伝統風習から町の新しい風景、南三陸のきりこ

きりことは?

きりこは塩竃市以北の地域に伝わる風習であります。各神社の神職が和紙を二つ折にして、ナイフで神酒や鯛などの縁起物を切って、そういう神棚に飾る切り紙は「きりこ」と呼ばれています。

自然と共に生きる三陸地域こそ、不漁不作の時期でも神様にお供えできるよう、きりこで家々の神棚を彩ります。

南三陸の家の神棚に飾ってあるきりこ

アートで地域活性化 南三陸みんなのきりこプロジェクト

伝統的なきりこをヒントとして、2010年、南三陸町の女性を中心とし、地域活性化のために「南三陸みんなのきりこプロジェクト」が開催されました。

住民方々の大切な思い出を聞いて、それをもととしてデザインし、一人ひとりに属するきりこを作り始めました。

白い切り紙で彩った町は、美しくて、町に新しい生命をもたらしました。
何よりも一番大きな成果は、家の前に飾っているきりこを見て隣の家にあったエピソードについて聞き、今までお互いについて知らなかったことを知る機会を作り、地域住民の間の絆がより深めました。

震災前にきりこで彩った南三陸町

不思議な力のあるきりこ

2011年、計画拡大と決めた矢先に、東日本大震災が発生しました。震災後、復興などのことで精一杯、とてもプロジェクトを続ける余裕がない状況でした。

南三陸みんなのきりこプロジェクトは一度中止になりましたが、関係者からプロジェクトを続けて欲しいという声が出てきました。

2012年志津川地区、歌津地区中心部に仮設したアルミ複合板のきりこボード

住民たちがこの町で生活してきた記憶を残すためにも、故郷の南三陸に対する愛しい気持ち、災害に負けない強い意志を後世に伝えるためにも、きりこは人々の心の中にある曖昧な感情を可視化にしました。

2012年に、津波に流され廃墟になった住宅地に単管パイプで仮設し、生きているメッセージを表したきりこは、人々の心を癒しました。

今、南三陸のきりこ

震災後、新しく開業した店や事務所のために、祝福の気持ちを含めて作り上げたきりこは今も、南三陸さんさん商店街などの町の各所で目にすることができます。

きりこで飾られる町は、南三陸ならではの風景です。

南三陸さんさん商店街に飾ってあるきりこ

南三陸に越した際に、どうか所々に飾ってあるきりこを見つけ出し、南三陸住民たちが困難を乗り越えてきた話に耳を傾け、今新しく見えた町は過去、こんな感じだったのかと思いながら、南三陸を散策してはいかがでしょうか。

南三陸役場に飾ってあるきりこ

きりこオリジナルグッズ

また、南三陸さんさん商店街の隣にある南三陸311メモリアルでは、きりこ柄のオリジナル紙ファイルとポストカードが販売しています。

コクガン・タコ・牡蠣・ワカメ・タブノキなど、南三陸の豊かな自然をモチーフにしてデザインしたもので、お土産として最適です!

きりこ柄紙ファイル(赤・青)(左)800円/枚 きりこ柄ポストカード(赤・青)150円/枚(右)

購入情報

販売地点:南三陸311メモリアル(道の駅さんさん南三陸の複合施設内)
営業時間:9:00~17:00/火曜日定休
ご希望の方は館内受付カウンターへお声がけください。

[place_master_id=11737 show_photos embed]

© 株式会社MATCHA