元バチェロレッテが明かした「泣かせない育児」に賛否…専門家が語る“やってはいけない”先回りとは?

(写真:福田萌子のInstagramより)

1人の女性をめぐり男性たちが戦いを繰り広げる婚活サバイバル番組『バチェロレッテ・ジャパン』(Amazon Prime Video)で初代ヒロインを務めた福田萌子(35)の育児方法が波紋を呼んでいる。

8月15日までに更新したインスタグラムで、今年1月に出産した第1子の育児について、《アナログに字を書く事が好きなのでアプリではなく紙の生活表で、子どもの生まれてからのルーティーンをまとめています 体重や体温の変化だけでなく、何時にご飯をどのくらい食べて、何時に排泄を何回したか、起床時間やお昼寝の時間を細かく書き込めるから、何かあった時にも統計があってとっても便利 子どもが寝たらその日の成長や様子を日記のように書き込むのが日課です》と、きめ細かく子どもを観察し記録していることを報告。

また、《子どもが生まれてから、まだ短かい人生の長い1日を少しでも楽しく過ごして欲しいという思いから、親の影響を多く受ける乳幼児期は、私次第でコントロール出来る事もあるのではないかと考えて、なるべく笑って過ごせるように試行錯誤してきました そんな1日1日を積み重ねて過ごしている中で、生活表を振り返るともう3カ月ほど子どもの涙を見ていないことに気が付きました》と、我が子の涙を“3カ月もの間見ていない”という驚きの発見があったという。

《起きている間の9割はご機嫌で笑顔、何か主張がある時は喋ってお知らせしてくれます。泣き声を出す事はありますが、予防接種でも『やめてー抑えないでー!痛いっ!!』と大きな声は発しても涙は見せず、『痛かったね、もう終わったよ!』と笑いかけるとすぐに笑顔に戻ります》と、泣き声は出すことがあるとした上で、《ご機嫌で過ごす習慣は、生まれてから月齢にあった睡眠時間を確保している事が大前提ですがその上で【観察して嫌がる事をしない】という事が大切なのかなぁと思っています》と持論を展開。

《お腹が空く前に、眠くなる前に、疲れすぎる前に先回りする。お風呂を怖がり出したタイミングでアウトバスに変えて湯船の時間を短くしたりその時々の抱っこの仕方を少し工夫してみたり 月齢が低い時には夜中の授乳は2回起きていましたが、それも泣く前の寝息の変化やもそもそと動き出したタイミングで“そろそろかなぁ~”と様子をうかがったり(という事は、私は寝てても寝ておらず自分の睡眠の質はだいぶ悪いですが私の性格的に子どもの睡眠が良い状態を維持できていない事の方がストレスなので)》と、先回りする育児スタイルを紹介。

《もちろん子どもの個性があるのでうちの子に限ってかもしれませんが、スケジュールを管理して観察する事で習慣をつくり、先手先手をうって行動し、ストレスを与えずに生活する事も影響があるのかなと思っています》と、子どもが泣かない理由を考察し、《だって私達大人だってお腹が空いたり寝不足だと元気が無くなったり、嫌な事があると落ち込んだりするから まだ言葉が使えず感情を自分でコントロール出来ない赤ちゃんになるべくストレスを与えないような育児が私の今の目標》と明かした。

そして最後に、《とは言ってもこれから行動範囲が広がって転んで泣いたり、イヤイヤ期がきたりと、未知の世界では何があるかわかりませんが、【泣かせない育児】【ストレスをかけない育児】を実践していらっしゃるお母さん達がいらっしゃったら、どんな事をされているか是非教えて下さい》とし、今後は未知数としながらも、“泣かせない育児”、“ストレスをかけない育児”を目指していると締めくくった。

コメント欄には、このきめ細やかな育児を“尊敬する”“とても素敵”と賞賛する声が多数寄せられた。

一方で、“泣かせない育児”について、“乳児は泣くのが仕事”“泣かない方がいいとは思えない”と心配する声も多く上がった。

そこで、『“泣いてもいいんだよ”の育児』(自由国民社)の著者で、みねた助産院の峯田昌(あつよ)院長に“泣かせない育児”について話を聞いた。

「福田さんの育児を心配するコメントを見ると、“泣かせない育児”という言葉が一人歩きしているようなところがあるように思いました。実際に福田さんの書いた文章を読みましたが、赤ちゃんをよく見ているので、欲求受け止めやすくなる育児をしている印象です。

要求を受けとめてもらえると、0歳児の赤ちゃんにとっては、“ギャン泣き”までする必要はない環境、つまりものすごく心地よく安心できる状況だと思うのです。福田さんは、本当に頑張ってらっしゃるし、お子さんのことを本当に愛しているというか、可愛くてしょうがないのだなと。決して“泣いちゃだめ”という育児をしているわけではないようです。結果的にあまり“泣いていないと感じる”ということだと思いました」

そもそも、赤ちゃんが“泣いている”と感じるかどうかは個人差があるという。

「“色んなことをおしゃべりして訴えてくれる”、“注射のときは大きな声を出す”と書いてあったので、声はあげていますよね。でも、声をあげること自体を“泣いてる”とおっしゃる方もいるのです。私からみたらしゃべっているだけでも、“泣いてる、困ってる”と、大変だから何とかしないとと。同じ泣き方でもどう捉えるかで変わります。だから、福田さんは赤ちゃんが困った泣き方をしていると捉えていないのだろうなと思いました」

では、“泣いてもいい”育児とはどういうことなのか。

「“泣いてもいい”とは、泣いても慌てなくていいよということなので、“泣いた方がいい”育児でも、“泣かなきゃいけない”育児でもないんです。確かに、泣きそうになったらすぐ『泣くな泣くな』とあやして泣き止ませようとするなどであれば、訴える機会を奪っているともいえます。福田さんは慌てて泣き止ませているようには見えません。

むしろ、赤ちゃんのルーティンがちょっとわかってきたら、“そろそろかな?”と準備してあげるというもの。赤ちゃんも子どももですが、ルーティンが安心するので好きです。大人が自分の都合でコントロールしてルーティンを作るということではなく、子どもが、どのように生活しているかをよく見て、知って、できることは合わせていくということです。福田さんのような手書きの生活表も面倒でやらない人もいっぱいいると思いますが、特に苦労なくできるのなら、子どもを知るという意味ではいいのかなと思いました」

では、逆にやってはいけない先回りとはどういったものだろうか。

「もうちょっと大きくなってからですが、お母さんたちは子供が困らないように先にしてあげるとか、失敗させないように親の価値観で失敗しない方法に導こうとすることがあります。赤ちゃんでも子どもでも、本人の気持ちが色々あります。お母さんが思う正しい方法や安全な方法を取らせようと、度の過ぎた先回りや過干渉しすぎるのは心配です。

失敗を回避させるのではなく、“失敗しても大丈夫。戻っておいで”という関係性を作ることが後々大事になります。ちゃんと見てくれているという安心感があるからこそ、また頑張れる。挑戦もできる。そのための安心感の土台を0歳の今は作っている最中です。だから、ママにすごく愛されていることを感じて安心するってことがとても大事なので、今はたくさん愛情を注げてほしいです」

子育てに正解はひとつではないという。

「赤ちゃんは、泣かせても大丈夫だし、泣かなくても大丈夫。あまり泣かないとお母さんが思ってるお子さんもいます。“うちの子泣かないけど大丈夫?”と心配される方もいますが、困ってないから泣かないんだよねというだけです。

子どもの生まれ持っての性質もあるので、福田さんと同じことをしてもギャンギャン泣くお子さんもいるかもしれません。あるいは、福田さんのようにきめ細かくやっていることは、大変に感じられて合わないお母さんもいると思います。でも、福田さんは無理なく楽しんでいらっしゃるように見受けられますし、赤ちゃんもママの愛情をたっぷり感じて安心できる状況なので全く心配ないと思います」

わが子を思う親の数だけ、育児の方法もあるに違いない。

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