熱海土石流災害 “復興計画” に課題 「警戒区域」9月1日解除目前も被災者とすれ違い続く(静岡県)

土石流で被災し原則立ち入りが禁止されている、伊豆山地区の「警戒区域」について、静岡・熱海市は9月1日に解除すると正式に発表しました。一方、被災者とすれ違いが続く「復興計画」については、課題が残ったままです。

(岩崎大地 記者)

「土石流の起点となった逢初川の源頭部です、あすにも崩れ残った土砂の撤去工事が完了する見通しとなりました」

大規模な土石流が起きた要因とされる不適切な盛り土。県によりますと、行政代執行による不安定な土砂の撤去工事は、8月26日に完了し、8月31日に被災者に公開する予定です。

盛り土が撤去されることをうけて、24日、熱海市の斉藤市長は、原則立ち入りを禁止している「警戒区域」について、9月1日に解除することを正式に発表しました。

(熱海市 斉藤 栄 市長)

「警戒区域の解除はこれからの復興にむけて大きな一里塚、全ての被災者が生活再建されるまで、復興事業を気を緩めることなく進めていく」

熱海市によりますと、今も112世帯、200人が避難生活を強いられていますが、ライフラインが復旧するのは32棟で、9月中に帰る意向を示しているのは、7世帯13人にとどまるということです。復興の遅れが指摘される中、被災者から見直しを求める声が上がっているのが、熱海市が策定した「復興計画」です。先週、一部の被災者が専門家の協力を受けて独自につくった復興計画の“見直し案”を、熱海市に提案しました。

(被災者 太田 かおりさん)

「私たちも早く復旧復興したい。こういうかたちを望んでいると熱海市や県に示した」

被災者が見直しを求めているのは、土石流で被災した逢初川と周辺道路の整備です。熱海市は2025年3月までに復旧を完了する計画ですが、整備に伴う用地買収は4割程度にとどまり、住民の帰還が遅れることが懸念されます。“見直し案”では、河川や道路の整備計画を変更し、買収が必要な用地を最小限に抑えることで、宅地の復旧を促すべきと訴えています。被災者が提案した“見直し案”について斉藤市長は…

(熱海市 斉藤 栄 市長)

「(見直し案について)県と内容を精査して考える必要がある」「これからも被災者の皆さんと説明会や打ち合わせをして、変更が必要ならば変更したい」

被災者と対話を重ねた上で「復興計画」を見直す可能性もある、と話しました。警戒区域の解除まで1週間となりましたが、行政と被災者が協力して復興を前に進めることはできるのでしょうか。

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