テレビ朝日系で放送中の「仮面ライダーギーツ」。街の平和をかき乱す謎の存在・ジャマトと戦うリアリティーライダーショー「デザイアグランプリ」を舞台に、「黎明編」「邂逅編」「謀略編」「乖離編」「慟哭編」「慕情編」、そして「創世編」を経て、物語はいよいよ最終話を迎えます。
創世の力を手にした主人公・浮世英寿／仮面ライダーギーツ（簡秀吉）は、「誰もが幸せになれる世界」を作るため、デザイアグランプリ創設者・スエル（声・松岡禎丞）の仕掛ける「終幕のデザイアグランプリ」を止めるべく奮闘。桜井景和／仮面ライダータイクーン（佐藤瑠雅）、鞍馬祢音／仮面ライダーナーゴ（星乃夢奈）、吾妻道長／仮面ライダーバッファ（杢代和人）をはじめとし、英寿の思いに共鳴する仲間たちが各地でデザグラ運営に立ち向かいます。しかし、第48話の終盤では変身を強制解除させられた英寿に、ツムリ（青島心）がマグナムシューター40Xを向けるという予想外のラストで幕を閉じ、最終話を前にどんな結末を迎えるのか、期待が高まっています。
TVガイドwebでは、最終話に向けてキャストのインタビューを連日公開中。本日は、桜井景和を演じる佐藤瑠雅さん、吾妻道長を演じる杢代和人さんのインタビューをお届けします。クライマックスの「創世編」では、景和の姉・沙羅（志田音々）の喪失や、デザイアグランプリオーディエンスのケケラ（俊藤光利）、ベロバ（並木彩華）の暗躍によって今まで以上に向き合うこととなった2人。話を伺ってみると、お互いの信頼があって生まれた“あるシーン”の裏側、そしてサポーター役のお二人との思い出を明かしてくれました。
――まず、この1年間の撮影を振り返って感じている率直な思いを教えてください。
杢代 「僕は、最初は長いだろうなと思っていたんです。すごく長い旅になるだろうなって。撮影が終わってしまった今、体感としては早かったなと感じるのですが、振り返ってみると内容が濃くて、長かったと思うんです。なんというか、不思議な感覚です。終わってみると早く感じるけど、振り返ってみるととても濃い1年だったと思います。あっという間の1年の中に、一つも無駄な日はなかったです。僕自身の変化も感じます。俳優としての覚悟も決まった作品でしたし、かけがえのないものになりました」
佐藤 「僕はお芝居が初めてだったので、長いようで短いというか、本当にたくさんのことを考えた1年でした。最初の頃は右も左も全く分からない状態だったので、そこからいろいろなことを学んで、終盤にはある方には『一番お芝居が上手になったね』と言っていただけたり、ある方からは『本当に顔つきが変わったね』と言っていただいたり。1年間で自分自身も成長しているんだなと思えましたが、そこで足を止めず今後もいろいろなことをやっていきたいと思いますね。自信もつきましたがそこで満足はせず、どんどん高みに、やったことのない芝居を皆さんに見せていけたらと思っています」
――「仮面ライダーギーツ」も残すは最終話のみとなりましたが、「創世編」では2人の関係も鍵になっていると思います。パラサイトゲームで道長が誤って沙羅を倒してしまう展開が衝撃的でしたが、あのシーンを最初に知った時はどんなことを感じていたのでしょうか？
佐藤 「実は、お姉ちゃんがいなくなるのは初期の段階から知っていたんです。ただ、どうやっていなくなるのかは聞かされていなくて、なんとなく予想していたのは、英寿や道長のような身近な人が誤ってやっつけてしまうところを、たまたま景和がどちらかが悪いように見える感じで発見してしまう感じかなと想像していて。だから、その展開を聞かされた後のお芝居も、割とすんなり受け入れられました」
杢代 「予想はもちろんできなかったのですが、そのことを受け入れるのは早かったと思います。『なんで道長が倒しちゃったんだよ！』というよりは『このことがきっかけで物語も面白くなる』と思いましたし、お互いが成長する出来事になるんだろうなと思ったので、そのお話を聞いてから受け入れるのは早かったです」
――第41話で景和が仮面ライダータイクーン ブジンソードになる直前、景和と道長が本気で殴り合ったシーンも印象的です。
杢代 「ありましたね。『仮面ライダーギーツ』が始まって以来、僕にとってあのシーンが一番のアクションでした（笑）。僕から言うのはおかしい話なのですが、すごい成長なんですよ。撮影ではアクション部の方たちがいて、僕たちのアクションを指導するだけではなく、僕たちの安全面も含めて指導してくださるので、2人が何もできなかったら踏み込んだアクションシーンはさせてもらえないんです。でも1年間少しずつやってきたのを見続けたチームの皆さんが僕たちにやらせてくれたものだと思っているので、『100を出してほしい』と言われていたけど、120を出せるように意識していました。あのシーンは『仮面ライダーギーツ』の中でも目に見える成長の一つだったと思います」
――気持ちもかなり入りましたか？
杢代 「気持ちも乗っかりました。しかも、あの量のアクションは大体練習する必要があるのですが、事前練習なく当日に手を覚えて本番をやったんです」
佐藤 「（うなずきながら）当日だったね」
杢代 「だからすごい集中力で、お互い頑張ったなと思います」
佐藤 「その前にあった、ツムリを助けたと見せかけて力を得るシーンもすごく大事だったのですが、そこから『もうやるしかないんだ』と景和の覚悟も決まって物語も進んでいっていたので、僕自身は景和が言ってしまった『敵討ち』という言葉を真っすぐにぶつけられたらいいなという流れでのアクションでした。でも、基本的にキャスト同士のアクションってなかなかなくて。普段はアクション部の方を相手にやっていたので、僕たちはなんとかなっているんですけど、キャスト同士でのアクションとなると、1年間やってきていてもちゃんと呼吸を合わせないとどちらかがけがをしてしまう、そういったリスクもあっての撮影でした。ちょっと暑くなってきた時期でもあったんだよね」
杢代 「あれはすごかったね。今、『もう1回あれをやります』と言われたら、『ちょっといったん練習！』というか（笑）、気持ちをしっかり作ってからじゃないと臨めないと思います」
――その後、第46話では2人が和解するシーンも描かれました。
杢代 「道長から謝ったというのはすごいことですよね。ベロバとの最終決戦が終わった直後だったので、感情も高ぶっていたから言えた言葉でもあるし、思っていた本音でもあったので、ためらいながらも伝えられてよかったです」
佐藤 「景和としても、間違いということは気づいていたけど、そこを自分の中でも消化して謝ったんです。その前に2、3回はバッファをボコボコにしてるもんね（笑）」
杢代 「2回ボコされてます（笑）」
佐藤 「そこに対しても、自分の間違いだということに気づいて、気づいたから強くなったと思います」
杢代 「強くなったよ。2回もボコせるなんてすごいからね」
――あのシーン以来、景和の表情も吹っ切れた感じがありますよね。
佐藤 「前の景和に、過ちを犯してしまっていた時の景和を足して2で割った感じです。強くなった景和というか、“シン・景和”ですね。やる時はやるけど、どことなく前の優しさが見える顔というか。終盤でのケケラとの対話のシーンは、それが出ているのかな」
杢代 「マジモードになると、あの感じになるんだね」
――景和にとっても道長にとっても、最後までサポーターの存在というのは大きかったと思います。ケケラ、ベロバについてはそれぞれどんな存在だったと感じていますか？
杢代 「ベロバに関しては、本当におせっかいだなと思いましたが、彼女がいたからこそジャマ神にもなれたし、道長を成長させてくれたと思うんです。最後は自分の手で倒しましたが、最後のシーンでちょっと笑みがあったと思うんです。それはただ憎悪とかムカつきがあったわけではなくて、『自分の手でベロバを倒せてよかった』というのもあると思います。別に好きというわけではないけど、今までの思い出もひっくるめて倒したと思うので、いいシーンでした」
佐藤 「第47話で景和がケケラを倒したんですけど、サブタイトルが『ホンモノの仮面ライダー』となっているように、ケケラのやり方に前までは乗っかっていたけど、それが間違っていると自分でも気づいて倒すことになって。道長とベロバの最後のシーンでは、ベロバは立たず、道長だけは頑張って立っていたじゃないですか。でも景和とケケラのシーンはお互いに立ったんです。監督からは『俊藤さんは立たないで』と言われていたけど、俊藤さんが立ち続けたことでリアルなお芝居ができたのだと思います。お互いあと一発パンチ食らったら死んでしまうんじゃないかというぐらいの表情で芝居をしていたので、僕にとっても初めて挑戦する表情で芝居をしました」
――ちなみに、佐藤さんは俊藤さんと、杢代さんは並木さんと、撮影外で印象的なエピソードはありますか？
杢代 「僕は以前にもお話させていただいた“充電器プレゼント事件”、あの出来事が一番ですね（笑）。瑠雅も含めた3人だと何かあるかな？」
佐藤 「五十鈴大智（後藤大）が教祖になって、道長がそこに乗り込んでベロバとケケラに倒されたのと、僕が大智を倒すシーンの撮影現場が一緒だったんです。そこで撮影している時に、3人でいろいろなところをぶらぶらしていましたね」
杢代 「あった！ 思い出あるわ！」
佐藤 「僕が撮影に行っている時に2人でどこか行ってたらしいじゃん」
杢代 「瑠雅が撮影に行くとなって、僕と並木さんは撮影の空き時間になっていたんです。近くにすごく雰囲気のあるおそば屋さんがあって、僕は全スタッフさんに『時間がもしあるなら僕はここのそばを食べたい』と頼み込んで、そしたら『あ、撮影ないんでどうぞ〜』とOKをいただけて、2人で食べに行ったんです。おじいさんとおばあさんが営む、自然と融合しているすてきなおそば屋さんに行った思い出があります。俊藤さんとの思い出はあるの？」
佐藤 「たくさんあります。撮影現場もそうですし、プライベートでご飯にも行かせてもらったりもしたので。俊藤さんのクランクアップには僕も立ち会っていて、その後に並木さんのクランクアップもあったんです。その間に結構時間があったので、せっかくなら何かしようと、まずゲームセンターに行きまして」
杢代 「俊藤さんとゲームセンターに行く勇気…すごいな」
佐藤 「2人でゲームセンターに行って、並木さんがクランクアップだったので、僕が『でっかいぬいぐるみを取りません!?』と言ったら、俊藤さんは『クランクアップにそんなでかいの持っていくやついねえぞ』と言いながらも、何回かやってみて、結局取れず（笑）。その後、ゲームソフトを売っているお店に入って、俊藤さんが最近『ゼルダの伝説』にハマっていることを聞いていたので『面白いですか？』と聞いたんです。そしたら『買ってやるよ』ってソフトを買っていただきました。普通逆ですよね（笑）」
杢代 「並木さんには何も買ってないんかい（笑）」
佐藤 「ちゃっかり僕が買ってもらいました（笑）」
杢代 「その後の“あそこ”までが面白いじゃん」
佐藤 「（笑）。僕、『ゼルダの伝説』をやったことがなかったんです。誕生日も近かったので、誕生日プレゼントということで買っていただいたのに『やったことがない』と言ったら、『やりに行こう』となって。僕の家で俊藤さんと2人で『ゼルダ』をやっていました」
――…めちゃくちゃ意外でびっくりしています（笑）。
杢代 「ははははは！」
佐藤 「ちゃんとサポーターをやってくれました（笑）」
杢代 「本当に面白い。今はもうやってないの？」
佐藤 「今はもうクリアしちゃった。『このペースでいったらクリアに半年かかるよ!?』と言われて、最終的に10日ぐらいで終わりました。俊藤さん、ゲームが得意なんですよ。杢代くんも『大乱闘スマッシュブラザーズ』でボコボコにしたって言ってました（笑）」
杢代 「ボコボコにされました（笑）」
佐藤 「そういう思い出があります。最高の思い出です」
――最後に、これまで「仮面ライダーギーツ」をご覧になった視聴者の方に、最終話の注目ポイントとメッセージをお願いします。
杢代 「最終話は僕自身も全く読めなかった展開が待っています。目を離さずに、まばたきをせず、目を凝らして見ていただきたいです。あと、最終話のセリフ一つ一つに、何かしら『あれ、あの時似てるようなこと言ってたよな』という伏線が張られていると思うので、ティッシュを用意してご覧になっていただけたらうれしいです。1年間という長い時間を視聴者の皆さんと共に過ごせてよかったです。SNSでのコメントやお手紙などもたくさん拝見していました。それを糧に頑張れていた自分がいます。『一緒に戦ってくれてありがとう』という気持ちもありますし、一旦本編は終わってしまいますが、ファイナルステージもまだまだあるので、これからも『仮面ライダーギーツ』を愛していただけたらうれしいです！」
佐藤 「もともと『仮面ライダーギーツ』が願いや人の欲など、いろいろなことをメッセージとして伝えてきたので、そこに対してそれぞれの役がどう進んでいくのか、あとは第48話の最後に英寿が撃たれた後どうなるのか、その二つの軸が進んでいって、最終話でそれがどう合体していくのかというのも見どころです。今公開中の映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』と合わせて見ていただきたいです」
杢代 「面白いよね。最終話を見てから『え、もう1回映画見に行こう』となると思う」
佐藤 「景和や道長、祢音のその後の人生がどう進んでいくのかも最終話で分かるんじゃないかと思うんです。むしろ、絶対に見ないと分からないので」
杢代 「『仮面ライダーギーツ』を知らない方でも、最終話だけでも見ていただけたらうれしいです！ 8月27日朝9時は、テレビの前で『仮面ライダーギーツ』をぜひご覧ください！」
インタビューでは、共演者との思い出を懐かしんでいた様子の佐藤さんと杢代さん。写真撮影でもケケラとベロバのポージングをお願いすると、快く対応してくださいました。簡さん＆杢代さんペアに続き、最後には「今後の目標」をホワイトボードに書いてもらうと、杢代さんは「高く！」という決意のこもった一言が。すると、佐藤さんが悩みながら勢いよく書いたのは「低く！」という一言。これにはスタッフも一時はザワつきましたが、「“腰を低く”、ということです！」という自信に満ちあふれた佐藤さんの返しに、最後は拍手が起こる取材となりました。
【プロフィール】
佐藤瑠雅（さとう りゅうが）
2001年4月17日生まれ。千葉県出身。20年にダンス＆ボーカルグループのオーディション番組を経て、芸能界入り。「仮面ライダーギーツ」桜井景和／仮面ライダータイクーン役には、演技未経験から抜てきされた。
杢代和人（もくだい かずと）
2004年5月20日生まれ。東京都出身。ダンスボーカルユニット「原因は自分にある。」のメンバー。主な出演作にドラマ「あせとせっけん」（MBSほか）、「FAKE MOTION-たったひとつの願い-」「卒業式に神谷詩子がいない」（ともに日本テレビ）など。現在放送中のドラマ「最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜」（日本テレビ）に出演中。原因は自分にある。主演ドラマ「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call〜寝不足の原因は自分にある。〜」（テレビ東京）が8月30日より放送スタート。
【番組情報】
「仮面ライダーギーツ」
テレビ朝日系
日曜 午前9：00〜9：30
※放送終了後、TVer、ABEMAで見逃し配信中
映画「仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐」
公開中
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【締切】2023年9月21日（木）正午
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取材・文／平川秋胡（テレビ朝日担当） 撮影／蓮尾美智子
