お金のバランスを測るチェックリスト、稼ぐ・増やす・守るを最適に保つために必要なこと

給料は右肩上がり、預金の金利もよく、物価も上がらない……そんな時代は終わり、現在は多種多様な働き方、低金利、インフレによる物価上昇という時代になりました。そのため、以前よりも意識してお金と向き合う必要があります。

お金には大きく「稼ぐ」「増やす」「守る」という3つの役割があり、そのバランスを考えることが重要です。


稼ぐ・増やす・守るのバランスが偏った場合のリスク

「老後2,000万円問題」「貯蓄から投資へ」。これらのキーワードを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。このキーワードの本質は何かというと、「老後2,000万円不足するから投資で増やそう」と言っているわけではなく「国民一人一人が自身の資産形成に向き合い、何をするべきなのかを考える必要がある」というメッセージが込められているということです。

その中で大切なのが冒頭でも述べたように稼ぐ・増やす・守るのバランスです。この3つのバランスが偏るとどのような問題が出てくるのか、またバランスを取るための解決策について、これからみていきたいと思います。

「稼ぐ」に注力した場合

稼ぐことだけに注力した場合、病気やケガなどで働けなくなったり、不況や転職などで給料が下がったりするリスクがあります。以前より転職もしやすい環境になっているため、まとまった退職金がないケースも増えています。

また、定年後はどうするのかということも考える必要があります。100歳まで生きると仮定すると、60歳で定年を迎えてもまだ人生残り40年間もあります。年金と貯蓄を取り崩すだけでは、徐々に貯蓄が減っていくことに恐怖を覚えることでしょう。

いくら稼げば老後まで安心した生活ができるか、考えたことはありますか?

「増やす」に注力した場合

投資で資産を増やしていきたいと思う方もいるでしょう。特にここ何年かは相場もよく、投資に対して良いイメージを持っている方も少なくありません。しかしプロでも勝ち続けることは難しく、必ず相場が悪くなる場面も出てきます。

働けばお給料は出ますが、投資は頑張った分だけ利益が出るものでもありません。外部要因に左右されることが多いので、投資だけに頼るのはリスクが高すぎると言えるでしょう。

自分の最適な投資額や利回りについて、考えたことはありますか?

「守る」に注力した場合

節約ばかりするのは、多くの方にとっては苦痛が伴います。また物価も上がっている今、節約をするだけではなかなか資産は増えません。

お金は、使って初めて価値が生まれるため、お金を自由に使えないことは幸福度も上がらず、苦しい生活になりがちです。支出を減らすことばかりではなく、稼ぐことも考えましょう。苦労してする少しの節約よりも、収入を上げる方が家計への貢献度は大きくなります。

あなたの収入と支出はバランスがとれていますか?

稼ぐ・増やす・守るのバランスを保つ方法

このように、何か一つに偏りすぎているとリスクもあり非常に不安定です。稼ぐ・増やす・守るの3つすべてを常に意識し、どんな状況でも対応できるようにバランスをとって生活することが大切です。

では何をすればいいのか、それぞれ見ていきましょう。

稼ぐために意識をするべきこと

定年の延長や撤廃、副業や兼業が当たり前になってきています。転職により、定年までずっと同じ仕事をしているとも限りません。時代の変化と共に、必要とされることも変わってきています。もちろん、現在の就業先でキャリアアップを目指し、収入を増やす方法もあるでしょう。

いずれのケースでも大切なことは、変化に対応できるように自己投資を行い、日々研鑽、スキルアップに励むこと。特に若いうちは自分自身への投資を積極的に行っていきましょう。

一つの会社にとらわれず、収入の柱をいくつか持っておくことが理想です。また人生100年時代、定年後も働き続けることを視野に入れ行動していきたいところです。配偶者が専業主婦・主夫の場合は、少しパートに出るだけでも家計の将来は全然違ったものになるかもしれませんよ。

増やすために意識をするべきこと

投資だけに頼るのは、リスクが高いと述べました。とはいえ、今は低金利時代。運用しなくても、金利で預貯金が増えていく時代ではありません。またインフレにより物価は上がり、現金の実質的な価値は目減りしていく一方です。リスク分散をしつつ資産運用をすることはもはや必須とも言えます。

運用で儲けることを考えるのではなく、資産を守るために資産運用を取り入れていきましょう。そのために、国が用意した税金優遇の制度のNISAやiDeCoを活用したいですね。

また、日々の支出で得られるポイントも有効に活用しましょう。買い物だけではなく、投資にも使えるもポイントもあるので、自身の生活・目的に合ったものを選んでください。

守るために意識をするべきこと

過度な節約は幸福度を著しく下げる可能性もありますが、固定費の見直しはとても大切です。携帯代や保険料など、減らしても苦ではない支出があるはずです。また、意外と家計を圧迫している可能性のある固定費がサブスクリプション。動画アプリや雑誌など、知らぬ間に支出が膨れ上がっていることもしばしば。

固定費を一度書き出して、削れる項目がないかどうかをチェックしてみましょう。また、対象となる控除を活用して節税することも、継続性があって効果が大きいです。

一方で、減らすと苦しい支出は食費や教育費です。過度の節約は心身ともに悪影響を及ぼします。教育費に関しては子どもに対する投資とも言えるので、どちらかというと積極的に使っていきたいところです。

支出に優先順位をつけて、何を守るべきか、しっかり見極めましょう。

お金のバランスを測るチェックリスト

変わりゆく時代の中で、稼ぐ・増やす・守るの3つのバランスが大切だとお話ししました。どれも欠けることなく、なるべく偏らないように意識してお金と向き合いましょう。

最後に、お金のバランス度合いを測れるチェックリストを用意しました。稼ぐ・増やす・守るの項目ごとに、当てはまるものにチェックを入れてみましょう。1つの項目で、3つ以上チェックが入っていることが理想です。また、無駄な項目は1つもありませんので、できれば全項目にチェックが入るように取り込んでいただけると幸いです。


みなさんは、いくつチェックが当てはまりましたか?

人生の寿命が昔よりも大幅に延びている分、資産の寿命についてもしっかり考えていく必要があります。そのためには、自分もなるべく長い間働きながら、お金にも働いてもらう……つまり、稼ぐと増やすの両輪の考え方が必要になります。さらに、お金を減らさないような工夫で、お金を守ることが大切とお伝えしました。

稼ぐ・増やす・守るの3つのバランスを最適に保つには、ライフプランを作成することが近道です。長い人生、なるべく快適に過ごせるように、お金とうまく付き合っていきましょう。

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