簡単に手に入るからこそ危険!市販薬でも依存症に?【図解 依存症の話】

不安や孤独は薬では癒やせない

処方薬は、治療のために医師から処方される薬なので、最初から乱用目的で服用するケースはまれです。しかし、睡眠薬や抗不安薬など依存が生じやすい薬を長期に処方される、効果が実感できずに自己判断で量を増やすといったことから耐性が形成され、依存を引き起こしてしまいます。また、市販薬は処方薬よりも作用が弱くて安全というイメージを持つ人もいますが、風邪薬や咳止めといったごく身近な薬でも、大量に飲むと高揚感や多幸感をもたらす成分や、依存を生じさせやすい覚醒成分を含んでいるものがあります。そのため薬の説明書には、用量・用法を守って服用し、症状が改善しないときは使用を中止して医師、薬剤師に相談するよう注意喚起されています。

処方薬や市販薬への依存は、人間関係に悩む若い女性に多く、うつなどの精神疾患を抱えているケースも珍しくありません。要注意なのは、精神的なつらさから目をそらすために薬を過剰摂取する「オーバードーズ」。ネット上には、やり場のない気持ちとともに多量の薬や自傷行為の画像をアップしているサイトがあり、薬物乱用がエスカレートする要因に。意識障害を起こして救急搬送されるケースが増え、死亡事故も起きています。依存の背景にある不安や孤独を薬で癒やすことはできません。信頼できる相手を見つけて、つらい気持ちを伝えてみましょう。

合法だとしても過剰摂取はNG!

10代が乱用する薬物の約7割は下記に紹介しているような処方薬と市販薬です。治療が目的でも、自己判断で量や回数を増やすのはNG。心身ともに依存が生じます。

処方薬の種類

■睡眠薬
■抗不安薬
■鎮痛剤など

効かないからと自己判断で量や回数を増やしていると、過剰摂取から依存へと進行してしまう。

市販薬の種類

■風邪薬
■咳止め
■鎮痛薬など

不安や苦痛を和らげるための市販薬の乱用が、違法薬物を使用するきっかけになることも。

オーバードーズってどんな状態?

つらい気持ちを和らげるために、処方薬や市販薬を多量に摂取すること。違法薬物に比べて危険性の認識が薄いが、急性中毒による救急搬送や死亡事故も起きている。

出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之

【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著

特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。

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