水道代値上げ年6,330円 人口減で利用者負担が増大、施設の修理代も必要に

各地で、水道代の値上げが相次いでいます。

たとえば岡山市は’24年度から平均20.6%の値上げを予定しています。3~4人家庭の平均的な使用量とされる40立方メートルの場合、2カ月分の料金が5千126円から6千181円に、1千55円上がります。年間では6千330円です。

また静岡県御前崎市では、’23年度から上水道が11.4%、下水道が8.2%上がっています。しかもこれは第1段階で、’29年度までに何度かに分けて引き上げ、最終的には’21年度比で上水道を45.6%、下水道は70.5%上げる方針といいます。

ほかにも愛媛県松山市は’23年度から約14%、長野県飯田市は’24年から平均18%の値上げが決定。神奈川県は’24年秋以降の値上げを検討中など、水道代の上昇は全国に広まっていきそうです。

そもそも水道は、市町村などが独立採算制で運営していて、地域差が大きいものです。使用量20立方メートルで比較すると、もっとも安い兵庫県赤穂市は月853円ですが、もっとも高い北海道夕張市は月6千841円(’21年・キュービック)。8倍超、約6千円の差があります。

というのも、水道料金はかかる費用を利用者が負担する仕組みです。水道管の敷設範囲が広く、人口が少ない地域ほど、料金が高い傾向があるのです。また人口が減ると収支が悪化し赤字に陥ることも。水道事業が赤字の市町村などは、給水人口30万人以上だと1%程度ですが、給水人口1万人未満は23%に及びます。

■大分県佐伯市は50年後に7倍になるという予想も

加えて施設の老朽化も大問題です。神奈川県営水道は今後30年間の改修費を約1兆円と試算。高度成長期に普及した水道管は法定耐用年数の40年が迫るなか、改修が進みません。水道料金は、人口減と改修費のダブルパンチで、青森県十和田市などを含む地域では30年後に現在の3倍、大分県佐伯市などを含む地域では50年後に7倍になるという恐ろしい予想も。

いっぽう、電気・ガスやガソリン高騰への国の補助金は9月末で終了することが検討されています。一層の値上がりが避けられないなか、水道代もとなると家計はより厳しさを増します。私たちができることは節水しかありません。

東京都水道局によると、家庭で使う水の40%は風呂で使われます。特にシャワーは1分間に12リットルもの水が流れます。流しっぱなしはNG! そして、節水シャワーヘッドに交換しましょう。

また、風呂の残り湯は180リットルほどあるそう。その半分を洗濯や掃除、水やりなどに毎日利用すると、月650円の節約ができます。

ほかにも、トイレでは大と小のレバーを使い分け、二度流しをやめること。食洗機やトイレ、洗濯機などを買い替える際は、節水機能が進んだものを上手に選んで。

水が安く“湯水のごとく”使えたのは昔のこと。これからはお金と同じくらいの意識を持って、水のムダ遣いをなくしましょう。

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