青森県内コロナ「過去最多の可能性」 専門家見解、新派生型影響も

 直近の青森県内の新型コロナウイルス感染状況について、県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師は24日の取材に、医療機関で把握しきれていない患者らを含めると「今までで最も感染者数が多い状況の可能性がある」との見解を示した。軽症者の割合が大きい特徴は変わっていない一方、受診や入院患者の増加に伴い、医療関係者の負担感は高まっている。新たな派生型ウイルスの広がりが感染拡大の一因とする見方もある。

 5月上旬に法的位置付けが5類へと引き下げになり、感染状況の公表は一部の医療機関からの報告を基に集計する方法へと変わった。大西医師は「制度が変わり、把握しきれない患者がいる。医療機関を受診せず自宅で療養する人や無症状者を含めると、今までにないような規模の多さではないか」と推測する。

 県医師会で新型コロナ対策を担当する近藤博満医師(青森市)は「今は第9波の真っただ中だろう。クラスター(感染者集団)が発生した病院もある」と証言。青森市が設置する地域外来にも受診者が多数訪れ「大わらわ」だという。

 弘前大学医学部付属病院高度救命救急センター長の花田裕之教授も「8月に入ってから、感染者は持続的に増えている」と話す。新型コロナが軽症でも、連日の暑さで体力が落ちて入院する患者もいる。軽症者の割合が高い状況は変わらないとしつつ、「大学病院などで入院が必要な重症患者は、ワクチンの未接種者が多い」と指摘する。

 国立感染症研究所が取りまとめているゲノム解析の資料によると、7月最終週現在、全国で最も多いウイルスの型は、従来の主流XBB型からさらに枝分かれした「EG.5.1」で、23.6%を占める。「エリス」とも呼ばれるウイルス型で、感染力がより強いとの指摘がある一方、重症化リスクが高まっているという報告はない。

 大西医師は「青森県でもエリスの検出事例がある。人の移動や社会の免疫の変化と併せて、感染拡大に影響しているのでは」と分析。個人での対策について「誰でも感染する恐れがある。手指衛生や換気などの予防策の再確認に加え、感染した場合に備えた薬の確保や行動を考えることが大事だ」と強調した。

 近藤医師によると、感染した場合の症状は▽発熱のみ▽高熱とのどの痛み、鼻水、せき▽発熱がなく軽いのどの痛みや少量のたん-などがある。「新型コロナは高齢者ほど重症化率が高い。若い人は重症化しづらいが、後遺症が出る場合もある」と注意を呼びかける。

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