福島第1原発沖、海水監視を強化 中国念頭、トリチウム濃度公表へ

処理水の海洋放出が始まった東京電力福島第1原発=24日(共同通信社ヘリから)

 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出開始から一夜明けた25日、環境省が周辺海域で放射性物質トリチウムの濃度を調べるための海水採取を始めた。東電も放出後に採取した海水の分析に着手。東電の結果は同日夕にも判明する。西村康稔経済産業相は閣議後の記者会見で、中国を念頭に「水質データを透明性高く公表する。科学的根拠のない輸入規制の即時撤廃を政府一丸となって求めていく」と述べ、風評被害拡大防止に全力を挙げる考えを表明した。

 中国は24日に日本産水産物輸入の全面停止を発表。香港政府も福島や東京など10都県の水産物輸入を禁止した。海域での濃度データは、日本の水産物輸出先の4割を占める中国、香港への説得材料で重要になる。松野博一官房長官は25日の記者会見で「モニタリング(監視)データを透明性高く公表する」と述べた。

 環境省によると午前7時ごろ、福島県内の港から船4隻が出航し半径50キロ程度の海域内11カ所でそれぞれ2リットルの海水を採取。分析結果は27日にも発表する。3カ月間をめどに毎週公表する方針。

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