日赤、AIで証言作る企画展中止 「捏造」と批判受け

 日赤東京都支部は24日、関東大震災の史料などを生成人工知能(AI)に読み込ませ、新たに作り出した文章を証言として展示する企画展「関東大震災 100年前の100人の新証言」とインターネット公開を中止すると発表した。企画展は、26日から東京都新宿区の同支部など2カ所で開催予定だった。

 同支部によると、「歴史の捏造につながるのでは」「フェイクニュースだ」などと批判が交流サイト(SNS)などで多数寄せられた。担当者は「新証言という表現を使って、実在した人が話したかのような内容にしたことで誤解を招いてしまった」と話している。

 企画展は、震災当時の絵画に描かれた人物を基に生成AIで「語り部」の肖像画を作成。文献を読み込ませて「新証言」を作成し、肖像画と共に展示予定だった。

 同支部は、当時の状況を想像しやすくさせ、防災意識を高めてもらうことが企画の目的だったと説明。取りやめた理由について「本来の意図が十分に伝えられない状況だと判断した」としている。

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