、海外卸売りが事業の柱。国内やデンマークで養殖したサーモンのほか、海外から仕入れたサーモン、サバ、魚卵(イクラ、筋子、数の子)などを国内やベトナム、ミャンマーで加工し、国内外に販売する。養殖、原料調達、加工、販売をグループ内で一貫して行う事業展開が強みだ。

 上場に伴って調達した資金は、養殖設備や加工設備の増強などに充てる予定としている。

 同社グループの23年6月期の連結決算は、売上高289億3900万円、営業利益31億8700万円、純利益23億8900万円。24年6月期は売上高325億9800万円、営業利益19億4900万円、純利益12億3400万円を見込む。

 同社は17年、子会社の日本サーモンファーム(深浦町)を設立し、国内でのサーモン養殖に力を入れている。今別町と深浦町に、サーモンを中間魚まで育てる「中間養殖場」と成魚まで育てる「海面養殖場」を持ち、「青森サーモン」として国内やアジアなどに販売している。

 青森県ではこれまで、プロクレアHDを設立して経営統合した青森銀行とみちのく銀行が22年に上場廃止。ユニバースのほか、サンワドー(青森市)がDCMホールディングスの子会社となり、15年に上場廃止している。

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東京証券取引所の市場 最上位の「プライム」、中堅企業を含む「スタンダード」、新興企業向け「グロース」の3市場がある。従来の1部や2部、ジャスダック、マザーズの4市場を再編し、2022年4月4日から取引を開始した。上場すると投資家が株式を自由に売買できる。企業は株式を売ることで事業拡大などに向け資金調達できるほか、信用力や知名度向上も期待できる。

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