「青の画家」佐野ぬいさん死去 青森県弘前市出身、90歳 抽象画で独自の世界観確立

佐野ぬいさん

 女性洋画家の国内第一人者で、「ぬいブルー」と呼ばれる青を基調にした抽象画で独自の世界観を確立し、2005年に東奥賞を受賞した佐野ぬい(さの・ぬい)さんが23日午前3時7分、慢性心不全のため東京都内の病院で死去した。90歳。青森県弘前市出身。自宅は東京都杉並区久我山。葬儀は24日、近親者のみで行った。喪主は次男壮(そう)氏(57)。後日、お別れの会を催す予定。

 壮氏によると昨年末から入院し、今年5月から東京都杉並区の城西病院で不調を訴えていた下肢動脈閉塞(へいそく)の治療を続けていたが、今月7日に意識を失いそのまま息を引き取ったという。

 ぬいさんは1932年、同市の洋菓子店「菓子屋ラグノオ」(現ラグノオ)を創業した佐々木繁氏の長女として生まれた。弘前中央高校在学中、洋画家佐伯祐三の作品に魅せられ、東京の女子美術大に進学。55年に卒業し同大の教壇に立ちながら、現代抽象主義の影響を受けた作品を精力的に制作し芸術性を高めた。

 65年に「青の歴」「青の季」で新作家賞、69年「青の階段」で日航賞を受賞。その後も青を基調にした作品を発表し続け、「青の画家」と称された。2003年に損保ジャパン東郷青児美術館大賞を受賞するなど抽象画の第一人者としての地位を築いた。指導者としても同大教授、名誉教授を歴任し、07年に同大学長に就任した。

 成田空港駅に「動く青い世界地図」、弘前市民会館に「青の時間」のステンドグラス作品が設置されている。

 1986年紺綬褒章、2001年県文化賞、12年瑞宝中綬章、15年弘前市名誉市民。

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