中国が日本の水産物全面禁輸、政府は撤廃申入れ

 東京電力福島第一原発事故で増え続ける放射性物質に汚染された水のALPS処理水の海洋放出が24日始まったのを受けて、中国が日本からの水産物輸入を全面的に一時停止するとした措置について、岸田文雄総理は同日、「外交ルートで中国側に即時撤廃を求める申入れを行った」と語った。

 また「海洋放出の影響について、科学的根拠に基づいて、専門家同士がしっかりと議論を行っていくよう、中国政府に強く働きかけていく」と述べた。

 また岸田総理は「日本政府としては風評被害を始め、水産事業者がALPS処理水の海洋放出によって損害を受けることがないよう、基金の活用や東京電力による賠償等も含め、万全の体制をとっていく」と改めて述べた。

 またIAEA(国際原子力機関)が高い頻度で福島第一原発からのモニタリングデータのライブ発信を始め、国際社会が利用できる様々なデータの公表など透明性の向上に資する取組みを実施していくことや韓国政府との間でIAEAから最新の情報提供を行うなど、情報共有のメカニズムを開始したという報告を受けているとし「より一層透明性の高い形で行われるものと期待している」と期待を寄せた。

 一方、海洋放出に抗議する目的でソウルの日本大使館に侵入しようとした大学生16人が警察に逮捕された事件を受け、岸田総理は「現地警察に警備強化を要請した」と話した。韓国では海洋放出に野党が強く反発。各地で抗議の声があがっているという。(編集担当:森高龍二)

中国が日本からの水産物輸入を全面的に一時停止する措置

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