「パワースポットみたいな場所」創業180年の仏具店がカフェ始めました【しずおか産】

<萩田真央ディレクター>
「彩り豊かなこちらの丼、『ブッダボウル』というものなんですけど、実はこちら一風変わったカフェで提供されているんです」

2023年2月、浜松市にオープンした「ぬしやCafe」です。

<萩田真央ディレクター>
「いただきます。たくさん具材が入っていて、何から食べようか迷いますね」

「ブッダボウル」は野菜や穀物など、ヘルシーな食材を盛りあわせたサラダボウルのような丼ぶり。

<萩田真央ディレクター>
「やさしい味がして、いろんな味が楽しめて満足感があります。和風なスイーツも人気です」

抹茶アイスの隣に添えたのは、お地蔵さんをかたどった最中。奥山方広寺とコラボしたパフェです。仏教にちなんだメニューの数々、そのわけは?

<ぬしや仏具店 岡野将人さん>
Qこれはなんのスペースですか?
「これはうちの金箔貼りと書入れの作業を見ることができるスペースになっています」

「書入れ」とは、位牌に戒名や法名を書く作業のこと。

<ぬしや仏具店 岡野将人さん>
「いま、下書きをしているところでこの専用の染料で書いた後に金粉をふって戒名を金の文字で浮き上がらせるという作業です」
Qなかなかこういった作業を見られるところはないですよね?
<ぬしや仏具店 岡野将人さん>
「いままでは、工房の奥でなかなか見ていただけなかったのでこういう場所を作ったことでいろんな方に実際に作業を見ていただいて楽しんでいただけるようになりました」

カフェを経営するのは、創業180年の「ぬしや仏具店」。昭和30年代には、二俣街道沿いで漆器や雑貨の小売りもしていました。

「塗師屋」が転じて「ぬしや」。江戸時代末期から培った職人技は、いまに引き継がれています。

Q見たことがあるものから馴染みのないものまでいろいろありますけれども?
<ぬしや仏具店 岡野志帆子さん>
「いろんな種類があります」
Qよく見るのはいわゆる仏壇に置いてある…
<ぬしや仏具店 岡野志帆子さん>
「チーン!南無南無という『おりん』ですね」
Qこれは?
<ぬしや仏具店 岡野志帆子さん>
「『ティンシャ』です。これは日本の仏教ではほとんど使わないんですけど、チベットの仏教で使う道具です。両方の手で持っていただいて、チーン!と。ものすごく心が落ち着くというか、そんな効果があると思います」

珍しい「お香」もあります。

Qカラフルな糸みたいなものがありますけど?
<ぬしや仏具店 岡野志帆子さん>
「実はこれもお香なんです。紐みたいになっていて、こちらに火をつけてお香のようにも使えるし、髪に一緒に結っていただいて髪から香りをというのも楽しめます」
Q見栄えもよくていいですね。
<ぬしや仏具店 岡野志帆子さん>
「かわいいですよね」

岡野さんは「仏具」を身近に感じて欲しいという思いでカフェを始めました。

<ぬしや仏具店 岡野志帆子さん>
「仏具店に入ってくるタイミングは、大切な方が亡くなって悲しみの中で『ぬしや』に来られて、その応対をするというのが私たちの仕事だったので、『また来てね』というのは、いいづらいところがあったんですけど、カフェを始めてからは『困ったことがあったら気軽に来てね』といえるようになったのがすごくよかったねと夫婦で話しています」

カフェをオープンして、思いがけない声も掛けられました。

<ぬしや仏具店 岡野志帆子さん>
「『なんかここは自分のパワースポットみたいなカフェだよ』っていってくださったお客さまがいて、それはすごくうれしかったなと思っています」

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