「地元で巡業デビュー光栄」 大の里「石川代表する力士に」

金沢場所参加の喜びを語る大の里=北國新聞社

  ●26日金沢場所 本社で意欲

 北國新聞創刊130年記念・大相撲金沢場所(北國新聞社主催)は26日、金沢市総合体育館で行われる。特別参加する大の里(23)=本名・中村泰輝(だいき)、津幡町出身=が25日、北國新聞社に飛田秀一会長を訪ね、「大好きな石川県で巡業デビューできるのは光栄」と喜びを語った。来場所を新十両で迎える192センチ・175キロの成長株は「石川のおすもうさんと言えば、大の里と言われるぐらいの存在になりたい」と飛躍を期した。

 所要2場所で十両昇進を決めた大の里は「昇進を決めて金沢場所に来ることができてほっとしました」と第一声。先の名古屋場所で3勝3敗になった時に二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)から金沢場所への参加を知らされたそうで、「負け越して幕下のままだったら、呼んでくれた勧進元の北國新聞社に申し訳ないと思っていた」と明かした。

 2年連続アマ横綱の実績から「未来の横綱候補」と注目されるものの、本人は「一つ一つ上を目指すだけ」と冷静だ。津幡小の低学年の頃から相撲雑誌を愛読するほどの相撲好き。憧れだった大相撲は「外から見るのと大違い。立ち合いの空気感はまだ慣れていない」と戸惑いも感じながら「すべてが勉強の日々」と充実した顔を見せた。

  ●知名度アップを実感

 番付は十両になるが、相撲教習所に通う新人でもある。部屋がある茨城県からJR常磐線で上野駅まで1時間、さらにそこから両国へ。始発の車内は貴重な睡眠タイムのはずが、最近は知名度も上がり、声を掛けられるケースも多い。「乗客が寝かせてくれません」と言うも「ファンあっての力士。うれしいです」と笑う。

 7月の大雨で津幡の祖父の自宅が浸水被害にあった。「少しでも元気づけられたら」と先日わずか1泊だけ帰省。帰りの金沢駅では居合わせた子どもが「大の里だ」と目を輝かせて喜んでくれたそうで「親戚にもファンにも励まされ、石川県ってやっぱりいいなあと感じた」と振り返った。

 「いまだに名前を聞かれると、中村泰輝ですと答えてしまう。力士としての自覚が足りないですね」と頭をかいた大の里。26日の金沢場所は「巡業自体初めてなので何をすればいいのか分からない」と初々しさをのぞかせ「石川の皆さんから力をもらって、それを本場所で恩返ししたいと思います」と語った。

  ●「横綱目指して」 津幡で後援会発足

 津幡町庄出身の大の里を応援する地元組織「津幡町大の里後援会」が25日発足し、町文化会館シグナスで大の里を招いて十両昇進報告会を開いた。町民ら約500人が町初となる関取誕生を祝い、今後の活躍を願った。

 拍手に迎えられ登場した大の里は、津幡町少年相撲教室の後輩、佐々木琉翔君(金沢市千坂小6年)と、高宮泰君(津幡小5年)から花束を贈られ、笑顔を見せた。

 二所ノ関親方に続いてあいさつに立ち「先場所はハラハラさせたが、秋場所では安心して15日間見てもらえるよう頑張りたい」と決意を語った。発起人代表の矢田富郎町長は「横綱まで上り詰めてほしい」と期待した。八十嶋孝司町議会議長もあいさつした。

  ●大雨被害で義援金

 大の里は、7月の大雨被害に対する義援金を町長に渡し、JA石川かほくの西川一郎組合長から地元産米600キロを受け取った。

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