障がい者のスポーツ施設利用促進へ研修会 パラアスリートがアドバイス

障がいのある人も利用しやすいスポーツ施設を作るための研修会が、渋谷区の東京体育館で開かれ、出席した使節の管理運営者にパラアスリートから実体験に基づいたアドバイスが送られました。

元車いすテニス日本代表 二條さん:「同じようにマシンが配置されていても、車いすユーザーにとっては横付けできるスペースがあるかどうかだけで、それが利用できるようになったりすることもあるので」

元ゴールボール日本代表 高田さん:「(施設への案内が)地図なので目でしか確認できない。ただ道順を文章化されているところがたまにあるんですよね。そうすると視覚障がいにもすごく理解のあるところなんだと感じられる」

普段、スポーツ施設を利用する中で感じる、健常者には気づきにくい困りごとを伝える2人のパラアスリート。この研修会は東京都と東京都障害者スポーツ協会が開いたもので、自治体や民間のスポーツ施設の管理運営者などが出席しました。

研修で説明されたのは、去年、7年ぶりに都と障害者スポーツ協会が改定した、障がい者のスポーツ施設利用促進マニュアルです。改訂により、新たに施設のホームページの重要性が指摘されています。

二條さん:「私自身が初めての施設を使おうと思った時に、まずホームページを確認します。自分の中で想像ができますし、これだったら自分で行けそうかなとか、こういうお手伝いしてもらえたら行けそうかなという想像ができるので、いいんじゃないかなと思う」

高田さん:「障がいのある方向けのページがあるって聞いた段階で、まずすごく安心しますよね。迷惑かけたくないなという気持ちが障がいのある人って、持ちやすいんですよね。その迷惑かけたくないという気持ちも払拭されるので、そういった点ではすごく必要な情報だと思っています」

マニュアルの中で先進的な取り組みをする施設として紹介されているのが、荒川総合スポーツセンターです。濱田館長は、断る理由を考えるより、どうしたらより使いやすくなるかを利用者と考えていきたいと話します。

濱田館長:「やってみてダメだったらまた相談したらいいし、トライ&エラーでとにかくやって改善、やって専門家と施設側と参加者で相談しながら進めていって、満足いくような方向に持っていく」

出席したスポーツ施設の管理者は…

参加者:「どの利用者に対してもコミュニケーションが大事なというのが、印象に残っています」

参加者:「更衣室がありますだけではなくて、更衣室がどのような動線になっているか(HPに)載せてほしいという意見もあったので、取り入れていければと思った」

東京都は、来月にも研修会を開催する予定で、2人のパラアスリートはこうした研修会を通して、東京がどんな人でもスポーツに触れやすい街になってほしいと期待しています。

二條さん:「マニュアルを通じて、さらにパラスポーツに興味を持っていただいたり、障がいの有無に関係なくスポーツをやってみようと思ってくれる人が増えたらうれしい」

高田さん:「まず、いろいろなことをチャレンジさせてもらえる体験、させてもらえる施設が増えるといいなと本当に感じます」

こちらが研修会でも使われた、障がい者のスポーツ施設利用促進マニュアルです。東京パラリンピックが開催され、障がいのある人もスポーツをしたいという気持ちが高まっても、どこに行けばいいのか分からないという声や、受け入れる側もどう対応していいか分からないという声に答えようと改訂にいたったということです。

研修会にゲストで参加したパラアスリートの高田さんですが、競技を引退されたあとも、地元・杉並区のスポーツ施設を利用していて、最近ボディパンプ教室にはまっているそうです。この教室でパンプ仲間がたくさんできて、地元で声をかけられることが増えたということで、「スポーツの力で障がいに関係なく友達ができたのがうれしい」と話していました。

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