シンガポールの金融最大手DBS銀行は24日、インターネット上の仮想空間であるメタバースに仮想店舗「DBSベターワールド」を開設すると発表した。食品廃棄物削減などをテーマにしたゲームを提供することで、グループ会社が取り組む社会的課題の解決への意識向上や若年層の顧客取り込みを狙う。
仮想店舗では、DBSグループ傘下で社会的企業の成長を後押しするDBSファンデーションが支援している5社の事業内容をゲーム化した。
5社は、資源を無駄にしない「アップサイクル」活動に取り組むシンガポールのクラフトビール醸造所ブルワークズ(Brewerkz)、土壌を使った都市型農業のエディブル・ガーデン・シティー、食品のアップサイクル商品を提供する香港のブリア(Breer)、食品廃棄物の削減を手がけるグリーンプライス、空きスペースを有効活用した都市型農業のルーフトップ・リパブリックだ。
メタバースの利用者は、5社の事業にちなんだ5人のキャラクターの中から選んでゲームを楽しめる。
仮想空間では、香港企業アニモカ・ブランズが手がける非代替性トークン(NFT)とメタバースを組み合わせたゲーム「ザ・サンドボックス」を利用。ザ・サンドボックスのアルファ版(開発者向け試作品)シーズン4が年内に提供されるのに合わせて、DBSベターワールドを一般向けに公開する。
DBSファンデーションの担当者は「メタバースを通じてESG(環境・社会・企業統治)に対する意識向上を促したい」と説明した。
国内の銀行では、OCBC銀行が4月、メタバースに仮想店舗「OCBCx65チュリア」を開設したと発表していた。